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巡れ!半神と仲間たち 半神幼女が旅行とごはんとクラフトしながら異世界を満喫するよ! ~天罰を添えて~  作者: あいのの.


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298. レインボーアコヤ、再び

「すでに片付いている……」


 10時頃にフィガロギルマス達と【虹の翼】のお姉さん達、ヴィーサスさんとヒュヴァー商会の皆さんが会場に来てくれた。

 片付けを手伝うつもりで来たらしいけれど、もう全部片付けた後なんだ。




 今朝起きて、まず[精霊・妖精広場]の結界を解き、魔石や水晶を片付けた。

 お菓子はやっぱり無くなっていたので、妖精が来てくれていたんだろうと思う。


 マジックバッグにモミの木と土を仕舞ったミスティルが、転移の門戸から我が家のお庭に向かったので、根っこを伸ばしていた場所に広げた空間を解除し、元の床に戻した。



 余談だけれど、モミの木の下に咲かせていた[永遠の聖なる青薔薇(ブルー・ラ・レーヌ)]のこと。

 ミスティルの話だと、青薔薇に気付いたのは小さな女の子で、とてもとても綺麗!と言ったためイバヤちゃんがそっと差し出したらしい。

 普通の大人であれば植物が花を差し出すなんて怖いだろうけれど、女の子はもらっていいの?と笑顔で受け取り、母の座るテーブルに駆け戻って行った、とイバヤちゃんが教えてくれたとのこと。


 お金に困窮した母と娘が[永遠の聖なる青薔薇(ブルー・ラ・レーヌ)]によって危機を脱したと、神様に教えてもらったのは後の話。

 やったね、イバヤちゃん!



 さて続きです。

 外側の結界と床結界だけは残しておく。外側は音漏れ防止と匂い漏れ防止、床は火を通さないと汚れは清浄を付与しておく。

 慰労会で汚してはいけないからね。

 あとトイレテントを男女各二張り出し、転倒防止および音漏れ禁止、悪意あるものは入れないの結界を張っておく。


 うん、これでいいかな。




 と言うことで、大体の片付けは終わっているんだ。だから…。


「バーベチュ、ちたちゅ、おねだい、ちまちゅ」


 打ち上げバーベキューの支度を一緒にしてください!


「わかりましたっ」

「お肉!」


 フィガロギルマスやレーネお姉さんはバーベキュー経験者。

 大喜びで支度を始める。


 テーブルとイスは素朴な木製バージョン。

 こちらもこたつテーブルだけれど、もう雪を降らせていないのでスイッチは切りました。


 簡易テーブルも何台か出して、ミニ冷蔵庫、ビールサーバーやワインなどのお酒、ソフトドリンク等々を出す。お肉なんかは皆が揃ってからでいいや。


 バーベキューコンロの木炭に火がつき準備万端となった頃、ポツポツと人が集まりだす。今日は自由参加だから、全員揃わないかもね。



 では予定の11時になったので、そろそろ始めます。

 まずはヴィーサスさんから労いの言葉と協力者への礼が述べられた。


 次は氷華抱っこの私がご挨拶です。


「みなしゃ、おちゅたえ、しゃま、でちた」

「皆さん、お疲れ様でした、だそうだ」

「ちょうよちゅ、あにあと!おえい、たちゅしゃん、食べてね」

「協力ありがとう。お礼のバーベキューだ。沢山食べてくれ」


 B級以上のお肉ばかりだし、お野菜も以前買った中の良いものばかり。

 レインボートラウトや、岩石エビ、私達の島の海底で拾った貝。角煮入り焼きおにぎりやバイオレントホグキング(SS級)の豚汁もあるよ。

 好きな物を沢山食べてね!


 バーベキューコンロの使い方は我が家の皆やお姉さん達が説明してくれた。



「慰労会を開いてくださってありがとうございます。色々と声をかけて良いと言うことでしたので、広く声をかけてしまったのですが、大丈夫ですか?」

「もちよん、いいよ」


 皆で楽しくバーベキューをしよう!


 ヴィーサスさんは途中から手伝ってくれたお姉さんの商会職員さんや、非番の門兵さんに声をかけたんだって。

 今日の門兵さんには時折差し入れを持っていき、お酒の販売時には交代で休憩として購入してもらうことになっているらしい。



 お肉を焼き始め、良い匂いが漂い始めたころ、結界に入ってくる人がいた。


「慰労会会場はこちら?」

「ハッ!あ、姉上も来たんですか?」

「あら。酷い言い方ね。我が商会の職員を貸したのだから良いでしょう?」

「姉上はソルスティスマルシェでただただ食べていただけでは?」

「売り上げに貢献しておりました」


 清楚可憐な雰囲気の美しい御婦人。美男美女に囲まれて登場!

 なんと、ヴィーサスさんのお姉さんが美食家婦人だった。


 でもね。清楚可憐なんだけれど…何だか妖艶なんだよ。

 どう説明して良いか分からないけれど。



「こんにちは。(わたくし)はヴィーサスの姉、ルオカ・ヘルックと申します。夫が継いだ…ような気がするへルック商会の商会長です。よろしくお願いいたします」


 継いだような気がする?

 私が思いっきりハテナな顔をすると、義兄が商会長だったはずが、いつの間にかルオカさんが商会長の座に着いていた、とヴィーサスさん。


 ちなみにルオカさんの旦那さんは、珍しい商品を求めて世界各国を廻っているそう。旦那さんがほぼ不在で商会が潰れかけ、急遽妻であるルオカさんが商会長について数年で立て直したらしい。

 実は凄腕商人なんだね。



 それにしても…。エルフの皆さんって物静かなのに、濃い人が多くない?

 ……私の周りにいるエルフさんだけなの?



「おねしゃん、どじょー」


 せっかく来たのだし、美食家婦人のおかげで売り上げもアップしたことだし、働き手を貸してくれたんだし。問題ないから良かったら食べていって。


「す、すみません。ゆき殿」

「いいよ。職員、しゃん、たちて、あにあと。どじょー」

「職員に力を貸してもらったから参加してかまわないそうだぜ。ありがとう、ってことだ」

「ありがとう存じます、お嬢さん。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。………では早速」


 ルオカさんは丁寧に頭を下げたかと思ったら、バーベキューコンロに速攻突進して行った。



「こちらでお肉を焼きますのね」

「お嬢さん達はこちらにどうぞ」


 レーヴァがルオカさん御一行を空いているバーベキューコンロへ誘う。そして炭に手をかざすと、たちまち黒が赤くなった。


 魔法ですか?

 無詠唱は初めて見ました。


 興味深そうに炭とレーヴァを見るルオカさん。

 レーヴァは鮮やかに微笑み、魔法に関して何も言わなかった。


 ここに肉や野菜などをのせて焼くんだよ。

 肉はタレ漬けじゃないから、こちらのタレをつけて食べて。

 炭の火が強くなることがあるから火傷に気を付けてね。


「これは面白いわね」

「トングと言うよ」


 ルオカさんが、トングをカチカチしながら楽しそうにしている。


「火鉢に使う物?それにしては短いのね」

「それは食材を焼く時に使うんだ」

「こうかしら?」


 トングで肉をつまみ、バーベキューコンロにのせるルオカさん。

 ジュウッと耳に心地よい音と、香ばしい匂いが辺りに広がった。


「はあ、良い匂いね。こちらはS級。こちらはSS級のお肉。流石の(わたくし)もSS級のお肉は初めてよ」


 ルオカさんの発言にグッフォ!と咽る皆さん。

 商人だけあって、ルオカさんも物品鑑定持ちなのね。

 ルオカさんは右目で鑑定できて、見ようと思ったら文字が浮かぶタイプらしい。後で確認したら、魔力量の多いエルフで特に商人の家系は、物品鑑定持ちが多いんだって。



「このような贅沢、一生に何度もございません。ではいただきます」


 ンー…美味しい。お肉がとろけます。

 脂の甘み、しっかりとした肉質。肉自体の旨味もあり最高級なお肉ですのね。

 それに何と言ってもこのタレ!

 生姜、ゴマ、ニンニクの香り。スパイスがふんだんに使われておりますね。この香りは…(わたくし)も知らない調味料。

 大胆かつ繊細でまとまりのあるタレが、お肉にも野菜にも合います。

 はああぁ、美味しい。その一言につきますわ。


 と、周りに構わずどんどん焼いてどんどん食べるルオカさん。


「フィガロ殿?SS級を皆に振る舞って良いのでしょうか?」

「気にしたらキリがありません。だってゆき殿ですから」

「それで済ますおつもりですか?!」

「ええ。だってゆき殿ですから」


 『だって私だから』で押し通すフィガロギルマス。

 C級以下のお肉は全部売ってしまったからお手頃なの無いし、美味しい方が良いじゃない!


 あ、そうだ!

 簡易テーブルとバーベキューコンロを出し、レーヴァに火をおこしてもらう。


「ミシュチユ、おねだい、ちまちゅ」

「ええ、わかりました」


 はい、ドーン!

 前回島に行った時、ミスティルとミルニルが採った巨大蟹!


「爪を焼きますね」


 バリバリバリバリィー!

 ミスティルが豪快に蟹の爪部分を圧し折る。


「主さん。もう一つコンロ出して」

「あいあい」


 バキバキバキバキィー!

 ミルニルも足の関節部分を圧し折っていた


「切っておくか」


 鳳蝶丸が殻の一部を削ぎ落としてコンロにのせ、豪快に焼き始める。



 一部始終を見ていた皆さんは口を開いて蟹を凝視している。

 フィガロギルマス涙目。


「あ、あ、あ、あれは……ヒュージスレットクラブ!高額取引になるヒュージスレットクラブ…。防具になることで有名なヒュージスレットクラブを手で割るなんて…」

「しかも焼き始めました」

「そうなんですよ。彼等は美味しければ何も気にせず焼いてしまいます。レインボーアコヤも躊躇なく焼……、ああっ!」


 美味しいからレインボーアコヤも焼こうね!

 私がバーベキューコンロに貝をのせようとすると、ヴィーサスさんが凄い勢いで駆けてくる。


「お待ちくださいっ!焼く前に真珠を!」

「んぅ?」


 慌てて突っ込んできたヴィーサスさんを氷華がヒラリと躱す。その拍子にレインボーアコヤが手から落ち、焼き網に転がってしまった。


「ああっ、今からでもっアッツ!」

「お肉だけでも驚きですのに、豪快が過ぎます」


 流石のルオカさんも驚きが隠せない様子。


「でもお嬢さんのレインボーアコヤです。ヴィーサスちゃんにはそれを止める権利はありません」


 ルオカさんがトングで貝を綺麗に並べ、貝はそのまま焼かれることになった。


「あにあと。おねしゃん、あでゆね」

「まあ、嬉しい!どんなお味なのかしら」


 あげるねと言ったらワクワクし始めるルオカさん。

 流石美食家婦人。食べることに関して躊躇が無い。



 やがてパカッと貝が開く。そこにバターとお醤油を落としてえ。

 はあぁ、いい匂い!


「ねえ、この貝柱…めっちゃ見たことあるんだけど?」


 そこにレーネお姉さんがやって来た。

 そう言えば死の森調査の時、最奥のセーフティエリアで食べていたかも。


「食べたあと、すんごい力が湧いたのって、もしかして、もしかする?」

「そう言えば食べていただいた気がします」


 フィガロギルマスも思い出したみたい。


「ええーーーっ!あの時食べたのって、レインボーアコヤだったの!マジ?」


 1年以上後に知る事実。


「なんて高価なもの食べさせてンのさ。……てか、美味しかった☆」


 美味しければなんだってアリだよね、レーネお姉さんっ。


「さあ、焼き上がったよ。お嬢さんと…君も食べる?」

「いいの?」


 あの時じっくり味わえなかったから嬉しいぃ。

 レーネお姉さんはお皿に貝をのせてもらい、皆で分けるとローザお姉さん達のところへ行った。

 もう四つ渡すからエレオノールさんやディリジェンテさん、フィガロギルマスにも分けてね。



「バターの甘みと調味料の香ばしさが絶妙ね。磯の香りと相まってとても美味しい。いえ、美味しすぎです」


 ルオカさんは早速食べ始め、幸せそうに食レポしている。

 他の人達からはそんな高級なものは食べられないと断られ、残りは我が家族皆で分けて食べました。あ、ヴィーサスさんにもおすそ分けしたよ。



 蟹は大きすぎてなかなか火が通らなかった。

 慰労会の終了時間になってしまってもいけないので、レーヴァがスザクを呼び出し、良い感じの焼き具合に調整してもらう。


「脚は全部焼いてしまおうか」

「あい」


 結局脚と爪は全て焼いて、蟹の体部分は無限収納内で解体し、甲羅はヴィーサスさんにお安く買い取ってもらうことになった。

 鳳蝶丸達が甲羅酒…と呟いていたけれど、流石にこの蟹の甲羅じゃ大きすぎるんじゃないかな?

 どこかの海でお手頃な大きさの美味しい蟹を見つけたら、甲羅酒を呑めば良いと思う。


「美味しいかい?姫」

「うんっ、おいちい」


 焼き蟹の身も甘くて美味しいよ!

 大きな身は切り分け、蟹酢とポン酢で美味しくいただきました。


 海の食べ物は滅多に口に出来ないと、皆さんに喜んでもらえたよ。



 お肉や魚介類の追加をしてお腹一杯食べ、そろそろ終了時間となります。

 皆疲れているだろうから早めに切り上げるね。


「そろそろ酒の販売を始める」

「ソルスティスマルシェで出していた品も売ります。希望者はいますか?」


 我が家の皆がマジックバッグやボックスを出し、品物を売り始めると、皆さん欲しい物を買い始める。門兵さん達も交代で買いに来て、お酒は夜に楽しみますとウキウキ戻って行った。



 一通り終わり、記念のお酒グラスセットを渡して解散とする。


「コンロはこのままでいいぜ」

「ありがとうございました」

「最高に美味しかったです」


 皆さん嬉しそうに荷物を抱え帰って行く。


「たのちたた、ねえ」


 楽しかったねえと言うと、我が家の皆も口々に楽しかったと応える。

 私の家族が楽しいのが一番嬉しいよ!



 そして会場に残ったのは、私達、フィガロギルマス達、ローザお姉さん達、ヴィーサスさんと秘書、ルオカさんと秘書だけとなった。


 私がコンロやお皿などを清浄すると、鳳蝶丸達がマジックバッグに仕舞う。

 最後に外側と床の結界を解除、[星と湖]会場全体を清浄して全て終了した。


「あれだけの物が無くなると、なんだか寂しいですね」

「あい…」


 やっぱり少しだけ寂しくなっちゃうよね。


「ちょうちたん、おしぇわ、なた。あにあと、ごじゃい、まちた」

「長期間世話になりました。ありがとうございました、と主殿が言っております」

「いえいえ、こちらこそ。大変有意義なイベントでした。ありがとうございました」


 ヴィーサスさんにお礼を伝える。

 彼らの協力なくしてここまでの大規模なイベントは出来なかったもんね。


「やちゅしょちゅ、今、わたしゅ?あちた、しょうたい、もてちゅ?」

「約束の物は今渡しますか?明日商会に持っていきますか?」

「出来れば明日、夕方頃にお願いします。」

「わかりました。明日渡します」


 明日ヒュヴァー商会に行ってエメラルドセットを渡し、明々後日お城に行って、その翌日早朝に出発の予定でいいかな?

 出発までは王都散策をして、それから旅の予定を変更しなくちゃね。



「あの、一つ良いですか?」

「あい」

「結局、皆さんの正体は…教えていただけるんでしょうか?」


 あ、そんな話もあったね。


「ヴィーサスちゃんから、皆様のことを聞きました。出来れば(わたくし)も知りたいです…よろしいかしら?」

「何故聞きたいのですか?」

「そうですね。単なる好奇心と、出来れば懇意となって……」


 ハルパの問いに、静かな微笑みを浮かべるルオカさん。

 商人だし、私達の商品を仕入れてたいと言うところかな?


「懇意となって、今後も美味しいものを買わせていただきたいからです」


 そっちかーい!

 今日もシュトレン十個買って、一ヶ月持たないって嘆いていたしね。


 地図を見るとルオカさんの青点がピッカピカ光っているし、話してもいいよ。

 あ、ヴィーサスさんは普通の青点です。


 私が頷くと、ハルパがヴィーサスさんとルオカさんに説明を始める。


 私達の正体を話すのには二通りある。

 一つ目はただ単純に正体を知るだけ。

 二つ目はもう少し踏み込んだところまで知ること。

 二つ目の場合、魔法契約が必要となる。契約内容は斯々然々である。

 また一つ目、二つ目どちらも条件がある。

 それは我が主に無理強いをしない等々。


 ヴィーサスさんもルオカさんも、魔法契約の内容とフィガロギルマスの口添えを聞いて魔法契約を選んだ。




「お嬢は神に仕える神子で、俺達は『伝説の武器』と呼ばれる者だ」


 魔法契約を終えてすぐ、鳳蝶丸は私達のことを話す。

 ルオカさんとヴィーサスさんは私達の正体を聞いて固まっていた。


 しばらくしてから跪く二人。


御使(みつか)い様とは露知らず、数々の御無礼、失礼いたしました」

「本日はお肉を沢山いただき感謝申し上げます。大変美味しゅうございました」


 ブレないな。ルオカさん。


 私達のことを話すと大体一度はこうなるので、最近は受け入れるようにしている。そして普通にしてほしいとお願いし、立ち上がってもらうのだった。


「はあ…、あの魔力量、あり得ない結界、見たことの無い品の数々。ゆき様の正体に納得しました」

「天上の食べ物と言っても過言ではない美味の数々。感服いたしました。次回いらした時は我がヘルック商会も全力で協力させていただきます。どうぞお声がけくださいませ」



 時間が出来たらこの国に遊びにくるね。

 その時はまたバーベキューとかしよう。


「ヴィ、シャスしゃん。あにあと。またね。おねしゃん、またね」

「はい!光栄です。ぜひまたお会いしましょう」

「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」


 こうして数日間開催したソルスティスマルシェは大成功!に終わった。

 とっても楽しかったよ。またロストロニアン王国に来るね!




 解散となり、皆で入り口に向かう。


「ヒッ!」


 フィガロギルマスの短い悲鳴と目線の先に、ピメイスさんが静かに立っていた。


「お待ちしておりました、フィガロ様。ヴァロ様がお待ちです」

「私はこれからヒュヴァー商会と後処理の…」

「ヴァロ様がお待ちです」


 お見合い、諦めていなかったのね?ヴァロさん。


「後のことは我が商会が受け持ちます。その……頑張ってください」

「弟の手助けは(わたくし)が。どうぞこちらのことはお気になさらず」


 早く終われと言わんばかりにヴィーサスさんとルオカさんが背中を押す。


「さあ、フィガロ様」

「……はい」


 フィガロギルマスはそのままピメイスさんに連行されていきました。

 登城まで数日。恐ろしい数のお見合いが待っているに違いない。


 頑張れ、フィガロギルマス!

 負けるな、フィガロギルマス!



 他人事でごめんっ!

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