20間児 裕赦(7)
「吸血鬼の奴らももう少し頑丈になれないものかな…俺の知り合いの吸血鬼がさ…訓練で手足切っただけなのに一日も寝込みやがって…」
「「げ…」」
次元の違う話題が聞こえてきた、急いで人間に対する誤解を正す。
「…じゃあやっぱりあの時お前は死んでたかもしれないんだな?」
「うん…まぁね…」
そしたら突然竜人が俯いてしまった。
「殺しかけてなんだが…どうしたら許してくれる?」
「え?いや何もしなくていいよ?」
「いや、俺の心の問題だ!何もなくても絞り出せ!」
「ええ!?」
「じゃあ試練の手伝いをしてもらうわ!」
「「「「へ?」」」」
突然真上から声を掛けられた。見上げたらユリアさんが王室で使われそうな椅子に座っていた。
「まずは跪きなさい。」
そしたらなぜか膝が勝手に地面に付いた。
「え?」
「「うわ…」」
隣を見たら竜人も跪いたまま不可解な表情をとっていた。
「私の命令行使の能力は精神力が充分強くないとレジストする事が出来ないの。裕赦くんが竜人君より先にレジストに成功出来たら次の試練を始めてあげる。」
「は…はい!」
「そしてそこの竜人君!名前は?」
「ドランだ。」
「そう、ドラン!あなたさっきさりげなく吸血鬼を馬鹿にしたわね?」
「は?いや…そんなつもりじゃ…」
「吸血鬼の強さを見せてあげる。裕赦くんと一緒に試練を終わらせた後サシで相手してあげる。」
「わ…わかった!受けて立つ!」
「いい心がけだわ。」
ぐぐぐ…ってもう隣のドランが立ち上がってしまった。
「今回はドランが勝ったわね。次のラウンドよ!二人共座りなさい!」
「!」
「またかよ…」
それから二時間経過した…
「次のラウンドよ!二人共喋らないで!」
「「…!?…!」」
「まだ続けてるの?」
「おいおい…いじめ過ぎんなよ?」
ラズリとクロノアまで来てしまった…
「裕赦くんに餞別だよ!」
ラズリが浄化の花を投げつけてきた。
浄化の花はあの頃のトラウマを呼び覚ました。怪物は人を襲っても殺さない、なのに勝ち目がないからと僕は守るべき後輩を置いて逃げ出した、死ぬリスクさえもなかったのに…その後後輩達はモンスターに囲まれていた、その子達を一歩間違えたら全滅していたかもしれない状況に陥らせたのは僕の弱さのせいだ…
「僕は…」
「!」
「僕はこの試練で弱かった自分を鍛え直しにきたんだ!」
「今回は裕赦くんの勝ちね。次の試練を始めるわ!」
「っておい!俺は….ってあぁ今レジスト出来たか。」
「威圧感だけで怪物を倒しなさい!」
「「は?」」
「一度やり方を見せてあげる。来なさい。」
ついていった先は怪物の巣窟だった、S+ランクの怪物はユリアさんに襲い掛かろうとするとすんでのところで周りの雰囲気が変わって絹を裂くような悲鳴をあげながら溶けて消えた、うん、怖い。
「で、わかったかしら?」
「面白そうだ、俺からやる。」
「いきなり高ランクの怪物は無理だから…そうね…Bランクの怪物を威圧感だけで倒すことが出来たら最終試練を通らせてあげる。勇者足る者、威圧感もなければいけないわ。」
そんな理由でやるのか。




