12ユリア
「大事な話があるのですがよろしいでしょうか?」
時は少し遡る
用事があるのでノックして返事を確認してから暁の部屋に入ったというのに相変わらず警戒されている、他の令嬢に向ける笑顔と同じに見えるが私に向ける笑顔の方が余裕が足りない纏う雰囲気が険しいし腕の配置もスーツに隠している隠しナイフを常に素早く取り出せる位置に置いている、知り合って大分経つのに向こうから無駄話を話した事がない、まさか気付いてないと本気で思っているのかしら…
しかし今はそれより気になる事があるのだが…
「何ですか?すみません、今結構忙しくて…短めにお願いできますか?」
「こちらこそすみません、本題に入る前に上着の右ポケットにあるそれを隠しておく方がよろしいのでは色々と誤解になりかねませんよ?」
「え?」
ポケットの中の髪飾りを見て素直に驚いた表情をした後こちらと目が合って顔が一気に蒼ざめた。その様子だとやっぱり気付かなかったか…
必死になって出口の前に塞がって誤解だ違うんだ誰にも言わないでくれと頼んできた。
勝手に慌てだした暁を尻目にソファに腰掛け紅茶とティーカップを錬成し優雅に飲んだ、そして一言聞こえるように呟く
「頑張って出口塞いでも私の能力で通り抜けられるんだけどね…」
「何が…望みだ?」
無意識に袖の下のナイフに手を付ける幼馴染に目をやって溜息を一回ついて感想を述べる
「まだ子供ね…」
「な!…」
「何が望みかと聞いたわよね?」
「あぁ…」
「その髪飾りをポケットに入れた子を許してあげて。」
「は?」
「何処までもからかいやすい子ね。その髪飾りをポケットに入れた子は私の友達なの、ただのドッキリだから…許してあげてくれる?」
「その子はサキュバスだぞ?本当に友達なのか?」
「私は親と違って差別なんてしないわ、それにその子に聞いていなかったらどうやってあなたのポケットの中身を当てられるの?」
「えっと…僕からかわれた?」
「うんそうよ、そうでもしないとあなたと長話なんてできないじゃない。」
ニッコリ微笑んであげたら苦笑いで返された。
「で、本題なんだけど」
「どいつもこいつも僕の精神力をなんだと思っているんだ…」
何か聞こえたけど気にしない。
「昨日の夜中にそのラズリちゃんが来て大人になる為に冒険者になるけど一緒にやらないか聞かれたの、面白そうだから私も行くことにしたわ。」
「へ?」
「あなた昨日ラズリちゃんにミルクを渡したでしょう?別の意味に取り違えちゃったみたいで『もっと大人になる為に冒険者になって世界を見て回ってお兄さんや皆をびっくりさせるの!』と言っていたわ。」
「…」
「だから仕事の手伝いは出来ないわ、しばらく会えなくなるけど心細くなったら手紙書いていいから。じゃあね!」
「え?あ!ちょ…」
三人で冒険か…楽しみだな…




