296. 出会うべくして出会った二人…
おーはよーございまーす!
ソルスティスマルシェ開催でーす!
三日間走り抜けまーーーーーーーす!
朝早く[星と湖]会場へ行き、結界の付与を変更する。
プロジェクターと中が見えないを解除、悪意ある者および物以外は入場可。毒物持ち込み不可。
騒がしいと近所の方に迷惑がかかるので、音漏れ禁止は残しておく。
それから皆さん気持ちよく過ごしてほしいので、軽く治癒も付与しておいた。
「こ、これは?!」
「き、昨日まで普通の広場だったはずでは?」
今までずっと見えてなかったから、突然姿を現したソルスティスマルシェ会場に門番さん達が驚愕している。休憩時間などに遊びに来てね!
関係者の皆さんが来る前に、[精霊・妖精広場]へ甘いお菓子を設置する。
妖精さん達、来てくれるといいなあ。
少ししてヒュヴァー商会関係者が会場入りし、食料や雑貨などの搬入が終了。
そして酒屋の広場に全員集合した。
「おはよ、ごじゃい、ましゅ」
「おはようございます」
「ちょう、はじまゆ、よよちく、おねだい、ちまちゅ」
「今日からソルスティスマルシェが始まります。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします!」
まずはヴィーサスさんから説明があります。
「皆さん、おはようございます。今日から三日間気合を入れてまいりましょう!」
「はいっ!」
四日目はヒュヴァー商会全店舗を休みとします。
その翌日から通常業務となりますので皆さん疲れを癒してください。
また[サクラフブキ]さんのご厚意で、四日目休日の11時から14時まで慰労会を行って下さることになりました。皆さんにはその日にお酒の販売など行いますのでご安心ください。
次に私達の説明です。ハルパ先生、お願いします。
「こちらは関係者のみに配るカードです。カードは入り口店舗以外、[桜吹雪]店舗限定で提示すれば食事が無料となります。無くさないようにしてください」
まずは関係者全員に作った木製カードを配る。
カードには[ソルスティスマルシェ][桜吹雪:主催 ヒュヴァー商会:協賛][三日間の日付]と連番の番号が焼き印風に表示してある。
試飲コーナーでは使用できません。
四日目の慰労会で酒も果実水も振る舞うので、開催中の飲酒は禁止とします。
休憩時に遊戯小屋を利用することは問題ありませんが、こちらは自身で支払ってください。
説明は一通り終了し、各自配置につく。
ではでは、ソルスティスマルシェを開催します!
「いなたい、ましぇー!」
初日のソルスティスマルシェは朝から大盛況だった
煌びやかな王族と関係者が来ていたのが話題になったらしく、良い宣伝になったみたい。
ヒュヴァー商会が用意した町中の馬車乗り場では、本当に貴族じゃなくても良いのか?一般王都民でも良いのかと係員に確認する人々が沢山いたらしい。
もちろん大歓迎です!
初日にはヴァロさんとルーチェさん、他の夫人達も来てくれた。
食べて食べて食べまくり、遊んで遊んで遊びまくったヴァロさん。遊戯小屋ドレス&スーツ以外の各一位を、楽しそうに根こそぎ掻っ攫っておりました。
と言っても、一位の賞品はなくならないので、他の人も引き続き狙ってね♪
ちなみに今あるドレス&スーツが出たら、別のデザインや色に変える予定です。
「はあ、何と言う楽しさよ。食べ物も酒も美味しい。景色は美しい。遊びは楽しい。ねえ、旦那様」
「ああ、とても楽しいよ。ゆき様。このような素晴らしい催し物を開催いただき、心より感謝申し上げます」
「あい。たちゅしゃ、たのちむ、いいよ」
たくさん楽しんでね!
お昼ゴハンにパンチェロッティやカルツォーネ、クリスマスローストチキンを食べながら、楽しそうにしているゼッテンシュート家御一行。
美味しそうに食べてくれて嬉しいな♪
あ、そうだ。ヴァロさんにお話があるの。
「おちろ、ちまった」
「城に行く日が決まったぜ」
「我等にも連絡が届いていたな」
ゼッテンシュート家にも連絡が届いていたのね。
「ちゅじ、しゅっぱちゅ、しゅゆ。よたたら、おちゅゆ」
私達は登城の翌日、早朝に出発する予定だよ。
フィガロギルマスから楓のある町の場所は聞いたので、良かったら送るけれどどうですか?
ヴァロさんは契約済みなので、桜吹雪号に乗車可能だしね。
「なんと!良いのか?」
「護衛も連れて行かねばならないよ、ヴァロ」
「ピメイスと我が精鋭達を連れて行く。問題ないだろうか?」
もちろん!皆契約済みだし、車を二台に分ければ問題ないよ。
「私もご一緒しても良いでしょうか」
ルーチェさんは、ヴァロさんとレンペアさんにメープルシロップについての全権を渡すけれど、最初だけは顔を出すらしい。
「もちよんよ」
「もちろん良いってさ」
「ありがとう存じます。では後から護衛達をルスカに向かわせ私は先に行きましょう。後日護衛と合流し王都へ帰ることにいたします」
「わたた」
フィガロギルマスのお兄さんでゼッテンシュート家第五子のレンペアさんは、ルーチェさんの代わりにヴァーヘテラ地方全般を管理しており、ルスカという町に住んでいるんだって。
「一緒に行けますね、旦那様」
「そうだね、ヴァロ」
見つめ合う二人。…相変わらずラブラブだあ!………まぶちいっ。
まだ楽しむと言うのでここで別れ、気まぐれに第8店舗、シュトレンと焼き菓子のお店で売り子をする。ミスティル抱っこで呼び込みするだけだけれど、多くのエルフ達が足を止めてくれた。
本日の白クマちゃんロンパースが目を引いているみたい。可愛い可愛いと頭を撫でられた。
「いなたい、ましぇえ」
「可愛い売り子さんだこと。このお菓子はどんなお味かしら?」
シュトレンと焼き菓子は味見オッケー。
小さく切ったものを籐籠に入れて、氷華が差し出した。
「これは酒に漬けた果物がタップリ入っているぜ。こっちは酒なしの焼き菓子だ」
「どれも美味しそうね」
近くにいた人達が小さなお菓子をつまみ、どれも美味しいわ!と明るい表情になる。
「こちらをいただこうかしら」
「一ヶ月ほど保つ。味わいが変わるから楽しんでくれ。真ん中から切り分けて食べない時は切った面をくっつけ、乾燥しないようにな。大小があるけどどうする?」
「親切なのね。とても美味しいので直ぐに無くなりそうだけれど…。大きいほうをいただくわ」
その女性が購入したあと、滅茶苦茶人が集まってくる。
なんだ、なんだと戸惑っていたら、美食家で有名な女性なんだって。
「全ての料理を口にして、全ての料理を美味しいと堪能していましたよ。私達もついつい買ってしまいました」
ありがとう、沢山食べてくれた美食家ご婦人。
貴女のおかげで売り上げ増の模様です。
そのあと鳳蝶丸のいる酒屋さんへ行き、タブレットを見ながら共有の在庫を確認、追加したり、[精霊・妖精広場]の魔石に魔力充填したり、お菓子を替えたりした。
夜のサパン ドゥ ディヴェール(クリスマスツリー)点灯イベントでは、会場にいた皆さんが集まって涙しながら感動してくれたって聞いた。
嬉しいけれど、その様子は見られなかったの。
なぜなら昼間はしゃぎ過ぎてコテンと寝ちゃったから……。
ちょっと寂しい。
二日目です。今日はハムスター(キンクマ)ロンパースです。
お尻プリンプリンで可愛いけれど、足が短いので歩きにくい。抱っこ推奨です。
夕べは「誰も入れない」の結界付与をしなかったなと思いながら会場入り。
門番さんから問題ありませんでした!と報告を受けた。お礼に温かい紅茶とサンドイッチを渡しちゃった。
朝一番で会場中の魔石に魔力充填や広範囲の清浄をする。
「あっ、にゃい!」
[精霊・妖精広場]に行くと、お菓子のほとんどが無くなってる!
この結界には、精霊と妖精しか入れない。精霊はお菓子を食べない…と言うことは、妖精達が来たのかなあ。そうだったらいいなあ。
「きっと今頃、姫の美味しいお菓子を頬張っているよ」
「良かったですね、主殿」
抱っこ担当のレーヴァとハルパが良かったね、と頭をなでなでしてくれた。
また来てくれたらいいなと思い、お菓子は継続して置いておくね。
「それにしても凄い人出だね」
「昨日来た者達の噂を聞いて来たのでしょう」
恐らく口コミやリピーターもあり、お客様が倍増したと思われる。
「人手が足りず、姉の商会からも人を借りました」
「だいじょぶ?」
「はい。もしもの為に声をかけてあったのです。問題ありません」
エメラルドセットの取り分が少なくなるのでは?と心配したら、ヴィーサスさんもフィガロギルマスも、見積もった最低価格よりずっと高い金額になるから何も心配しなくていいと言われる。
だったら大丈夫なのかな?
「先日は加勢、そして討伐をして下さってありがとうございました」
ピリカお姉さんが遊びに来た。
パハ・トゥオクスの時のお礼を丁寧に言ったあと、凄いわ!素晴らしい!と[精霊・妖精広場]に突撃し、柔らか結界にビヨーンと押し戻されていた。
「触っていい?触りたい」
そこへミムミムお姉さんがやってくる。休憩時間なので[精霊・妖精広場]を見学しに来たんだって。
ああ…。
とうとう出会ってしまった。
魔法ヲタクのピリカお姉さんと魔法ヲタクのミムミムお姉さんが!
「あら、あなた。なかなかの魔力量ね」
「あなたこそ」
二人がじっと見つめ合う。
「魔法に興味がおあり?」
「それはもう」
と会話しながらも、柔らかい結界をフニフニする手が止まらない二人。
「私はピリカ。この国の宮廷魔術士団所属の魔導師よ」
「私、冒険者。【虹の翼】所属、ミムミム」
「私の夢はゆき様のような無詠唱と空中浮遊」
「私の夢は同じく無詠唱と付与結界を張ること」
私達、友達になれそうね。
うん。今度、話しよう。
ガッツリ握手をする二人。
「このあと何か食べに行きませんこと?」
「ごめんなさい。もうそろそろお酒売り場にいかなくちゃ。別の機会にぜひ」
「お仕事中?」
「今、ソルスティスマルシェ手伝ってる。そのあと護衛依頼。師匠と一緒」
「師匠?」
「ゆきちゃんのこと。私、弟子」
「ええっ!」
「でち、ちあう」
ミムミムお姉さんは弟子じゃないからね。
「師匠にはまだ認められてない」
「フフッ。では私も弟子を名乗ろうかしら」
二人はまたしてもガシッと握手をしている。
だから、弟子は取らないってば。教えることなんてできないからね。
「先程、師匠と一緒と言いました?」
「そう。護衛しながら一緒に旅してる」
「旅!ああっ、羨ましいっ」
「フフ…。毎日斬新」
「斬新…」
何だか二人で話がどんどん進んでいるんですけれど……。
とうとう、私、宮廷魔術士団を辞めて参ります。一緒に連れて行ってください。と言い始めるピリカお姉さん。
「辞め、だみぇ」
私のせいで辞めるのはダメだよ。
シオシオになるピリカお姉さん。
「べちゅ、たび、ちよ」
いつか別の旅をしよう?
元気一杯になるピリカお姉さん。
「約束してくださいね」
「面白そう。私も行きたい」
「あいっ」
皆でどこかに行きたいねえ。
「そろそろ行く」
「今度ゆっくり魔術についてじっくり話しましょう」
「もちろん。楽しみ」
元気になったピリカお姉さんはこのままソルスティスマルシェを楽しむと言って、ミムミムお姉さんと一緒に酒屋さんに向かって行った。
なかなかの猛威を振るいつつ嵐のように去ったお姉さん達。
いや、本当に弟子は取らないからね。
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