26暁(5)
「はぁ…」
二か月程前ブラッディサイスの者が冒険者を誘拐したと冒険者ギルドが訴えてきた。更に詳しく聞くとユリアが犯人らしい。肝心のユリアは長期任務でここ最近顔を合わせていない、誘拐された人の顔写真は貰ったがこれをユリアに見せて問いただす勇気が全然湧いてこない。怒らせたらもう仕事を引き受けてくれないんじゃないかな。
悩んでいたらドアからノックが聞こえてきた。
「入れ。」
「ドラン様がお見えになりますがいかがなさいましょうか?」
「え?向こうから来たのか?」
「はい!」
「応接室に通らせてやれ。」
「かしこまりました。」
ドランは竜人の王子で親友でもある。島の外に出たことはなかったはずだが…
「久しぶりだな、暁。」
「うん、会うのは久しぶりだね、どうしたの?突然。」
「いや、昨日滅茶苦茶強い吸血鬼と戦ったんだ。」
「ドランがそこまで言うなんてすごいね、名前は?」
「ユリア。」
「あぁ…うん…」
今そのユリアに大変困っているんだよ…
「やっぱり知ってるのか?」
「うん…まぁね…」
「どんなに攻撃しても通じなかった。戦う最中に椅子に座って紅茶飲んでる奴に負けるのは初めてだ。」
「へ…へぇ…」
ユリア…なにしたんだよ…
「威圧感を放っただけでS+の怪物が溶けた。俺と戦う時は動いてなかったが身体能力が弱い訳じゃないのかもな。」
やめてよ…僕これからそのユリアと交渉しに行くんだよ?機嫌損ねたらどうなるかなんて想像したくないよ…
「それと人間とはじめて戦った。」
「ほんと?」
ドランは島から離れた事があまりない、つまり島に人間がいたという事だ。
「島に人間がいたのかい?」
「あぁ…空から何かが落ちてきたのを見て行ってみたら人間がいたんだ。島に来て修行しに来たと言ってたからな、修行の手伝いをしてやろうと切ってみたら…凄く脆かった。」
「殺しちゃったの?」
「一撃目で心臓を潰したら装備の効果で生き残って二撃目で両足を切ったら薬で治したらしい。」
「…」
何処から突っ込んでいいのやら…
「どっちも致命傷だったらしい。下手したら一人の人間を殺してしまっていたかもしれない。」
「えっと…でも生きていたんだろう?」
「そうだ。その後その人間の師匠らしいユリアという名の吸血鬼が俺たちに試練を与えたんだ、とてもむずかったがとても有意義な修行だった。」
「…」
ユリア…人間…師匠…どこかで聞いた話だな。
「その人間の名前は裕赦というらしい。昨日試練が終わった後友達になってな。まだ弱いが熱意のあるいい奴だった、暁!俺らも負けちゃいられない!修行するぞ!」
はいその人間行方不明の人に確定だね。うん…さて今どこにいるのかな…
「修行の話はまた後でね。ちょっと急用を思い出したからここで待っててくれるかな?」
「?急がなくていいぞ、それまでに修行の内容考えておくからな!」
「はいはい。」
急いで部屋に戻って部下に裕赦という人間がギルドに戻ってないか確認させる。十分後帰還した部下が人間のヒーローになってたとか言って騒いでいた。
応接室に戻ったら長旅する気満々のドランの姿があった…僕これでも仕事沢山あるからね?




