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毎朝ひとつずつ、「お姉さまばかりずるい」と泣く義妹に差し上げております ~三十七日目、公爵家の借金がそちらへ参ります~

作者:Dee
最新エピソード掲載日:2026/10/19
「お姉さまばかりずるい!」

義妹のその一言で、この八年、わたしの手からは何でも消えていった。ドレスも、馬車も、婚約者も。父は病で口がきけず、家を回してきたのはわたしだ。

だから今朝、こう答えた。

「ええ、ずるいですわね。では明日の朝、お渡しします」

譲り状というものがある。書いたものは義務ごと渡る。ドレスには夜会に四時間立ち続ける務めが、馬車には御者の給金が、領地には凶作の始末が、爵位には税が、そして元婚約者には侯爵家の借金八千枚が付いてくる。

一日にひとつ。婚礼まで三十七日。

「ずるい……でも、これは要らない」

「お返しはできません。譲り状ですから」

「お姉さま、これ、どうやるの」

「お教えします。明日の朝までに」

三十七日目、義妹は泣きながら坑夫の家族の前に立っていた。あの子が生まれて初めて、「ずるい」と言わずに済ませた日である。
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