外伝(4)
「はぁ…」
はじめまして、僕の名前は 間児 裕赦 これでも一応Cランクの冒険者だ。この前冒険者なりたての三人組に出会って軽く憂鬱な気分を味わっている。
僕はギルドの受付嬢-春香の幼馴染だ。彼女はよく新入りの冒険者を裏からサポートしている、曰く「昔のおっちょこちょいなユウを見ている気分で放っておけないのよねー。」だそうだ。そう言う割にはいつも僕を護衛として駆り出すけど僕の事は心配じゃないのかな…
今回はその子に頼まれて裏から二人の男女の護衛を任された。訳ありでまともな装備を買えない冒険者の後輩が薬草を摘みに行くらしい。「危険はないと思うけど念の為後ろからこっそり守ってあげないかしら?」と言われた。
途中までは本当に平気そうだと思ったところで異変が起きた。
「おーい!誰かいるかー?」
「いますよ!どうかしましたかー!」
「おーい!誰もいないのかー!ってぎゃー!助けてくれー!」
誰かの悲鳴が洞窟から響いた。どうしよう、護衛の途中だけど助けに行くべきか?
だが答えを出す前に二人の冒険者が洞窟の中へと入って行った。急いで後を追ったら二人はB+ランクの怪物に待ち伏せされていた。
助けないと…でも足が震えて前に進めない…冒険者になってもう一年になるのに自分より強いモンスターに出会ったら震えて逃げ出す事も立ち向かう事も出来ない…今も二人を逃がすどころが前に出る事さえ出来ない自分に心底呆れている。
男は武器が役に立たない事を知ると女の子を抱えて走って逃げて行った、怪物は二人をある程度追った後こっそりついてきた僕の方に振り返った。
僕は持っていた煙幕投げて震える両足しったして走った、初めての勇気を守るためではなく逃げるために使ったんだ。今思い出しても頭を抱えたくなるくらいに恥ずかしい。
それから一心不乱に洞窟から逃げ出して来た、昼間の太陽がさっきまでの出来事をなかったかの様に思わせた、いや…なかった様にしようとしているのは僕自身か…。
助けられなかったとうなだれて膝を抱えていたら洞窟から悲鳴が聞こえてきた、彼らが近くまで来ている…。今度こそと僕は洞窟の中へ入っていき、その子達を追っていた五体のDランクモンスターを切り伏した。
僕の後輩達は危険を冒してでも赤の他人を助けに行き、連携もままならない程にしか顔を合わせていなかったのにお互い信じあい、冒険者なりたてでモンスター5体を相手にするという絶望的な状況にも諦めずに勇敢に戦っていた。
僕が冒険者なりたての頃はずっと逃げ腰で先輩からももっと前に出て戦えと言われたが足が震えて逃げ出す事さえもままならなかった。今回も怪物に会った時に怖くて何もできなかったし助けに行くのも一度見捨てて逃げてきた後だった。僕は冒険者なりたての頃から何も変わらなかったんだ…
三人を助けてあげた後に尊敬する眼差しで見られたのも辛かった、僕はそんな凄い奴じゃないんだ。本当は君たちに顔向けする事さえ出来ない情けない先輩なんだよ…
その晩はずっと泣いていた、ギルドに入った当初はギルマスの様な強くて頼れる奴になりたかったのに、何でこんなに惨めになってしまったんだろう…何を間違えていたんだろう…。春香が理由も聞かずに突然泣き出した僕の隣に座って黙って背中を擦ってくれた、これ以上心配かけたくないから頑張って涙を止めて、結局部屋に戻ってベッドの上で泣き続けた。
二週間後その事を思い出して溜息をついたらその三人と出くわした。




