300. 旅路の続き、はーじまーるよー!
新年明けましておめでとうございます。
皆様にとって良い年でありますようお祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いします!
あいのの.
しばし休憩の後、大ホールに案内され昼餐会となりました。
「わあ!どーた」
豪華だねえ。ロストロニアン城はすっごく私好みな建築で素晴らしい!
派手過ぎず、でもあちらこちらに彫刻が施されている。
そして他の場所と同じように花が沢山飾ってあり、白い壁に金色の文様が入っていてとても美しい大ホールだった。
昼餐会はビュッフェ形式で座席はあまりなく、皆さん立ち待ちしている。
端の方にはテーブルと椅子が置かれ、高齢者らしき男女が座して待っていた。……高齢者と言っても六、七十代くらいにしか見えないけれど、彼らは一体何歳なんだろう?
大ホールを眺めていると、清楚華憐で美しいエルフの中にひと際目立つカップルがいる。お着替えをしたであろうヴァロさんとルーチェさんだった。
ソルスティスマルシェで当てたアール・ヌーヴォー風ドレスとモダンクラシックスーツをバッチリ着こなしている。
アール・ヌーヴォー風ドレスは少し儚げな妖精的デザインにしたんだけれど、ヴァロさんが着ると迫力増し増し美女と化すのは何故だろう?
儚げから艶やかにシフトチェンジしているよ。
しばらくして王族の皆さんも登場。
大ホールの上座、数段上がった玉座付近にフィンさんが立ち、側近さんから陶器のワインカップを受け取る。あ!あれは私がソルスティスマルシェで用意した、和製陶器のワインカップ!
「皆の功労を称え、本日の昼餐会を設けた。皆、楽しむが良い」
ワインカップを高く掲げると、他のエルフ達も陶器のワインカップを掲げる。
そして歓談しながらの昼餐会が始まった。
興味はありそうだけれど、エルフの貴族達が私達に話しかけてくることはない。王様のフィンさんが丁重に接するようにとお達ししてくれたからかもしれない。
時折小さな子が「お菓子美味しかった」と声をかけてくる程度だった。
少しして揉みくちゃにされていたフィガロギルマスが戻って来た。
「おちゅたえ、しゃま、でちゅ」
「ああぁ。ゆき殿~。癒しぃ」
お疲れ様ですって言ったら。顔をヘニャヘニャにしている。
何だかお疲れみたい。
フィガロギルマスの話によると、ソルスティスマルシェ終了から今日までの数日間、お見合いパーティー三昧だったんだって。
今回授爵するのでは?なんて噂が流れ、食い気味の肉食女子達に猛突進され続けたと言う…。
「本当に授爵の話もあったのですが、丁重に辞退いたしました」
「貰っちゃえば良かったのにぃ」
ワインカップを持ったレーネお姉さんがニヤニヤ笑いながらフィガロギルマスを揶揄う。
「イヤですよ」
「領地なしなんでしょ?それなら大丈夫じゃない?」
「そうもいきませんよ。貴族になってしまったらアレやコレや煩わしいこと盛沢山です。仕事が自由に出来なくなりますし、ゆき殿の楽し…貴重な時間もとれなくなってしまいます。私はもっと仕事がしたいっ!まだまだ独り身希望ですっ。自由万歳!」
フィガロギルマスの場合、仕事人間と言うより貴重・希少品に触れていたい、変た…趣味全開の人って感じ。身を固めることに心が傾かないのは、比較的若い(たぶん)からと、熱情が恋愛以外に振り切っているからなんだろうと思う。
それに……私達の事情が分かっていて、ある程度融通が利くフィガロギルマスが自由であることは……個人的にもありがたい。
いや、結婚したいならばもちろん応援するよ?でも本人が嫌だと言うんだから仕方がない。
ちょっとばかり手助けしちゃうかな。
「わたち、かじょちゅ、しゅうどう」
我が家族集合…。ワイヤレス通信で皆を集める。
これから私の言うことは本気にしないように。いいね?
私が悪だくみ(?)をしている間に王様のフィンさんやヴァロさん、ルーチェさんが集まり話をしていた。
「聞こえたぞ、フィガロ。エルフはなかなか子に恵まれぬ。今からの結婚でも遅いくらいじゃぞ」
「ヴァロはお前の心配をしているのだ」
「親は子を心配するものだ。そなたは頭脳明晰であり、剣の腕前もなかなかのものだった。そうだ。我が第四王女と婚約なぞどうじゃ。先日の勇姿をみて心ときめいていたようだぞ」
「おおっ、第四王女殿下が!それは素晴らしい。のう?フィガロ」
「し、しかし、年齢差が…」
「エルフに年齢差など些末な問題じゃ。なに。数十年もすれば素晴らしいレディにお育ちじゃろう」
「目に入れても痛くないほど可愛い我が王女では不足だと?」
「いえっ!決してそのような……」
フィガロギルマスが大汗をかいてたじろいでいる。
王様から言われると、流石に何も言えないらしい。
第四王女のほのかな想いが本当かどうかわからないけれど、ごめんね。
本人が望まないことを強制するのはちょっと…と地球生まれ一般人育ちの私は思っちゃうんだ。
だからまだ結婚したくないと言っているフィガロギルマスの味方するね。
ハルパ、お願いします。
御意。
私達はススス…とフィガロギルマスを中心とした集団に突入。
自分に出来る最大の可愛い表情をつくる。
ちょっと寂し気にする。
そして言い放つ!
「ヒナヨ、ジユマシュ、てっとん、したう?ゆち、しゃみち」
きゅるん☆
フィガロギルマス、結婚しちゃうの?
ゆき寂しい…。
あ、まずい、顔が、顔が!
急いでハルパの胸に顔を埋め、ンフウ、どやあ!
決まった!と思ったら、楽しくなってどや顔になっちゃった。
見られなくて良かった。
でも、その行動が功を奏したのか、ヴァロさんもルーチェさんも王様もウッ!と無言になる。
「主殿は商業ギルド長と話をするのが楽しいらしいのです」
「………そ、それほど慕ってくださるのか」
「ゆき殿…。ご安心ください。もちろん、私は結婚しませんよ。これからもゆき殿と一緒に、貴重品、希少品を愛でてまいります」
いや、一緒に貴重品を愛でなくても良いんですが…。
「い、今のところはこの辺にいたそう」
「う、うむ。ゆき殿。フィガロはまだ若い。すぐと言うことではないのだ。どうか機嫌を直しておくれ」
「ほんと?」
「ええ、仕事に邁進したのち結婚しても良いのですから。ヴァロもそれでいいだろう?」
「もちろんじゃ」
私が言うとこの場にいる人は逆らえない。
狡いやり方になっちゃうのは申し訳ないけれど、心配するヴァロさんには申し訳ないけれど、長い付き合いのフィガロギルマスの味方をしちゃいました。
ごめんなさい。
ううう~と背後から聞こえたので振り向くと、安堵のためかフィガロギルマスがダバーーーッと涙を流していた。
うんうん、頑張ったね、良かったね、フィガロギルマス。
実は皆、諦めてなさそうだけれど、とりあえず数年は大丈夫なんじゃないかな?
今後のことは自力でなんとかしてね。
眠くなりそうだったので、とにかく何か食べようと食べ物が並ぶテーブルにやってまいりました。ハルパ抱っこで、ミスティルが食べさせてくれるようです。
「こえ、おいちい」
「これですか?」
なんだかわからないけれど、ちょっと甘くてフワフワな食べ物を口に入れてもらった。例えるなら揺らすとフルフル震えるくらい柔らかいスフレオムレツ。
全体的にやっぱり塩味だけれど、エルフの料理は香味野菜(ハーブや薬味を含む)が豊富に使われている感じかな?
鑑定ちゃんに聞いたら、ホロッホウという体長一メートルの鳥の濃厚で美味しい卵とゴールデンカーンジィーという魔獣の乳、ヴァッサ・ポップという天然水を少量混ぜ合わせて焼いたものらしい。
「ヴァポプウ?」
「どうしました?主」
「ヴァッサ・ポップが気になりますか?」
「あい。ホロホウ。ドーユデン、ターンジ、ヴァポプゥ」
「ああ、この料理の。ホロッホウの卵は濃厚で美味しいと言われています」
「わりと大人しいので狩るのは簡単です。肉も美味しいらしいので、狩りましょうか?主」
「………いえ、大人しくなんてありませんよ」
二人の発言にツッコミを入れるモッカ団長。結構命懸けで卵をとってくるらしい。
「ゴールデンカーンジィーは大変大人しく、仲間や子に危害を加えなければ襲ってくることはありません。余った作物などを食べている間に乳しぼりをすれば濃厚で甘く、美味しい乳を採取できます。ヴァッサ・ポップは裾野や森の比較的奥まった場所に湧いている天然水で、料理に入れるとシュワッとした舌触りになる不思議な水です」
この間のソルスティスマルシェで購入したシャンパーニュの白ワインもシュワシュワしていますが、そう言えば見た目はヴァッサ・ポップに似ていますね。
我々は料理に使うものと認識しているのでヴァッサ・ポップを飲む習慣はありませんが、シャンパーニュのような感じ何でしょうか?とモッカ団長が微笑む。
えっ!完全に炭酸水では?!
料理に入れるとシュワシュワするってところは違うかもしれないけれど。
鑑定ちゃんは飲料可って言ってるから、普通に飲めるのでは?
モッカ団長の説明を聞く限り、ヴァッサ・ポップは炭酸水としか思えない。
欲しい、欲しいよ炭酸水!卵も乳も!でも時間がないんだよ……。
「また、ちたい。ちゅじ、たまど、ちち、たんしゃんしゅい」
「主は、次に来た時に卵と乳と炭酸水が欲しいと言っています」
「ええ、ぜひまたいらしてください。国王陛下に進言して、私が採取場所をご案内します」
「あいっ、よよちく、おねだい、ちましゅ」
「我らが狩りをするので安心するように」
「はい。ありがとうございます。ご来訪をお待ちしております」
次回ロストロニアン王国に来れたら、木の実やお花畑の村に言ったり妖精さんの森探索や、メープルシロップと卵、乳。それから天然炭酸水の採取!
やることいっぱいだあ♪
この旅が終わったら、また来ようね!
…………ンハッ!
いつの間にか寝ちゃった。目覚めると私室のベッドで横になっていた。
私が眠ってしまったのでお城から戻り、冒険者ギルド野営場のテントから繋ぎっぱなしの転移の門戸で自宅に戻ったんだって。
【虹の翼】のお姉さん達や、フィガロギルマス達はまだお城にいるそうです。
「目が覚めましたか?」
「あいっ」
「普通の洋服に着替えますか?」
眠っている間に三毛猫ちゃんロンパースに着替えさせてくれたみたい。
今日はもうお出かけする気もないし、このままでいいです。
私は皆のいるリビングに連れて行ってもらった。
「お疲れ、姫さん。まだ時間がかかりそうだったから帰って来ちまったけど、いいか?」
「うん。みんにゃ、おちゅたえ、しゃま、でちた」
リビングには 氷華、ミスティル、レーヴァが寛いでいた。
鳳蝶丸とミルニルは作業部屋で車の整備しているらしい。
「ソグナトゥスは国王に渡したよ」
「あいあい、あにあと、イエーバ」
ソグナトゥス54頭を売りさばくには時間がかかるだろうと、時間停止付きのマジックボックス「たったいちゃん21号」をフィンさんに貸し出すことにした。
登録のメインは私達で、あとは王様とモッカ団長だけを登録し、全て売れた後に返却してもらうようにしたよ。
無事ソグナトゥスを渡せたことが確認できたので、休憩にしよう。
今日は緑茶と豆大福、フルーツ大福です。
「おやちゅ、ちよ」
鳳蝶丸とミルニルを呼んで、皆とおやつを食べながら今後の予定を話し合おうと思います。
「やいたいとと、いぱーい、あゆ。でも、じたい、ちまちゅ」
ロストロニアン王国でやりたいことがいっぱいあるけれど、次回にします。
「ヴァーヨしゃん、おちゅゆ、チージュ、たう。みなと、いちゅ、海、わたゆ」
「ゼッテンシュートを送ったら、そのままロストロニアン王国を突っ切り、カゼアリア共和国でチーズを買って、ペスケーラ王国から海を渡る、でいいか?お嬢」
「あいあい」
「海は船で渡る?主さん」
「うーん」
本当は船に乗りたかったんだ…。憧れのガレオン船!
でもロストロニアン王国で大分時間を使ったし、のんびり船旅をすると後半が詰まりそうなので、今回はあきらめて車で行きます。
あ、ソルスティスマルシェはとても楽しかったから、滞在したことは後悔してないよ!
「ペスケーラからウルヴァルトまで距離がありますから」
「空から行っても一泊になるほどです」
「姫の言う通りで良いかもね」
「俺もそれでいいと思う。まあ、気になったところがあれば寄るんでいいんじゃないか」
ハルパ、ミスティルの言う通り、ペスケーラ王国からウルヴァルト王国へ行くには、船だと乗り継いだりしなくちゃいけないし、港から港へ陸地移動をしなきゃいけない場所もあるから時間がかかる。
海を渡るのは車にしようと言う案はレーヴァ、氷華、そして皆も賛同してくれた。
じゃあ、ひとまずそれで決定ね!
お姉さんやフィガロギルマス達がお城から帰ってきたら旅程の話をしよう。
明日から旅の続きが始まるねっ。
ワクワクだあ!
本作をお読みくださり、☆評価、ブックマーク、いいね、感想をくださりありがとうございます。
誤字報告もありがとうございます。助かっております。
新年の投稿初めに300話目を迎えました。
皆様に応援していただいたおかげで続いております。ありがとうございます!
これからもどうぞよろしくお願いします。




