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風のフィーア  作者: TAI
4/11

決意

それから幾日か経ち、シュリアがオージュの家へ立ち寄った。

「そう…あなたはあのイメリアの娘さんなの」


驚いたようにマイラが言った。


「やはりお母様の後を継いで、この探索家の道をお選びになったのね」


「いえ、特に母の後を継ごうと言う気はなかったんです」


そう言った後シュリアは、うつむいてしまった。

その後、少しづつ話し始めた。


「ある…文献を見つけたんです。

それは、母の書斎にあったものなんですけど…『フィーアレンス』のお話しはご存じですか?」


「それは…あのお伽話の…天空の世界、ですよね?」

「えぇ、母の研究結果の中で、フィーアレンスについての文献があるんです。

その中に、ある言葉があって…」

『わたし達が思い描く全ての出来事に―。

起こりえないものなどひとつもないのだ―。』


「知ってるわ、その言葉」

「だと思います。でも、本当はその言葉は、『天空の世界・フィーアレンス』に向けられた言葉だって知ったんです」


天空の世界・フィーアレンス…

世界の人々に、はば広く読まれている物語りだ。

俗に、お伽話として認識されているこの物語りに触発され、真剣に研究に取り組んだイメリアは、その結果を大量の書物として残していたのだ。

「わたしは、その書物を色々な所に持って行きました。だけど…認めてくれる人はいなかった…。」


その時、ステーキを食べていたオージュが話しに入り込んで来た。


「シュリアさん、フィーアレンスは本当にあるの!?」


無垢な瞳で問い掛けた。


「……オージュ…。

わたしは…フィーアレンスは天空に存在すると信じてる…。」


「ホント!?

僕、フィーアレンスのお話し大好きなんだ!

本当にあるなら…いつか僕が見つけだすよ!」


オージュの言葉に、二人は目が点になった。

「オージュ…

信じてくれるのね…?


じゃあ…わたしも諦めない!

一緒にフィーアレンスに行きましょう」


「うん!絶対に見つけだす!」



それから七年…


時間はゆっくりと流れ、マイラは天に召され、それと同時にオージュを青年へと成長させた。


未だ『フィーアレンス』の存在を信じ、シュリアとオージュはまた巡り会う……


イリアへ向かう派遣隊を乗せた船は、調度中間地点にたどり着いていた。



ザァ………ッ……


ザァ………ッ……


波の音だけがオージュの耳に聞こえている。


既に日は落ち、時刻は9時を回っていた。


一人個室の部屋に休んでいたオージュは、少し外に出てみることにした。


「ふぅ…

少し冷えるな…」


ゆっくりと先端に歩いていく…


その時、聞き慣れた声が聞こえた。


「おい!オージュ!」


「あ、リーベルト」


リーベルトはタユでのオージュの幼なじみで、今回のプロジェクトに参加していた。

年齢は同じで、性格はオージュと正反対。

しかし、だからこそ仲がいいのも頷けた。


「なにしてんだ?一人で。またお得意の空想か?」


少しはにかんで言った。


「うるさいな、リーベルトこそどうしたの?」


「ん?

あ、オレはこれから行くイリアに向けて、宣戦布告だ!」


そういうと、船の先端の手摺りに上り、腰に手をあて大きく息を吸い込んだ。


「お、おい!危ないって!」


オージュがとめようとした。

「うぉ〜〜〜〜っ!!!」

リーベルトの雄叫びが海に響いた。


「なにやってんのさ!

それに何の宣戦布告だよ!」

オージュが突っ込んでいると、


「う、お、おっっとっとっと!」


フラフラとよろけ始めた。

「ちょっ、オージュ、た、たすけ…」


ドボーンっ…


「お、おいっ!リーベルト!」


リーベルトは、海の奥深くへと消えていった…

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