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「水中戦闘に慣れてきたら今度は手加減する方法だよ。」
しばらく裕赦君の心の声は無視することにした。何度か心の声で命乞いしてきたけど知らんぷりして海の怪物に遊ばれている裕赦君を眺める。五時間後には裕赦君もすっかり水中戦闘の技術をマスターした。今度は手加減の授業を行う。
「ちょっと休ませてくれませんか?」
「だめ。」
「怒ってますよね?」
「知らないもん。」
「はぁ…」
それからまた授業をはじめた。終わった頃には裕赦君も倒れて燃え尽きていた。
「裕赦君は予知夢見たい?」
「え?突然なんですか?」
「未来起こり得る危険や悪い事をラズリが夢にして他人に伝える事が出来るの。予知夢を見た後未来なぜそうなったか理由を探してそれを無くせばその夢で見たの内容を避ける事ができるんだ。」
「はぁ…だったら見た方がいいに決まっているのでは?」
「ただ、夢の内容を知って解決策を見つけ出せなければただ二回苦しむだけだよ?」
「それでも危険を避けられるかもしれないなら見ておきたいですね。予知夢。」
「裕赦君の血をこのコップ一杯で見せてあげる。」
「えっと…じゃあちょっとまってくださいね。」
裕赦君はそう言って自分の掌にナイフを突き立ててコップ一杯に血を満たした後、治癒魔法で傷を治した。
「まいどあり。じゃあ今夜の夢は予知夢になるから覚悟しておいてね。」
「?…はい。」
今回見せるのは暁君に見せられなかった予知夢の内容だ。裕赦君はこれを見てどんな反応をするんだろうな。もう夜遅いから瞬間移動でギルドの付近にある公園まで裕赦君を連れて行きそこで別れた。
「明日夢の内容に疑問を持ったらこの島まで泳いで来てね。」
「え?」
境界を操って異次元に作った自分の部屋にもどる。この後が楽しみだ。
30間児 裕赦(12)
「そろそろ寝るか…」
ラズリが覚悟しててねなんて言ったから寝るのが少し怖いが寝なかったら血を無駄に流しただけになる。仕方ない寝るか。こんな覚悟してベッドにつくのは初めてだ。
ベッドに着いた瞬間に寝てしまったらしい。意識も感覚もハッキリしているのに自由に動けない。いま僕は同年代の吸血鬼とドランと共に凸凹した真っ白な廊下を走っていた。あちこちで戦闘音が聞こえる。ドランが廊下の先のドアを蹴り破ったらそこには二人の竜人の男女が横たわっていた。男は女の人に心臓を刺されながらもその人を抱きかかえていた。女の人は体の所々に機械を埋め込まれていた。倒れていた男女を両手に抱えてドランが泣き崩れていた。黙って様子を見ていると隣の吸血鬼が白衣の人間に刺された。
夢はここで終わって朝6時ちょうどに目が覚めた。
「こんなの…どう変えろっていうんだ…」
朝から絶望的な気分になっている。持っている情報が足りない。でも何もしなかったら確実にこの夢が現実になる。確かわからかったら島まで泳げとラズリが言っていたな。あの距離は息を吸わなくとも少々遠いな…でも今はそんな事言っていられない。急いで行かないと。
「春香!またちょっと旅に出る必要がありそうだ!」
「ええ!先週帰って来たばかりじゃない!なんで?」
「友達を助けに行く!ギルマスにもよろしく伝えておいてくれ!」
「今から行くの?急すぎない?」
「善は急げだ!間に合わなくなったら困るんだよ!」
「ちゃんと連絡取ってくれる?」
「無理そうだけどなるべく!」
「ハァ…いってらっしゃい。」
「あぁ!いってきます!」
その後観光船より早いペースで5時間掛けて島まで泳いだ。
「何者だ貴様!許可なく入国してはいけない事を知らんのか!」
忘れてました。はい。




