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豊臣秀吉の利口な弟(豊臣秀長)に生まれ変わったので中村を限界まで領地開発して天下統一を目指す。  作者: 伊月空目


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3/11

3、幼女の助太刀(すけだち)

 客室なのだろう。土(と)佐守(さまのかみ)は部屋の中に入る。目の前の二歳の童子はニコニコと笑っている。


 土佐守は身震いするのを感じる。この童子は得体(えたい)が知れない。主君・織田信秀が買うのも分かるというものだ。


「我ら中村の者は備後(びんご)守(のかみ)様(さま)に御味方(おみかた)したく思っています。そして村には柵と門を築き、城も作ろうと思っています」


 城……雑兵(ぞうひょう)の倅(せがれ)の考えることではない。土佐守は驚きのあまり、立ち上がろうとすら思った。


「……良い。そのほう、器量良しと見る。何なりとこの土(と)佐守(さのかみ)に申すが良い」


 ニッコリと笑いかける土佐(とさ)守(のかみ)、童子はニヤリと唇の端(はし)を吊(つ)り上げる。これ程の大器(たいき)が中村にいたとは……。


 土(と)佐守(さのかみ)は息を整える。この童子は敵に回してはならん。そう思う。敵になれば一族は根絶やしにされるだろう。それ程の厳しさも秘(ひ)めている。


「分かりました。何卒(なにとぞ)、今後ともよろしくお付き合いください」


 小一郎の言葉に頷(うなず)くことしかできない。土(と)佐守(さのかみ)は完全に小一郎の術中(じゅっちゅう)に嵌(はま)っていた。






 会談が終わって廊下に出ると小一郎はうんと背伸びする。ニコッと笑うと可愛らしい童子がそこにいた。


「姫、そこにいたのか」


 幼女がひょっこりと顔を出す。将来美女になるであろう幼女であった。幼女はにやりとすると小一郎の後をついてくる。


「ねえねえ、何の話だったの。小一郎ってば」


「土(と)佐守(さまのかみ)殿(どの)の兵を中村に入れる。清洲方(きよすがた)に攻め込まれないようにな」


「清洲(きよす)が攻めてくるですって」


 姫が甲高(かんだか)い声で話す。小一郎はくるりと振り返る。


「土(と)佐守(さまのかみ)殿(どの)は武勇において比類(ひるい)なき男。その家臣に中村の兵に稽古(けいこ)をつけてもらう。皆、死んだ目をしていたのが生き返るぞ」


「中村が戦場(いくさば)になる……嘘でしょ」


「備後(びんごの)守(かみ)殿(どの)は敵が多いからな。そうそう、美濃でも国人衆が謀反を起こそうといるし……やはり足利がいても駄目だな。清洲方(きよすがた)も美濃の武将たちも己のことのみ考える。幕府は後手(ごて)後手(ごて)に回ってしまう」


「これからどうなるのかしら。不安だわ。中村はどうなっちゃうのよ」


 小一郎は幼女に向き直る。幼女は泣きそうになりながら、小一郎を見た。


「大船に乗ったつもりでいろ。姫、お前は俺が守る。兵も増やす。城も作る。田畑もな。忙しくなる。姫にも手伝ってもらおう。良いな?」


「うん、分かったわ。中村の幼い女たちには私が声をかけるわよ。これでも代官の娘だから顔が利(き)くわ」


「ああ、任せた。さて、兵たちの調練(ちょうれん)を見ないとな。あと蔵(くら)から施(ほどこ)しを与える。ふう、忙しくなるのぅ」


 小一郎は声を上げて笑う。姫もつられて笑った。幼女たちを味方にした小一郎は村での一大勢力を築(きず)きつつあった。


読了有り難うございます。


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