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風のフィーア  作者: TAI
3/11

回想

「いやだ!絶対に行く!」

眉間にシワを寄せて、小さなオージュは怒鳴っていた。

「いい加減にしなさい!あそこはジーラーがうろうろしてるのよ!?あなたみたいな小さい子は、パクッ!て一口で食べられちゃうんだから」

年の功は50〜60くらいであろうか。少し太った女性がオージュに言い聞かせる。

その女性の瞳は、エレメンタルグリーンに光り、深い慈愛が感じられるようである。


「ふんっ!マイラさんに言ってもダメだね、じゃあいいもん!」

そういうと家から飛び出して行ってしまった。


「もぅっ…言い出したら聞かないんだから…」


「フフッ…いつも怒られてたな……。マイラさん…。」


7年前のタユでは、ちょうど探索員が盛んに訪れ、その中の一人にシュリアの姿があった。


「ふんっ!マイラさんなんかにたよらないよっ!自分でどうにかするんだ!」そういいながら探索員の集まる集会所に走って行った。

その時である、

「ドンッ!」


何かにぶつかった衝撃で、遠くに飛ばされた。


「イテテテ…」


オージュが起き上がろうとしたとき…

細く白い手が、差し出された。


「大丈夫?ボク」


とても細身で長い黒髪を揺らせ、眼鏡をかけた女性がそこに立っていた。

「う…うん」


起き上がったオージュは、突然話し始めた。


「おねぇさん、探索員の人ですか?僕、ヒルワナ遺跡に行きたいんです!一緒に連れていってくれないですか?」


そう話すオージュを見つめ、驚いたように女性が答えた。

「そっかぁ、ヒルワナに行きたいのね?…

でもね、あなたみたいな小さい子、連れていくことはできないなぁ」


申し訳なさそうに話すこの女性を見て、オージュは不思議なキモチになった。

(他の大人はみんな

「うるさい」

とか

「あっちへいけ!」

とか…そんなことばっかりだったけど……御最もな説得だな)

そんなことを思った。


その女性にくっついて動き回っているうちに、オージュと女性は打ち解けていった。

「オージュ、あなた本当に十歳なの?そんなことも知っているなんて」


「へへへ、だって本に書いてあったもん。あ、その本貸して、シュリアさん」


毎日のようにでかけていくオージュを見て、マイラは少し心配になった。


「オージュ、毎日集会所に行ってるみたいだけど。邪魔しちゃダメよ?」


「分かってるよ、マイラさん。」


「あなたに何かあったら、マイラさん心配して死んじゃうかもしれないわよ?」

「え、なんだよいきなり…そんなこと言わないでよ…。僕にはマイラさんしか家族がいないんだから…」


「そうだね、ごめんね?オージュ。」


「ううん、僕が悪いんだよ。あ、そうだ!今度シュリアさん呼んでもいい?」


「うん、いいわよ。じゃあカバルタのステーキを作りましょうね」


「やったぁ」


これほどまでに、血の繋がらない子供を可愛がることができるものだろうか。

それほどまでに、親子以上の関係で二人は結ばれていた。

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