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風のフィーア  作者: TAI
10/11

イリアの闇


遠く、


果てのない青空と、


思わず目を細めてしまいそうな太陽の光。



今日のタユは珍しく、午前中から晴天であった。




「コフムさぁん!」


リーベルトが村長であるコフムの家を訪ねて来た。


「…ん?


なんだ、リーベルト?


相変わらずうるさいやつだな」


「なんすか!


人の顔みりゃうるさい、うるさいってぇ。


あの、オージュ知りませんか?」



「オージュ?


そこの広場にいなかったか?」

「いないっすね」



「あれ?


さっきまで子供達に、お話を聞かせていたんだが…」

何度も見渡してみたが、オージュの姿はなかった。


「そうですか。


ありがとうございます!


探しに行ってきます!」


そういうと、リーベルトは走って行った。


「お、おぅ」




さぁ……


さぁ……


さやさや…



風が草花や木々を揺らして、何とも心地の良い音が聞こえている…


目をつぶって寝転んでいるオージュは、あの時のことを思い出していた。



三日前…



「ふ…


やっと気付いたのか…


そう、お前のフィーア…


風のフィーアは、どうやらお前の左目に宿っているようだな」


クアールが淡々と話す。


それを見てオージュは、


「な、、


なんでオレの左目に…?


そんなこと…有り得るのか」


「話すと長いが、お前はある男の子孫であることは確定している。


その男は、およそ百年前、フィーアレンスにたどり着くことを目指した団体…


“天地研究隊”の一人…


イーリオン…。」

「イ、イーリオン?


聞いたことはないけど…。

その人の子孫だからと言って、僕の左目にフィーアがあるのとはどう関係あるのさ…」



「その団体こそ、今までの歴史上で、最もフィーアレンスに近づいた者達…

その中でも、中心的な存在を担っていたのが、“風のイーリオン”だ」



「風の…イーリオン?


じ、じゃあ…、その人も風のフィーアを…?」


「あぁ、


だが、天地研究隊が“約束の地”にたどり着いたとき…

なにかが起きたらしい」



「な、なにが起きたの?」


「それは…


オレにもよく分からない…

おそらく、オレはこの世に存在する全ての書物は読んだであろう…


だが、殆ど謎に包まれたままだ…


オレは…


何も知らなすぎる…」


悔しそうにクアールは言った。



「フフッ…


なんだよ…


結局オレが調べていたことなんて、真実をなにも捉らえていなかったんだ…


何も知らないんだな…


オレ…」


オージュが肩を落としてため息をついた。


「つくづくバカなやつだ…」


クアールが言った。



「そうだね…


シュリアさんに見せる顔がないよ…」



「自分達が、真実を見つけていけばいいだろ?」



「え…?」



オージュが、言葉をなくす。


「だから、オレも協力してやるから、フィーアレンスに行ってやろうじゃねぇかってことだ!」


恥ずかしそうにクアールが言った。



「本当に…?


いいのかい?クアール」


「うるさい、何度も言わせるな!」




そうして、イリア訪問を急遽引き上げた派遣隊のメンバーは、各々故郷に帰って行った。


「はぁ…


ジラーハ大佐のことと言い、クアールのことと言い…

なんか色々ありすぎて、頭の中が整理できないよ…


シュリアさんに会うこともできなかったし」


一人、草原の中で考えていた。


「オレは…


イーリオンと言う、天地研究隊の男の子孫で…


約束の地での事件によって、風のフィーアがどうにかなった…?


なにがあったんだろう…」


“約束の地”とは、『天空の世界・フィーアレンス』の最後の舞台である。


約束の地にて、天空との道を開き、約束の地にて、全ての物語りが終わる…



「約束の地まで実在していたとなると…


フィーアレンスは存在してもおかしくはないはず…



シュリアさんに会えば…」


「おーい!


オージュ!」


リーベルトの声が聞こえた。



「なにしてんだよ、オージュ」

走って来たためか、息が上がっている。


「どうした?


リーベルト」



「いや…


これからどうするのかなぁと…」


そういいながら、オージュの隣に腰を降ろした。


「なぁ…


リーベルト、


またイリアに行く気ない?」


「な、なんで?



イリアは今ジラーハ大佐のことで、ゴタゴタしてるんだぞ?


クアールがなんとかごまかしたみたいだけど…


オレ達は、今イリアに行くのは危ないんじゃないかい?」


「うん…


でもさ、初めはタユ・ニニアの発展のために行ったのにさ…


結局あやふやになっちゃったし…


それに…」



「ん?


それになんだよ?」


「それに、このままじゃオレの気持ちがスッキリしない…」



「そっか…



そんなにお前がいうなら…


行くか?」



リーベルトが頭をかきながら言った。



「ありがとう」


オージュが言った。


その後二人はオージュの家に帰ろうとする途中で、コフムに会った。



「おぉ!


二人とも!大変だ!


遺跡にイリアの軍が…」



「え!?


なんだって!?


リーベルト、行ってみよう!」


三人が遺跡に着くと、そこは以前の光景とは、まるで変わってしまった遺跡の姿だった。



「な…


なぜ…」


オージュが立ちすくんでいた。



「イリアの奴ら…」


リーベルトも怒りを感じていた。


「とりあえず、帰りましょう…


オレに考えがあります…」


三人はコフムの家に帰った。


「とにかく、今までのことを整理すると、

派遣隊として足を運んだオレ達は…

おそらくイリアに利用されたんだ…」


「ど、どういうことだ?」


「コフムさん、イリアから派遣隊の話しを持ち掛けられたとき、何かおかしいところはありませんでしたか?」


「いや…


ただ、嫌に親切に使いの者が薦めてきたのは覚えておる。


そのあと、イリアの頂点だという“ゲルリア”と言う男が来たんだ…


その男の目が…


不思議な色だった…」



「まさか…


オレと同じ…


目にフィーアを持っているのかも…」



「じ、じゃあ、


そのゲルリアっていうやつが、オレ達を利用して…

フィーアを集めようってことか?」



リーベルトが聞いた。


「そうだな…


少なくとも、フィーアレンスの存在に精通した人物だってことだ…」



オージュが言った。


「くそっ…


最初は遺跡の安全な公開と共に、タユ・ニニアの発展が目的だったんだ…


それを…イリアのやつら…

踏みにじりやがって…」


リーベルトが言った。


「とにかく…


オレ達はもう一度イリアに向かいます。


コフムさん、許可して頂けますか?」



「あぁ…



元はと言えば、私の責任だ…。


オージュ、リーベルト…


頼んだ」



コフムが頭を下げた。




こうして、オージュ・リーベルトは新たなる決意を胸に、再びイリアへ足を運ぶことを決めたのだった。

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