グランピング 1
正月が終わり、最後に勉強のラストスパートを駆け上がった私、美和子、結愛は、まさとわたるの二人を置いて、先に言語学校を卒業した。残された二人は九月から入学したので、もう半年いなければいけない。
卒業した私たちがすることは、ファンデーションコースという新たな勉強コースに入り、英語で勉強し続けることだった。
ファンデーションコースというのは、イギリス大学に正規留学するための必修課程のようなもので、本来一年かかるところを、この言語学校で受講すれば半年で終わらせられる。
今年の九月にはイギリスの大学に正規入学するのが新たな目標だ。なので、美和子と結愛とは卒業したあとも頻繁に出会うことになった。
けれど、そこでも私は結愛の隣の席には座らなかった。というのも、初日、座席自由の教室に私が先に来て適当に座っていたら、後から来た美和子が私の右に着席した。その後来た結愛は躊躇せずに美和子の隣に座った。初めに座った席が定席になってしまって、何故隣に座らないのかと問いただすこともできない私は諦めて日々を過ごしていた。
そんな中、もうすぐ夏休みに入るということで、時々居酒屋で一緒に食べるまさとわたるも含めた五人で、グランピングに行こうという話になった。というのも、どこかに宿泊を含めた旅行をしたいということになり、私が自分の地元でグランピングはどうかと提案したからだ。
みんなで記憶に残るいい思い出にしようと思った。勿論、自分が出した企画が通ったということもあって、私の期待は皆より大きかった。けれど、結愛だけは相変わらず私を子供扱いするような、呆れたような様子で話を聞いていた。違ったのかもしれないけれど、私にはそうとしか思えなかった。
夏休みに入って、暫く新宿の混雑と騒がしさを忘れてきた頃、私たちは高速バスでグランピング場所に向かっていた。他県の自然豊かな中で、木造のコテージを一日借りて泊まるのだ。
高速バスのチケットを予約した時から、美和子とまさが隣の座席なのは分かっていた。その後ろに私と結愛が隣同士に座ることになっていて、美和子とまさが座る列の右側に、わたるが一人で座ることになっていた。けれど、背もたれを通して結愛はずっと前の席に座っている美和子とまさと話していた。一人別の席に座っているわたると私は孤独だった。
私はスマホを触ってただただ時間をやり過ごした。気まずいということは特になかった。寧ろそれが、だんだん私にとって当たり前な状況になっていた。




