13暁(3)
ユリアは吸血鬼の社会では公爵令嬢のような高い地位にいる、真祖の僕でさえも気安く喋りかけられない、昔から一緒にいた幼馴染だがどう扱えばいいかわからない、あの家系の氏族を変に怒らせるとただ事では済まないだろう、他の令嬢と違い媚びないし真祖として出す命令も全然受け付けない、他を従わせるカリスマがあり、吸血鬼の中で僕と互角に戦えるほぼ唯一の存在だ、性格も掴みどころがなく何時クーデターを起こされてもおかしくない。
昔彼女を警戒してナイフや暗器を服に隠した事があるが、城の見取り図を見るのが面倒だからと言って壁をすり抜けてきた彼女を見て全く無意味な行動だと知った。
思い切って何の能力を持っているか聞いてみたら紅茶を片手に「そんな質問して何をなさる気?」と笑顔で返されて恐怖のどん底に落とされた。
そんなユリアでも仕事はとても頼れる事を知ったのは皮肉にもユリアが去った後だった。ユリアは僕から頼まなくても毎日半分の仕事を終わらせてくれていた、重要性が低い仕事ばかりとはいえ初めてやる事も多く、更に会議中にユリアは今日は欠席だと言った途端僕と何としても関わりたい女性が関係ない話題ばかり出してきて会議の進行を遅らせたり、ユリアの悪口を言う集団とユリアを尊敬している人達の集団で戦争が起きかけた、一日の欠席を伝えただけでこの騒ぎである、とても冒険に出掛けていつ帰って来るかわからないなんて言えない。
どうすれば騒ぎを止められるかわからない。僕は本当にユリアの言っていた通りまだまだ子供だったのかもしれない、手紙を書くべきか…でも何処へ行ったかさえ解らない、仕方ない…各冒険者ギルドに仕事の一部を手伝って貰おう、上手くいけたらユリアが異変に気付いて戻って来てくれるかもしれない、厄介がって本当に悪かったユリア、もう土下座でも何でもするから帰って来てくれ!
そして門番からユリアが様子を見に戻って来たという知らせがあった、急いで土下座して戻って来るようお願いしてみた。
「ユリア…僕が悪かったから助けてくれ…」
「何かされた覚えないのか?」
「別に?遊びに出かけると言って仕事押し付…手伝っていた仕事を返しただけよ?」
「お兄さん仕事してないでラズリとあそぼーよー!」
「ラズリ…追い打ちをかけないでやれって…あれ?こいつ気絶してねーか?」
「仕方ないわね…ダークネス第一号薬の被験体第一号になってもらいましょう。」
はっ!知らない間に気絶していたらしい
「待って…くれ…まだギリギリ意識が…」
「ごー!」
「!…」
「不憫だな…」




