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つれないね、恋の分からず屋  作者: 伊藤東京
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グランピング 4

 皆で急いでコートやジャケットを羽織い、財布を取り、靴を履いてバスが出る受付の建物まで向かった。

 小さなバスが既に建物前に止まっていて、私たち以外に人は見当たらなかった。バスは貸し切り状態で、高速バスの時とは違い、左側の列に美和子とまさが隣同士で座り、右側の列に結愛とわたるが隣同士で座った。

 私は美和子とまさの後ろに一人座った。

 結愛と座りたくても、あの怪我をさせた後では、自分はお願いする立場にないと思い遠慮した。それに、結愛がアセクシャルであることを思えば、恋人関係の人は隣同士に座りたがるという気持ちは、彼女にとってただの制約にしか思えないだろう。

 美和子もまさも慣れたのか、もう私の様子を伺うような視線はくれなかった。

 私は暗闇の中、通り過ぎる車のヘッドライトばかり眺めていた。

 十五分ほど経つとバスは大きなスーパーの駐車場に入った。

 バスの出発時間を確認してからスーパーに入る。一台のカートを引きながら、皆で何を食べようかと話しながら店内を回った。

「折角バーベキューセットがあるなら、焼き肉にしようよ」とわたるが提案する。美和子はそれに同意しながら「私、焼きそば食べたい」と更にアイデアを出した。

「私も焼きそば食べたい」

 一つのカートを皆で引いていたので、一体感を感じたのか、スーパーの蛍光灯の明るさにつられたのか、さっきまで感じていた孤独感や塞ぎ込む気持ちはなかった。なので、私も食べたいものを食べたいと気にせず賛同することが出来た。

 そういう訳で、焼きそば用にキャベツや玉ねぎ、刻まれた人参のパックと焼きそばのたれ、焼きそばの麺のパックをカートに入れる。コテージに油がなかったので、サラダ油も買った。

 私は皆で料理をして夕食を食べるのが楽しみだったけれど、結愛が私に同情を求めるように「絶対こんなにいらないって」と不満そうに呟き始めた。

「でもせっかくの旅行なんだから、いいんじゃない? それに五人いるから意外と食べれるかもよ」

 結愛は「えー」といって納得しなかった。

 皆で焼きそば用の肉を買うために肉コーナーを歩いていると、わたるが和牛の薄い焼き肉パックを手に取った。

「俺、折角だから高い牛肉食べたいんだけど、食べてもいい?」

「いいよ。勝手に食べなよ。わざわざ聞く必要ないでしょ」と笑う美和子。

「ほら、皆で割り勘するんだったら、一応確認しようと思って」

「あー。でも一人で買って食べててもいいよ? ね?」

 それにわたると美和子以外の私たちは賛同に頷く。

「えー、でも一人で食べるのはちょっと」と言うわたるに、美和子が「あ、じゃあ一緒に食べる? 私食べたいし。他に誰食べたい?」という問いに私は手を挙げた。

 まさと結愛はいらないようで、食べたいと主張しなかったので、三人で割り勘することにした。そもそも結愛は私たちの一歩後ろにくっついて歩いていて、ずっと静かだった。

 買い物を終わらせた私たちは、食材で一杯のビニール袋を持ってバスに戻った。

 バスに乗ってきた時と同じように座ったので、私が食材の面倒を見た。今度は美和子が「燈佳大丈夫? 食材頼んでもいい?」と聞いてくれたので「いいよ、いいよ」と快く受けることが出来た。


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