↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救国の最強S級探索者、普通を目指して学生生活を送っていたらアイドル配信者の配信にうっかり映り込み大バスしてしまう  作者: 夕影草 一葉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/11

7話


「そうはいかない? 意味がわからないな」


 俺が訝しげに尋ねると、鳳は薄ら笑いを浮かべたまま答えた。


「そのままの意味ですよ。お二人の攻略は、迷宮管理庁としては認められません」


「ど、どうしてですか? わたしも三隈君も、探索者として登録は済ませてあります。攻略を一方的に制限される理由なんてありませんよ」


 ジュリが食ってかかるが、鳳はどこ吹く風だ。


「我らは現状維持でダンジョンを管理下に置くことが、第一優先なのですよ。ダンジョンを攻略して無力化してしまえば、これからの利益もこれまでの研究も、打ち切られてしまう」


「深層の探索が進んでいないのって、まさか……」


 ジュリが絶句する。

 だが、鳳は静かに首を横に振った。


「いえ、それは無関係ですよ。あの第六異特級ダンジョンは他のダンジョンに比べて別格。難易度の高さにおいては歴史上類を見ないほどです。だからこそ、研究に価値がある。あの環境の再現は、私達の技術では不可能ですからね」


「それはあんた達の都合だろ。それに俺達が攻略しようとしまいと、いずれダンジョンは攻略される」


 俺の言葉に、鳳は肩をすくめた。


「えぇ、攻略されるでしょうね。ですがそれは数年後か……あるいは数十年後の話です。それまでにダンジョンから生まれる利益や研究の成果が、貴方が動けば全て泡沫と消えてしまう。貴方はね、強すぎるのですよ、三隈君」


 鳳の目が、蛇のように細められる。


「だから適当に餌を与えて、子飼いにしてきたんだろ」


「それを望んでいたでしょう? 安心して浸かれるぬるま湯をね」


「あぁ、それは俺が望んでいたことだ。だが首輪を繋がれた覚えはない」


 言い放つと、鳳は深いため息をついた。


「……仕方ありませんね。寺井、対処を」


「やれやれ、私にお鉢が回ってきましたか。三隈君、普通を求めるなら、普通を心がけろと言ってあったはずですが。これは一体、どういうことでしょうか?」


 鳳の護衛の後ろから、呆れ顔の寺井が現れた。

 いつもの教師としての姿ではなく、完全武装の臨戦状態だ。

 少なくとも荒事にしても俺を止めようという意思は見えた。

 相手をする気もないが。


「あの動画を消してもらう為に、ダンジョンの攻略を手伝っているだけだ」


「だそうです。どうしますか?」


 寺井が長官に問い返す。鳳は苛立たしげに眉をひそめた。


「止めなさい。そのために貴方を呼んだのですよ、寺井」


「残念ですが、無理ですね。彼を止めることはできません。研究環境を別のダンジョンに移す方が現実的です」


「貴方も元とはいえS級探索者でしょう。実力行使でもなんでも構いません。それとも子供ひとり止められないと言うつもりですか?」


 声を荒げる鳳に対し、寺井は至極冷静に答えた。


「元S級の私が現役の……それも未だに成長を続けるS級探索者に、勝てるはずがないでしょう」


 長官への明確な命令違反。

 それを聞いた鳳は顔を赤黒く染め、憎々しげに俺を睨みつけた。


「すぐに後悔することになりますよ、三隈君」


「いいや、もうしてる。三年前、お前達に力を貸したことを、今でもな」


 鳳は言葉を失い、ギリッと歯を鳴らして踵を返した。

 俺はただ、逃げるように去っていくその背中を見送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。