第8話 ペットへのおやつ?
【ガルディオ視点】
ガルディオは、セリシーヌからもらった魔法もかかった手作り栄養菓子を胸に抱えながら、庭園の片隅でひとり息を整えていた。
(……セリシーヌ様……)
琥珀色の瞳が、そっと揺れる。
(あなたは……僕の弱さを笑わなかった……。誰もが僕を《《痩せすぎの落ちこぼれ》》としか見なかったのに……。あなたは僕の可能性を見てくれた……)
ガルディオの胸の奥が、じんわりと熱くなる。
(しかも……。魔法剣の訓練をしていたなんてすばらしい……。あなたは僕がずっと憧れていた《《強さ》》を、あなたは当然のように持っていたのに……。努力を惜しまない……、前へと向かって精進する御姿は、何とも凛々しく、麗しい……。何て素敵なレディなのだ~~~!!)
ガルディオは、セリシーヌの影を思い出す。
あの、ふくよかで、柔らかくて、温かくて――
倒れた自分をすっぽり覆い隠してくれた、あの影……
(……守りたい。あの影を……僕の力で守れるようになりたい)
細い指が、栄養菓子をぎゅっと握る。
(あなたがくれたこの菓子は……僕にとって勲章だ! 僕は……あなたの言葉で立ち上がれた! あなたの言葉で……僕は前に進めるようになった!)
そして、静かに決意する。
(だから……太る! 強くなる! あなたの隣に立てる男になる!)
その瞳は、まるで乙女ゲームの恋愛イベントのように輝いていた。
(セリシーヌさま……どうか僕を見ていてください。あなたの言葉が……僕を変えてくれるから)
ガルディオは、そっと空を見上げた。
(……僕は、あなたの忠犬になります。救われた忠犬として……あなたのために……)
その瞬間──庭園の向こうからルファードの叫び声が響いた。
「セリシーヌ様ぁあああああああああっ!! 僕の罵倒を返してぇえええええええええっ!!」
ガルディオはため息をついた。
(……あの人、うるさい)
ガルディオの目は、ルファードに対して、嫉妬と憎悪を含んで冷たいのだった。
◇◇◇




