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巡れ!半神と仲間たち 半神幼女が旅行とごはんとクラフトしながら異世界を満喫するよ! ~天罰を添えて~  作者: あいのの.


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303/317

303. これからもずっと

 んはっ!寝ちゃった。

 気が付くと森の端で待機している状態だった。


「ねたった。どめんにぇ」


 寝ちゃった。ごめんね?


「私達も休憩していたので問題ありません」

「もう少し寝ても大丈夫ですよ、主」


 でもずっと木の上って言うのも何なので、とにかく地上に降りよう。木の上で浮遊を解くと、車体が少し沈んだくらいで視界は特に変わりない。


「木を障害物と見做して結界が張られているのでしょう」

「いななたた?」


 浮遊しなくても良かった?


「そのままだと木々の切れ間にストンと落ちてしまいます。浮遊していたおかげで地に落ちず円滑に走ることができました」

「よたたぁ」


 

 車を走らせると車の下にスロープが形成され、無事地面に到着。

 視界が普通の高さになった。


「久しぶりの平地だ…」

「まさかの山越え…」


 精鋭さん達が少しホッとした声で呟いた。

 でも山越え楽しかったでしょう?イヒッ☆



 降りたところで軽食を食べながら、今夜の打ち合わせをする。


「このまま休まず走れば夜には到着します」

「でも姫さんを休ませたいし、どこかで一泊しようと思うがいいか?」

「無論かまわんぞ」

「数週間かかる場所にたった二日で到着するんですから、全く問題ありません」

「ではあの丘の麓で野営をします。貸し出しますのでテントは各自で張ってください」

「ありがたい。感謝申し上げる」


 話し合った結果、ここから遠くに見える丘の麓で野営をすることとなった。

 休まず進むこともできるけれど、運転している皆が疲れないようしなくちゃ。私もゆっくり眠りたいしね。



 車は順調に進み、丘の麓で野営の準備をする。

 [お着替えテント]を数張りと自分達用のカモフラテントを出す。

 ペグ打ちは各自お任せだよ。


「テーブルと椅子はここで良いですか?」

「あいっ」


 [お着替えテント]の他に食事用のテーブルや椅子も外に設置する。

 各テントに結界は張ってあるけれど、念のため全部を囲む結界1も張っておく。一応防塵・防砂を付与しておこうかな。


「ちょっと早いが今日はここで休む。結界を張ったから夜番の必要はないが、気になるなら各自好きにしてくれ。夕食は七時。このテーブルに集合。以上」


 空模様が怪しくなってきたので、結界1に雨は結界に触れると清浄の付与を追加する。あとは焚火台と焚き木などを出し、夜自由に過ごせるようにしておく。


 [お着替えテント]の説明は商業ギルド組にお任せし、私達は自分達のテントから転移の門戸でお家のリビングへ戻って休憩をする。


 しばらくお茶を飲んだり寝っ転がったりして休めたので、そろそろ夕食の準備をしようかな。

 本日はトマトとサニーレタスのサラダ、キノコたっぷりチキンソテー、海老ピラフ、ポトフ。私が日本にいた時作ったものを再構築します。

 お店の味ではなく家庭の味だけれど、ヴァロさん達の口に合うかな?

 お皿だけちょっとおしゃれっぽく再構成しておこうっと。




 ゆっくり休んだところでミルニル抱っこで外に出る。


「雨」

「降ってきたね」

「うん」


 外は雨が降っていた。

 暗くてよく見えないけれど、結界外からはサーッと雨音が聞こえている。

 念のため地図を確認したけれど、結界のそばに魔獣達の存在はない。索敵範囲を広げてみると、魔獣達は円を描く様に私達から遠ざかっているのがわかった。

 うん。全く問題なし!


「ちょと、ちゅやい?」

「確かに暗い。ランタンを増やすか。待ってな、お嬢」

「あい」


 鳳蝶丸、ミスティル、氷華が、ランタンをテントの周りに置いて行く。


「焚火台に火を点けます」

「おねまい、ちまちゅ」


 その間にハルパとレーヴァが焚火に火をつけてくれた。


「みにゃ、あにゃーと」


 皆、ありがとう。

 天候が悪くて月明りがなく結構暗かったので、灯りを増やしてもらいました。



「すまない。何か手伝うことはあるかい?」

「大丈夫だ」


 ローザお姉さん達がテントから出てくる。


「夜番をするのかい?」

「そうしようと思ったけど、ピメイスさんに断られちゃったよ」


 レーネお姉さんが肩をすくめる。

 ピメイスさんと精鋭達が交代で夜番をするそうで、お姉さん達には遠慮して欲しいと言われちゃったんだって。


「先程も言ったがここは結界で守られている。それに周りには魔獣の気配が全く無い。次回から夜番をすればいいんじゃないか?」

「ああ、そうする」


 感覚が鈍りそうなので、野営時に夜番がしたいって言っていたもんね。


「今は夕食の支度ですわね」

「これ、並べればいい?」

「あい、おねまい、ちまちゅ」


 お姉さん達にテーブルセッティングを手伝ってもらい、支度が終わったころ七時となった。

 全員外に出たので夕食にしよう!


「トマトとサニーレタスのサラダ、キノコたっぷりチキンソテー、海老ピラフ、ポトフです。おかわりをしたい時は声をかけて下さい。飲み物はこのテーブルに置いたので好きな物を各自用意して飲んでください」


 飲み物はワイン各種、紅茶(冷・温)、珈琲(冷・温)。

 私は少し温くしてもらった緑茶をいただきます。



「はあ…。野営であるのに美味な食事。不可思議だの」

「本当に。何と美味しい食事でしょう。貴族でさえも野営の時はここまで手の込んだ食事はいただきません」


 口に合ったみたいで良かった。

 ピメイスさんと精鋭達は護衛をしようとしたけれど、片付かないから一緒に食べて欲しいとお願いし、着席してもらう。

 その後もヴァロさんの飲み物を用意しようとピメイスさんが立ち上がったけれど、ヴァロさんが自分でやりたいと止め、食事を進めるよう促す。


「この赤ワインも美味しいの」

「こちらに、ヴァロ」


 ボトルを受け取り、ヴァロさんのグラスに赤ワインを注ぐルーチェさん。ヴァロさんもルーチェさんのグラスに白ワインを注ぎ微笑みあっている。

 ……仲睦まじいね。熱いね。ラヴラヴだね!

 幸せそうで何よりです。



「兎にも角にも本当に驚いてばかりだったよ。ゴーレムの群れの中で軽食、魔獣から丸見えの場所で野営、美味なる食事、美味なる酒。なかなか野性味溢れているのう。毎回このような旅なのか?フィガロ」

「まだ出発したばかりでそれほど経験しておりません。今のところ、この山越えが一番の驚きです。一応前回はちゃんとした野営地を利用したんですよ、母上」


 夕食に舌鼓を打ちつつ、旅の感想を話し合う。


「ゆき様はいつもこのような旅をしておいでか」

「そうだね。いつもこんな感じだよ」

「せちゅでん、しゃばちゅ、ダンジョン、たのちたた」

「雪原や、砂漠のド真ん中、ダンジョンでの野営が楽しかったみたい。俺は姫のそばにいられて毎日楽しいよ」

「エヘヘ」


 ゴーレムと野営にならなくて良かった、と笑うヴァロさんとルーチェさん。


「とんど、しょゆとと、あゆたも?ウフフ」


 今後はそういうこともあるかもよ。


「お手柔らかに…くれぐれもお手柔らかにお願いします」

「普通の野営地でお願いします」

「私は楽しみです!」


 ディリジェンテさんとエレオノールさんが困り顔をする。

 フィガロギルマスはワクワク顔になった。


 皆で楽しく笑いながら食べるご飯は美味しいね。

 次はどこに泊まろうかな?




-鳳蝶丸サイド-



 良い夜だ。

 俺は外の椅子に腰を掛け、氷華、ミスティル、ハルパと酒を呑んでいた。

 精鋭の一人が夜番をしていたが、俺達がいる間は任せるとテントに戻ったので、今は俺達四人しかいない。


 雨はいつの間にか止んだようだ。

 時折過ぎる風が心地良く、美しい星空の下で呑む酒は格別に美味かった。


「姫さんは今ごろ夢の中か」

「楽しい夢をみていることでしょう」


 愛らしい寝顔を思い浮かべたのだろう。氷華とミスティルが目を細めて微笑んでいる。俺も幸せそうなお嬢の寝顔を思い出し、知らず知らずと笑みを浮かべていた。



 ミルニルとレーヴァは明日の運転手。お嬢の願い通り酒が飲めない。

 仲間内で話し合い、飲めない仲間がいてもお互い気にせず過ごそうと決めた。

 そして翌日運転をする者が、眠るお嬢のお付きをすることになっている。

 それはそれで嬉しいので、酒が飲めなくても問題ない。


「先程寝室を覗いたら、ゴーレムの魔石に囲まれて寝ていましたよ」

「ゴツい物がベッドにあると危なくないか?」

「主が熟睡したらミルニルが預かるそうです」

「俺達から貰って嬉しかったと言っていたらしい」


 ハルパは心配で寝室を覗いたらしい。

 俺は魔石をもらって喜んでいたとレーヴァから聞いた。


 お嬢情報を聞くと嬉しそうに笑う氷華とミスティル。

 俺達は夜になるとお嬢情報を共有し合う。もちろん個人的な話や秘密にしてほしいと言われたことは内緒にしているが。



「ああ…。酒が美味しいですね」

「ほんとにな」


 ハルパと氷華が酒をしみじみと口に含む。

 お嬢が楽しそうにしていたり、喜んでいる姿を思い浮かべながら呑む酒は格別に美味い。


「今更だが、世界を巡るのは楽しいな」

「そうですね。今までも自由に動けていたのに…何が違うんでしょう」


 氷華とハルパが夜空を見上げる。


 自分に与えられた場所に留まることも多かったが、基本的に自由に過ごすことが出来た。

 俺達は退屈を紛らわすため好きな場所へ行き、それなりに楽しんでいた。

 長い期間ではないが冒険者のようなこともしたし、ダンジョンも制覇。普通の旅人のようにあちらこちらへ行ったこともある。


 でもあの時とは全く違うこの感覚。

 お嬢と一緒だとどうしてこんなに楽しいのだろう。


「まさかわたしが人の子と旅をするとは思いませんでした」

「確かにな」


 ミスティルの言う通り、以前の俺達は積極的に人の子達と接したことが無い。

 話をするようになったのはお嬢と出会ってからだし、まさか人の子達と雪原を歩いたり、一緒に旅をするなど想像すらしていなかった。

 それに、伝説の武器仲間と共に過ごすようになるとも思っていなかった。


 俺達の中の何が変化したのだろうか?


「共に生きようとは思いませんが、心の機微に触れて学べば、主殿の心情を察することができるようになれるのでは?と思っています」

「姫さんは元人の子で、今も半分はそうだからな」

「主が健やかに楽しく過ごせるよう、人の子のことを知っておくのも良いかもしれませんね」

「人の子の生き様や言動は理解できないことも多い。だが必要な部分は取り入れようと思う。それがお嬢のためになるかわからんが、できるだけのことはしていこう」


 皆が静かに頷く。


 俺達はウルトラウスオルコトヌスジリアス神の命により地上に遣わされた。

 勇者のためではあったが、見つけてくれたのがお嬢で本当に良かったとしみじみと思う。


 お嬢は俺達の性質をある程度理解しているし、俺達の人とは違う対応の仕方を許容してくれている。

 例えば武器として無性に戦いたいと思えばそちらを優先し、人の子からのアプローチに興味を示さずとも代わりに対応し、あとで説明してくれる。


 それに俺達のことを支配するのではなく、自由を与えてくれた。


 そんなお嬢だからこそ、俺達自身も変わりたいと思う。

 人の子を観察し、お嬢の心情を察し、毎日健やかに過ごしてもらおうと皆の意見は一致している。


 正直言えばお嬢以外に興味はないが、お嬢が気に入っている人の子達に力を貸す程度でも上出来だろう。



「毎日変化があって楽しいですね」

「ええ、本当に。主のおかげです」

「最初は動画撮ったりする皆に戸惑ったけどな」

「もう氷華は俺達と同類だ」

「………否定できねえ…」


 皆で笑い合う。

 恐ろしく長かった空虚な日々も消え、今は毎日が新鮮で楽しい。


「俺達の主が姫さんで良かった」

「同意します」

「わたしも同意です」


 氷華、ハルパ、ミスティルも俺と同じ思いのようだ。


 お嬢も俺達も命の期限がない。

 これから先何があるか分からんが、俺が伝説の武器としてある限りお嬢のそばにいよう。

 俺達の退屈を一掃してくれた我が主の家族としてあり続けよう。


 そう心に誓うのだった。



「ソルスティスマルシェで撮り溜めた映像があるが、観るか?」

「いいですね。丁度主の姿が見たくなったところです」

「だな」

「リビングでいいですか?」

「ああ。支度をしていく。リビングで待っていてくれ」

「りょーかいっ」


 俺の言葉をきっかけに皆が立ち上がり、飲み物を片付けてから一旦解散。

 あとでリビングに集合ということになった。



「皆集まってどうしたんだい?姫はぐっすりだから問題ないよ」

「危ない物は仕舞った」


 俺達がリビングに集まったころ、レーヴァとミルニルがお嬢の寝室から戻ってきた。


「これからソルスティスマルシェの映像鑑賞するが、二人も観るか?」

「いいね。観たい」

「もちろん。一緒に観るよ」


 以前作った映写機と映写幕の準備をする。


「これ、鳳蝶丸に渡しとく。姫さんと鳳蝶丸の姿を見かけて録画したやつ」


 USBを渡されたので、早速PCに保存。確認するとウサギと言ってはしゃぐお嬢と、小さなウサギを高く抱き上げて歩く俺の姿が映っていた。


「ありがとう、氷華。この時のお嬢が可愛くてな」


 ピヨコ達と追いかけっこをするお嬢の話を皆に伝える。


「うん。ピヨコ達が楽しかったって言ってた。赤い服が気に入ったと脱がないから、ソルスティスマルシェの時だけ着る服って説明しといた」

「エメルも美しい景色が素晴らしかったと言っていたな」

「イバヤも青薔薇隠れん坊が楽しかったようです」

「スザクは気持ち良く歌えたって言ってたよ」

「テイルもあちらこちらを見廻って、雰囲気を楽しんだそうです」

「リッカはクリスマスツリーを雪で真っ白にして満足だと言っていたぜ」


 お嬢は眷属達にも楽しい時間を与えているようだ。


「よし。今の映像も含め、映写機で観るか」


 茶を飲みながらソルスティスマルシェの映像を観る。

 この時はこうだった、ああだったと話しては皆で笑い合う。

 伝説の武器会議の時くらいしか会わなかった俺達が、こうして楽しい時間を共有するとはな。


 もう、俺達に退屈な夜は存在しない。

 人では無い俺達の心に温かい思いが宿る。


 『幸せ』とはこういうことなのかと感じながら、夜は更けていくのだった。



 -鳳蝶丸サイド終了-

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― 新着の感想 ―
きゃ~~!! 武器達sideのお話! ありがとうございます(*´▽`人)アリガトウ♡ ゆきちゃんと家族ほのぼのも大好きだけど、武器達だけの溺愛会話もと~~っても良きです(*´꒳`*)♡
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