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幕間〜ゆっくり世界を語りたい〜③

 エイム: ねえアリサ、これまで二回に渡って、解説してもらったモルタヴィア情勢だけど、まだまだ、複雑でよく分からない状況になってるよね?

 

 アリサ: ああ、モルタヴィアとトランス・ドニストールの間で起きていた凄惨な戦いが、ようやく終わりに向かったと思ったところで、国際社会が激怒したからな。

 

 エイム: 国際社会が激怒? 何があったの?

 

 アリサ: それじゃ、今回は、モルタヴィア紛争を止めようとした「ロンドン会議」から、主犯格とされたトランス・ドニストール共和国が「国際的に追放」されるまでの怒涛の流れを解説していくぜ。それじゃあ……


 エイム&アリサ:ゆっくりしていってね!


 1. 泥沼のボスニア紛争と「民族浄化」


 アリサ: まずこれまでのおさらいをしておこう。モルタヴィア共和国の東部にあるトランス・ドニストール地方は、独自の政治形態を取っていて、独立を図り、凄惨な内戦が始まった。

 

 エイム: あらためて考えると、ファースト・ガンダムで言うところの地球連邦とジオン公国の戦争と考えても良いのかな?

 

 アリサ: まあ、エイムが理解しやすいなら、それでも構わない。ただ、事態が複雑なのは、本来のモルタヴィア領内に住んでいるトランス・ドニストールにルーツを持つ人々が武装放棄して、モルタヴィアの人々を追い出そうとしていることだけどな。


 エイム: それがニュースでよく聞く、あの|Ethnic Erasureエスニック・イレイジャー(民族の抹消)ってやつね……。

 

 アリサ: そうだ。この戦いの中で、自分たちの土地から他の民族(ボシュニャク人やクロアチア人)を力づくで追い出す「民族抹消」と呼ばれる大虐殺が行われたと報道されている。このあまりの非人道的な行為に、世界中が「これ以上放置できない!」と立ち上がったんだな。

 

 エイム: さすがに黙って見ていられなかったのね。

 

 アリサ: 一方、仕掛けた側のトランス・ドニストール陣営は、自分たちだけで「トランス・ドニストール共和国」という新しい国を立ち上げた。「自分たちは、正統な独立国家だ!」と主張したんだな。

 

 エイム: 国際的には未承認国家なのに、勝手に国家を名乗ったわけね。でも周りは納得しないよね?

 

 アリサ: その通り。一部の国を除いて国際社会は「勝手に名乗るな」と冷ややかだった。

 

 2. 最後の平和交渉「ロンドン会議」

 

 アリサ: そこで、なんとか話し合いでこの暴力を止めようと、8月末に3日間をかけて、イギリスのロンドンで大きな国際会議が開かれた。これが「ロンドン会議」だ。

 

 エイム: 国連やヨーロッパの偉い人たちが大集合したの?

 

 アリサ:そうだぜ。 国連とEUがタッグを組んで共同議長を務め、当事者であるモルタヴィアの代表やトランス・ドニストールの代表、さらにアメリカやイギリス、フランスなど主要国のリーダーたちがズラリと並んだ。

 

 エイム: そこではどんなことが話し合われたの?

 

 アリサ: このロンドン会議では、主に次の3つのルールが決められたんだ。

  

  ●力ずくで奪った土地は絶対に認めない。

  ●「民族抹消」を激しく非難し、追い出された難民の帰還を認める。

  ●トランス・ドニストール勢力が使用する大砲等の重火器を国連監視下に置く。

 

 エイム: まっとうな意見ね。トランス・ドニストール側は納得したの?

 

 アリサ: あぁ、トラ・ドニ側も、これ以上敵を増やしたくなかったから、一度はこの合意文書にサインしたんだ。

 

 エイム: おお! じゃあこれで平和が戻る……!?

 

 3. 裏切り、そして国際社会の怒り

 

 アリサ: ―――――と思うだろ? ところが、合意のインクが乾く暇もなく、モルタヴィア領内ではトランス・ドニストール人勢力による激しい砲撃や「民族抹消」が続けられた。約束なんて最初から守る気はなかったんだ。

 

 エイム: ええっ!? 合意文書にサインしたのに!?

 

 アリサ: これには国際社会も「あいつら、世界をナメてるのか?」と大激怒した。特にアメリカなどは「言葉だけの生ぬるい外交交渉じゃミロシェンコは止められない。もっと強力な制裁が必要だ」と、一気に強硬姿勢に傾いたんだ。

 

 4. 激動の「国連追放」へ

 

 アリサ: ここから、裏切り者トランス・ドニストールに対する国際的な「締め出し」の包囲網が、超特急で構築されることになる。

 

 エイム: どんなお仕置きが待っているの?

 

 アリサ: まず、9月に行われる国連安全保障理事会(安保理)で「安保理決議」が採択されることがウワサされている。

 

 エイム: その決議って重い内容なんでしょうね?

 

 アリサ:あぁ!  内容は激辛だ。 「トランス・ドニストール勢力の横暴な行為は許されない。国連に承認してもらいたいなら、いますぐ武装解除を行って加盟申請をし直せ。それが通るまでは、国連総会への参加を禁止する」 というものだった。

 

 エイム: 「お前は、メンバーじゃないから、内戦を止めるまで教室に入ってきちゃダメ!」ってことね。

 

 アリサ: 分かりやすいな。そしてその3日後には、今度は全加盟国が集まる国連総会で、この安保理の勧告をベースにした「総会決議」の投票が行われる予定だ。

 

 エイム: 結果はどうなるんだろう?

 

 アリサ: トランス・ドニストール側もロシアや中国の票を期待しているようだが……いまのところ圧倒的多数でトラ・ドニの正式追放が可決されると見られている。そうなれば、自称トランス・ドニストール共和国は、国連総会からの排除、つまり事実上の「国連追放」処分になるんだ。

 

 エイム: それは……完全に四面楚歌ってこと?

 

 アリサ: ああ。厳密な国際法上の解釈としては「加盟国としての権利をいっさい認めない」という形なんだが、国際会議で発言も投票もできないわけだから、実質的には追放されたのと全く同じだ。これは国連の歴史から見ても重いペナルティだぜ。

 

 5. この流れが意味するもの

 

 エイム: なるほどね……でも、国連を追放されたトランス・ドニストールは、これで反省して大人しくなるのかな?

 

 アリサ: 残念ながら、すぐに戦争は終わらないかも知れない。完全に国際社会から孤立したトランス・ドニストールは、このあと厳しい経済制裁に苦しむことになるだろう。紛争はさらに泥沼化して、傷口を広げ続けることになるかも知れない。


 エイム: 話し合い(ロンドン会議)で解決しようとしたけれど、それを裏切ったツケが「国連追放」という、国家としての死刑宣告のようなペナルティにつながりそうなわけね。

 

 アリサ: その通り。国際社会が「侵略や非人道的な行為を行う国には、毅然とした態度で法的・外交的な鉄槌を下す」という姿勢をハッキリと示すことになれば、歴史的な転換点になるかも知れないぜ。

 

 エイム: 複雑な流れだったけど、アリサのおかげでよく分かったわ! ありがとう!

 

 アリサ: どういたしまして。それじゃ、今回の解説はここまでだぜ。

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