第94話 痩せ姫エミリー初登場! 美の価値観、初激突!(6)
(痩せ姫エミリー……。彼女は、私の《《美の価値観》》に初めて真正面から挑んできた相手……。そして王都魔導院の陰謀……。これは、ただの美の争いでは終わりませんわね)
その時──
庭園の奥から、ひとりの青年が歩み出た。
銀髪、切れ長の瞳、痩せ姫と同じく細身の体躯……
しかしその背には、魔導院騎士団の紋章が輝いていた。
「エミリーさま……。お迎えに上がりました」
エミリーの護衛騎士──レオン・ヴァルハイト……
彼はセリシーヌを一瞥し、その瞳に《《敵意》》と……《《わずかな興味》》を宿した。
(……あら。痩せ姫の護衛騎士、なかなかの美形ですわね)
エミリーは悔しさを隠すようにレオンの腕を取った。
「レオン、行きますわ……。あの肉の塊に、わたくしの美学が負けるはずありませんもの」
しかしその声は震えていた。
レオンは小さく囁いた。
「エミリーさま……。あの方、ただ者ではありません。それに──あなたも《《前の世界》》で……」
エミリーは慌ててレオンの口を塞いだ。
「言わないで……! まだ誰にも知られては……!」
セリシーヌはその様子を見て、ゆっくりと微笑んだ。
(……やはり! 痩せ姫エミリー──あなたも転生者ですのね)
風が吹き、二人の距離がわずかに近づいた。
(転生者同士の美の価値観の衝突──これは、私の学園生活をさらに、《《悪役令嬢》》らしく、面白くしてくれそうですわ)
セリシーヌの瞳は、次なる戦いを楽しむ悪役令嬢のそれだった。
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