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「プロトンが怪物達の異常を知らせてきたの。そろそろモンスター達が暴走するよ。」
大体95年前まで種族間の争いは絶えなかった。傲慢、偏見、差別はどんな種族にも存在していた。戦争は戦争を呼び、憎悪は憎悪を繋ぐ。350年前に最後の魔王が倒されて世界は仮想敵を無くした。強者は求めてるだけ求めて、弱者はその分失ってきた。
そんな中、救いを求める種族達の為に人間の科学者がシステムを作った。生物の感情を形にして無差別攻撃を行わせるモンスター、それがシステムだ。システムは世界の仮想敵となり、種族間の争いはゆっくりと静まっていった。
システムを造るにはまず生きた生物の頭にパイプを付けなければならない。
そして激しい感情であればあるほど作れるモンスターも強力だ。その条件を満たす必要があるならモルモットにされた生物もいい思いはしていないだろう。
村長の友人も人間の科学者に頼った生物の中の一人だった。その友人が70年前モンスターが現れた時期と同時に行方不明になったという事はたぶんその科学者に救いを求めた生物は全てモルモットにされたんだと思う。
プロトンはラズリの作りだした花の形をしたラズリの細胞である。モンスターや地面に張り付いたプロトンを情報収集や力の作用の媒介にさせる。ラズリは怪物の行動に制限を掛けた後ほぼ放置している。たまに気が向いたら人助けする程度だ。
最近怪物の内包エネルギーが急に上がる時がある。たぶんモルモットを刺激してモンスターの強化を図っているんだと思う。
怪物の中身をもっと細かく解析してみたらプログラムに100年周期の暴走機能が付いていた。誰もいない砂漠の中心に暴走機能を使ってみたらDランクの怪物がA+ランクまで成長して、目の部分が赤く光った。
そういえば村長が昔モンスターが出始めた頃モンスターの目が赤かったと言ってたな。5年経ったら収まったんだっけ?
「その前に止められないのか?」
「うん。」
本当は止めたらつまらないと思っただけなんだけどね…
「モンスターの暴走は早くて2年後遅くて6年後かな…」
「捕らわれた妻は助けられるか?」
「竜姫フェルン様の事?まだ生きているとは限らないよ?」
軽い気分で竜王ゼウスに答えると向こうは手に持つワインを思いっ切りテーブルに叩きつけた。合金でできたテーブルは原型残さずに歪み、部屋の地面にクレーターが出来た。
「すまんな…フェルンの事を思うとどうも力加減がやりづらくなる…」
「うん!ラズリも驚いてないから気にしないで。」
感情が行動に出やすそうなのは見てわかるから。
「妻が生きているのを信じている。あいつはそんなにか弱くはない。」
そうだね、生き残ってるよ。正確には竜人に対する切り札として生かされてる。体のあちこちに改造された跡があったな。目の前の竜王が知ったら面倒そうだな…
「フェルンは種族間の平和を望んであの科学者に頼ったんだ、俺は妻の望みを尊重すべきかもしれないがどうしても助け出したい、殴られても嫌われても間違っていたとしてもあいつにこれ以上苦しんでほしくない。」
「健気だねぇ…今回も妻の世界平和の望みの為にモンスターの暴走を止めようとしてるんでしょ?」
竜人は最強の種族の一角だ。モンスターの暴走ごときで被害が出るはずがない。
「妻の願いを支えるのは夫として当然だからな。それよりお前は…平気なのか?同族が死ぬかもしれないぞ?」
サキュバスは戦闘力が低いからねぇ。昔でもか弱い種族としてよく狩られていたみたいだし。
「ラズリはね…正直同族がどうなっても別にいいかな…」
「本当か?大事な人だっているはずだろ?」
「そうだね…大事な人だったら守れるだけ守るよ。でもそこに同族だから守るなんていう考えはラズリにはないなー。」
「俺に何かあったら…息子を頼みたい。」
「うーん…まぁ…考えておくよ…」
無関係とは言えないからね。




