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幕間〜ゆっくり世界を語りたい〜②

 エイム:ゆっくりエイムだよ。


 アリサ:ゆっくりアリサだぜ。


 エイム:ねぇねぇ、アリサ。以前、この動画で取り上げたモルタヴィア共和国とトランスなんとかって国が内戦で大変なんだって?


 アリサ:おっ、珍しいな? エイムも海外のニュースに興味を持つようになったのか?


 エイム:バカにするんじゃないわよ〜! トランスなんとかって国は、プラスチック製の硬貨が流通してるとかオモシロ情報満載だから覚えていたんだって。

 

 アリサ: そうだな、たしかに前回の動画では、トランス・ドニストール共和国のそんなトリビアも紹介したな。それじゃ、今日は、泥沼が続く「モルタヴィア紛争」の中で、平和への希望になるかも知れないミラノ・パニチェフの首相就任と、これから予測される事柄について、ゆっくり解説していくぜ。


 エイム: モルタヴィア紛争って、お互いの民族が憎しみ合って殺し合う、絶望的なイメージしかないんだけど……そこに平和への希望なんてあるの?


 アリサ: ああ、トランス・ドニストール共和国では、戦争を本気で止めようとしている男が首相になったんだ。それをこれから解説していこう! それじゃあ……。


 エイム&アリサ:ゆっくりしていってね!


 1. 制裁下の新トランス・ドニストール共和国と独裁者の思惑


 アリサ: まず、パニチェフが登場するまでのモルタヴィアの状況をおさらいしよう。モルタヴィア共和国の東部にあるトランス・ドニストール地方は、独自の政治形態を取っていて、独立を図り、凄惨な内戦が始まった。


 エイム: 最近じゃ、ニュースでも「|Ethnic Erasureエスニック・イレイジャー(民族の抹消)なんていう恐ろしい言葉が飛び交っているもんね。


 アリサ: その通りだ。トランス・ドニストールを実質的に牛耳っている大統領、ボリス・ミロシェンコは、独立を勝ち取るためにモルタヴィア共和国を攻撃しはじめた。しかし、国際社会からは「裏で武装勢力を支援して、紛争を煽っているだろ!」と非難され、国連から厳しい経済制裁を受けることになったんだ。


 エイム: 経済制裁を受けたら、国が立ち行かなくなっちゃうじゃない!


 アリサ: あぁ! 実際、現在のトランス・ドニストール地方では、ハイパーインフレが起きてスーパーの棚からは物が消え、市民生活は悪化の一途。そこでミロシェンコが考えたのが、「欧米ウケの良い神輿」を担ぎ出して、国際社会の目を欺こうってことなんじゃないかと見られているんだ。


 2. アメリカから来た「場違いな大富豪」


 アリサ: ここで白羽の矢が立ったのが、アメリカのテック企業の創業者である大富豪、ミラノ・パニチェフだ。


 エイム: ええっ? 政治家じゃなくて、急にアメリカのビジネスマンを連れてきたの!?


 アリサ: そうなんだ。パニチェフはトランス・ドニストール地方の生まれなんだが、若い頃にソ連崩壊直後に発生したドニエストル戦争の惨禍を逃れるために自転車で亡命し、アメリカに渡って一代で大企業を築き上げた「アメリカン・ドリーム」の体現者だ。


 エイム: ドラマみたいな人生ね。でも、なんでそんな人が引き受けたんだろう?


 アリサ: ミロシェンコの思惑としては、「アメリカで成功したパニチェフをトラ・ドニの新しい首相にすれば、アメリカ人も気を良くして制裁を解除してくれるだろう。パニチェフは、政治の素人だから俺の操り人形として都合よく動くはずだ」という計算なんじゃないかと言われてるな。そして、この7月に、パニチェフは周囲の猛反対を押し切って、泥沼の母国を救うために首相就任を受諾したんだ。


 3. 操り人形の反逆と平和への疾走


 エイム: 独裁者のスケープゴートとして呼ばれた可能性があるのね……で、パニチェフはその通りに操り人形になるのかな?


 アリサ: いや、これはミロシェンコの「最大の誤算」になると分析している識者もいる。パニチェフは、単なるお飾りになるつもりは毛頭ないようなんだ。彼は、自分のことを根っからの平和主義者と言っていて、「ビジネスマンとして培った交渉力で、この不毛な戦争を本気で終わらせてやる」と強い決意を持っているらしい。


 エイム: かっこいい! 具体的にどんなことをするんだろう?


 アリサ: 就任するや否や、世界中を飛び回って和平交渉に奔走しているようだ。今後、8月に開かれるロンドン和平会議では、「ユーゴ軍を周辺国から撤退させる」「民族浄化を絶対に許さない」「各国の国境を尊重する」ということを表明しようとしているらしい。

 

 エイム: すごい行動力ね!


 アリサ: 国内でも、好戦的な軍のトップを解任したり、メディアの自由化を推進したりと、ミロシェンコの独裁体制を根底から覆すような民主化改革を断行しようとしている。


 4. 独裁者との直接対決?

 

 エイム: ちょっと待って、それじゃミロシェンコ大統領は黙ってないでしょ?


 アリサ: 当然、激怒するだろうな。「俺の操り人形になるはずが、首を絞めにきているじゃないか!」って。もしかすると、今後トラ・ドニ地方は地域を二分する権力闘争が始まるかも知れない。実際、年末の12月には、トランス・ドニストール地方で大統領選挙が行われて、パニチェフが出馬すれば有力候補になる可能性がある、と言われている。


 エイム: 現役の首相が、実質的な最高権力者に選挙で戦いを挑むの? 勝算はあるのかな?


 アリサ: 制裁で生活が苦しんでいる民衆の中には、パニチェフに期待する者も多く、すでに国内では何十万人という群衆が集まる集会も実施されている。このままの勢いで「パニチェフが大統領選挙に勝つんじゃないか」と世界中が見守っている。


 エイム: 結果はどうるんだろう?


 アリサ: 残念ながら、独裁者の壁は厚いと思うがな。国営メディアは、完全にミロシェンコの支配下にあるし、パニチェフを「トラ・ドニを売り渡す裏切り者だ」とネガティブキャンペーンで叩くこともできるからな。さらに、こうした国のお約束として、大規模な選挙不正も行われる可能性もある。


 エイム: そんな……不正や偏向報道じゃ、フェアな戦いじゃないわ。


 アリサ: ああ。どの国でも選挙が公正に行われるかどうかは、国の将来を左右する重大事なんだけどな。


 5. モルタヴィアとトランス・ドニストールの将来


 エイム: 今後、トランス・ドニストールとモルタヴィアはどうなるんだろう?


 アリサ: もし、パニチェフという「平和のブレーキ」を失うと、トラ・ドニとモルタヴィアは、ふたたび、狂気のナショナリズムへと猛進することになるだろうな。モルタヴィア紛争はさらに激化して、その影響は周辺国に飛び火する可能性もある。


 エイム:でもパニチェフが、国の内外で存在感を発揮すれば、今後の悲劇は防げるかもしれないってことね?


 アリサ: 全くその通りだ。彼は「場違いな素人」と揶揄されているが、狂気に包まれた時代において、母国の平和を求めた政治家であると評価して良いと思う。パニチェフが示す「平和への光」は、語り継いでいくべきだと思うぜ。


 エイム: 歴史のターニングポイントって、こういうところにあるのね。


 アリサ: あぁ、いま私たちは、歴史が動く瞬間の目撃者になるかも知れない。今日はこんなところかな? それじゃあ、ご視聴ありがとうございました! だぜ。

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