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巡れ!半神と仲間たち 半神幼女が旅行とごはんとクラフトしながら異世界を満喫するよ! ~天罰を添えて~  作者: あいのの.


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302/317

302. ギルマス達は見た!

「ゆき殿。私達でさえ慣れない光景です。父と母はかなり戸惑っていると思うんですが…」

「どめんにぇ」


 休憩出来そうな広い場所にたまたま岩ゴーレムの群れがいたんだよ。


 ヴァロさんの背後には、無表情にゴーレムを見つめるピメイスさんと、困り顔の精鋭さん達。

 たぶんいつ襲いかかられても対処できるようにしているんだろうな。



 ガッ!!

 ゴンッ!!!



 時折ゴーレム同士が殴り合いを始め、片方が飛ばされて結界に激突する。

 もちろん結界があるので全く問題ないよ。

 ゴーレムは知能がないので、結界にぶつかってもここに何かあるのか?などと探ることもしないので、ある意味安心です。


「結界があるから問題ない。早く軽食を食べてしまってくれ」

「そなたらも早う食事をせよ」


 ヴァロさんに言われ、ようやく席に着くピメイスさんと精鋭達。

 あと二十五分後に出発だから、頑張って食べてね。



 一通り食べ終わった勢は結界の端へ行き、外を眺めている。


「あのゴーレム、大きな魔核だね」

「あれ一つで三百万くらいいきそうです」


 リンダお姉さんとエレオノールさんがゴーレムをじっと見つめていた。


「ましぇち?またちゅ?」


 魔石ではなくて、魔核?


「ゴーレムと名の付くものが保有しているのは、魔石と魔核です」


 私の疑問にディリジェンテさんが応えてくれた。



 まず、魔石を体内に保有している場合は全て『魔獣』と呼ばれるそうで、岩や鉄などで体が作られていても魔石持ちのゴーレムは魔獣に分類されるらしい。


 ゴーレムの魔核は周りの物質を集めて体を作り、それを維持しようとする性質がある言わば本体。何かの拍子に体が破壊されても、再び周辺の物質を集めて再生する、厄介な魔獣の一種だ。

 魔核が破壊される、若しくは魔石を失う以外体躯の再生を繰り返し、頑丈で力が強く壊れにくいゴーレム。その便利な性能に使役したいと思う人間は少なくない。


 だが知能がないからなのか、ゴーレムのテイムに成功したという話を聞いたことが無い。

 使役できれば便利なゴーレムをテイムするため、テイマーや錬金術師達の間で長年の研究が行われ、とうとうゴーレムを従わせる方法が編み出された。

 それは、テイマーがゴーレムを完全制御する魔法陣の設計図を作り、錬金術師が魔核にそれを刻むというもの。

 ただしその魔法陣はかなり複雑で、魔核に刻むには高度な技術が必要なため、誰もが出来るというわけではなかった。魔核に魔法陣を刻めるのは、かなり等級が高く、しかも熟練者と呼ばれる錬金術師のみ。

 その難しさ故、ゴーレムを短期間に量産することは不可能に近いとされている。



 大昔、とある大国が侵略のためにゴーレムを大量生産しようとした。

 国王は未熟な見習い錬金術師まで動員し、大量の魔核に魔法陣を刻ませよと言う無理な命を下す。

 錬金術師の熟練者達は抵抗しようとしたが、愚かな国王は反逆者と見做し彼らを処刑してしまった。

 処刑を耳にした錬金術師達は国外へ逃げようと試みたが捕えられ、罪をでっち上げて奴隷の身分に落とし、昼夜を問わず、眠ることさえ許さず魔法陣を刻ませ続け、熟練者不在のままゴーレムを作成させた。


 その結果、コントロール不能のゴーレムが大量に出来上がる。


 制御の効かないゴーレムは人の子の魔力を欲して凶暴化。

 特に魔力の多い貴族や王族を襲い、破壊の限りを尽くし、大国はあっけなく崩壊した。


 ゴーレムは更に魔力を求めて周辺の国々へ向かう。

 周辺の国々はゴーレムの脅威を沈下させるために応戦することとなる。

 幸いだったのは、散り散りに分散したため各々の国に到達した時は数が少なかったということ。

 それでも大勢の犠牲者がでた。

 全てのゴーレムを討伐し、脅威が完全に去るまで数か月かかったと言われている。

 それ以来、多くの国がゴーレムの大量生産を禁じ、作っても年に数体、建築現場などに配備されることがほとんどなのだと言う。


 どの世界にも、どの世代にも、どの国にも、愚かな者達がいるよね。

 私は過去の犠牲者達の冥福を心より祈ろう。

 そしてフェリアに関しては神々の願いの元、手が伸ばせる範囲で、救える者は救っていこうと思う。


 

「ドーエミュ、倒しぇゆ?」

「もちろん。倒すだけならあの魔核となる部分を壊せばいい」


 リンダお姉さんが指す先には、中心の大きな魔石と二重に連なる土星の環みたいなものが見える。


「あれがゴーレムの上半身と下半身を繋げているんだ。魔核だけを破壊するのは難しい。でもうまく事が運んだ時はなかなか爽快だ」


 ローザお姉さんも話に加わった。


 ゴーレムの上半身と下半身は繋がっておらず、腹の部分にある魔核が上下を繋げているらしい。

 魔核の環の外側は体と同じ物質で出来ており、シールドのような役目を果たしている。中側の環が魔核本体で、中心の魔石から魔力が供給され活動しているんだって。


 ではどうやって魔核自体を採取するのか?

 やりかたはこう。

 理由は分からないが、グミバオムと言う木の樹液に浸けた布で覆うと、魔核は活動を休止する性質がある。

 だから体躯部分を破壊したあと、再生前に魔石を離し、魔核をグミバオム布で包んで採取するのだ。


「実は魔核って一部を除き採取禁止なんだ」

「国から指名された冒険者のみ」

「指名されていない冒険者達は魔石を狙いますの」

「その大きさで高額になるからね」


 レーネ、ミムミム、エクレール、リンダお姉さんに魔核は採取してはいけないと説明される。

 自由に採取を許すと、また愚かな大国のような国、もしくは組織が現れるかもしれないかららしい。


「もたいー、ないね」


 勿体ないね。魔核ってゴーレム作りの他に何か作れないのかな?


「魔核が欲しいか?お嬢」

「んー。いなない」


 今は何も思いつかないからいらないかな。

 勝手に採取してはいけないと、言われたそばから取ろうとする。

 それが伝説の武器クオリティ。


「魔石はどうだい?姫。ここは誰も来ないから大きく育っているようだよ」

「大きな魔石、主さんの役に立つ」


 あ、皆は戦闘がしたいのですね?


「じゅぷーん。どじょー」


 残りの十分くらいで良ければどうぞ。


「よしっ、大きな魔石取ってくるぜ!待ってろ、姫さん」

「なるべく綺麗な形の物を持って来ますね、主殿」

「わたしが主のそばにいますから、大丈夫ですよ」



 ビンッ!ガコンッ!



 言ったそばから矢を放つミスティル。

 たった一本で上半身を散り散りに破壊。



 シュッ、パリンッ!



 ミスティルが破壊したゴーレムを追撃したのはハルパ。

 鎌がスラリと動き、引っ掛けるように魔核本体を破壊した。



「わ、私達も…」

「いっちゃう?」


 ちょっとウキウキして武器に手をかけるリンダお姉さん。

 レーネお姉さんも武器に手をかけたところで、ミスティルに止められる。


「高山なので、頭痛と吐き気で動けなくなりますよ」

「うっ、それは嫌かな」


 動けなくなるのは流石にまずいと思ったのか、しょんぼりと結界の外を見るお姉さん達。

 その間にも武器達の攻撃は続いていた。



 カカカカカッ!



 氷華の放つ苦無が魔核だけを破壊する。

 その途端ゴーレムの大きな体が崩れ始め、ただの岩になる前に素早く魔石を抜き取った。



 ゴンッッ!バキッ!



 ミルニルは大きな戦鎚一振りで上半身を破壊。

 魔核を掴み、バキッと片手で折っていた。



 ジュウ…ガキンッ!



 レーヴァは炎の剣で足を焼き切り、もんどり打ったゴーレムの魔核を魔法で溶かしていた。



 スゥイッ、シャッ!



 ハルパの攻撃。

 大鎌で一振りすると右腕が、もう一振りすると頭部が、と切れて落ち、上半身が無くなると魔核本体を破壊した。



 ガッ!



 鳳蝶丸は敵の懐に入り、短剣で直接魔核を破壊。

 ゴーレムがボロボロ崩れ始めると魔石を素早く取って、ニッと笑う。



 五分ほどで戦闘は終了。

 大きな魔石をそれぞれ持って結界に入って来る。

 ハルパが最初の魔石をミスティルに渡し、六人が私に魔石を差し出した。


「どれがいい?主さん」


 ミルニルがニッコリ笑う。


「一番大きいのは俺だぜ」

「わたしの方が大きいと思いますが?」


 氷華のもミスティルのも大きいよ。


「私の魔石は形が美しいと思いませんか?この多面体。ここまで形が揃ったものは滅多にありません」

「それを言うなら俺のかな。見て、この美しい球体。姫みたいに愛らしい」


 本当に、どちらも甲乙つけがたい綺麗な形だねえ。


「俺の取った魔石はお嬢のものだ。受け取ってくれ」


 わあっ!ありがとう、鳳蝶丸!


「じぇんぶ、しゅどいねえ。なにた、ちゅちゅゆ、ちゅたう」


 全部凄いねえ。なにか作る時に使わせて貰うね!

 テーブルに大きい魔石を置いてもらい、眺めたり突いたりして遊ぶ私。



「ゆき殿が希少品を沢山持っている理由が今日わかりました」

「片鱗を見た気がします」

「たった五分で大きい魔石が複数………」


 フィガロギルマス、ディリジェンテさん、エレオノールさんが遠い目をしている。


「納得した。金銭欲がないはずじゃ」

「私はまだ戸惑っているよ」


 ヴァロさんとルーチェさんも遠い目をしていた。




 休憩を終え、再び走る山の上。

 稜線を走り始めた時は車内がざわついた。岩稜帯に突入したからね。

 大丈夫。尾根の先を地面と見做し、平衡を保って走るから傾かないよ。


 切り立った崖の時は浮遊をかけ、エレベーターみたいにゆっくり降りる。


「ハチャメチャだ」

 ウンウン…。


 精鋭の誰かが呟く。

 私もアレだとは思う。でも、そこはほら、近道って思えばいいんだよ!


 え?空走っちゃえばいいじゃないかって?

 それは冒険っぽくなくて、面白味に欠けるでしょう?

 やっぱりハラハラドキドキも体験しなくちゃね。




 山は下りに差し掛かる。しばらく進むと崖に行き付き、眼下に大きな森が広がっていた。見渡す先まで広がる広葉樹の森。木々がかなり密集しているので地面を走れそうにない。


「下は走れませんね」

「わたたっ、じゃっねえ…」


 わかったっ。じゃあねえ…。


 だったら上を走っちゃえばいいんだよ!

 二台の車に木の上を走るよう浮遊を付与して…、よしっ。


「いちゅ、じょー。しゅぱーちゅ!」

「フフッ、了解です」


 行くぞー。しゅっぱーつ!


 ハルパがアクセルを踏む。

 車は崖を飛び出して、緩やかなスロープ結界を下る。

 車内で息を呑むヒュッて音が聞こえたけれど気のせいだよね?


 楽しいな、楽しいな♪



 車は広葉樹の上を走り出した。

 緑の絨毯だっ……。アレ?ボコボコな草原って感じで普通?


「なんてことじゃ!(わたくし)は今、冒険をしておるぞっ。楽しすぎるの!」


 高い場所を走るのに大分慣れたのか、ヴァロさんはとても楽しそうにしている。

 うん。それならオッケーだね♪

本作をお読みくださり、☆評価、ブックマーク、いいね、感想をくださりありがとうございます。

とっても嬉しいです♪

誤字報告も大変助かっております。いつもありがとうございます。

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