グランピング 9
「いやしないよ。バイセクシャルだけど、温泉で見た人の体にいちいち性欲なんか湧かないよ」
「え、そうなの?」と美和子は不思議がっている。
「んー、美和子だってそこら辺の男の人の裸みても興奮しないでしょ?」
「え、するよ」
「え、するの?」今度は私が驚く番だった。
「あー、でも私のは参考になんないかも」と付け加える。確かに性欲が人一倍強く、将来就職できなかったらアダルトビデオの女優になると言っている彼女なので、参考にならないかもしれない。
皆で顔を見合わせて、思わず互いに笑った。
「普通の人いないから分かんないね」
私はバイセクシャルだし、美和子は一般的な女性と感覚が違うだろうし、結愛に関してはそれを感じることもできない。
「私たちって、結構珍しい組み合わせだよね。こうしてみると」
「ね。確かに」
温泉の湯が熱めだったこともあり、のぼせそうになった私はそのまま湯から上がった。少しくらくらしたけれど、身も心もさっぱりした。
私たち三人は、新しい下着とパジャマに着替えた後コテージに戻った。
中に入ると男子二人もいつの間にかパジャマ姿で、温泉に行ったようだけれど、女子と違って長風呂しなかったらしい。
二人は広い部屋に敷かれた布団の上に座ってテレビを見ながらスマホをいじっていた。料理系のバラエティー番組が映っていたけれど、焼きそばと焼き肉の後だったので流石に食欲は湧かなかった。
美和子が「ただいま」とまさに抱き着き、まさは「お帰り」と背中に手を回す。美和子の肩に乗せた顔が眠そうで、結愛が「まさ可愛い」と言った。
それに美和子が「何々? 何が可愛いの?」と抱き着くのをやめる。
「眠うそうな顔してる」と結愛が微笑ましそうに言う。
「本当だ! まさ眠いの?」
「うん。まぁ」とまさが確かに眠たそうな声で返事をした。
時計を確認すると十二時を少し過ぎたくらいだった。それに驚くと、皆で確かに寝ないとねと頷き、まさと美和子はお休みを言って二階に行った。
残された私たち三人はテレビを消して、部屋の電気を消し、布団の上に寝っ転がった。
真っ暗な部屋の中、月明かりが窓から入るので、目が暗闇に慣れると相手の顔を薄っすらとだけ見ることが出来た。
私は疲れていて、湯船につかった後ということもあってすぐに寝落ちしてしまいそうだったけれど、結愛が私に「燈佳? 起きてる?」と話しかけてきた。




