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つれないね、恋の分からず屋  作者: 伊藤東京
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スターバックス 5

 それぞれ飲み物を注文して受け取った後、私たちは中庭の席に着く。中庭の真ん中に五角形の大きなテーブルがあって、その中に観葉植物が植えられていた。

 その大きなテーブルの周りを囲むようにして、一段高いウッドデッキがあり、そこにもベンチや観葉植物が置かれている。

 中庭には観葉植物に巻かれた金色のイルミネーションと、ウッドデッキの足元のランプ、そしてところどころ置かれたインテリアランプしかない。薄暗いのが寧ろおしゃれに感じられて、デートスポットに紹介されても申し分ない場所だ。五角形の一辺に私たち四人は並んで座った。奥からまさ、美和子、結愛、私という順に座る。

 綺麗なとこだね。ロマンチック。と皆で見とれて感嘆した後、順番に席を離れて中庭を見て回った。中庭はウッドデッキの壁で囲われていたけれど、背伸びすれば夜景が見えた。

 私が最後に中庭を見て回り、見終わったので帰ってくると、三人が身を寄せ合って小声で話をしていた。

「何かあったの?」

「気づかなかった? 左奥のベンチで誰かヤってるよ」と美和子がにやにや顔で言う。

「え? マジ? こんなとこで? どこ?」

「あそこ」そう言って美和子が指さした。観葉植物に隠れている上に、真っ暗で何も見えない一角が確かにあった。

「本当に?」

「本当本当。ベンチに座った男の上に、スカートの女が乗って上下に揺れてたもん」とまさが言う。すると結愛が「見たい。一緒に行こう?」と私に言ってきた。

 興味はあったが、その人たちと目があってしまったらと思うと怖くて、私は「いい、いい」と首を振った。現に、数人で来ているらしい大学生くらいの男の人たちが、まさの隣の席に座って「まじかよ」と美和子たちと同じように何やら話している。

 それでも行こうという結愛に美和子が「私も一緒にいってあげるよ」と言うので、仕方なく一緒に行くことにした。けれど、私たちが見に行った時にはベンチには誰もいなかった。

 残念と惜しむ結愛をよそに私は内心ほっとしていた。

 すると、結愛の携帯が鳴った。

 結愛が電話に出て話す。母親かららしい。私はコーヒーを手に持って、美和子とまさの間に立って、雑談していた。電話の内容を聞き取ってしまうのは、結愛にとって嫌だろうと思ったからだ。

 すぐに終わるだろうと思っていたが、結愛の声色に呆れや、やるせなさや、討論が含まれ始めた。

 母親と何かに関して言い合っているらしい。

 私たちは、大丈夫かな? と小声で心配し、様子を伺った。すると、結愛が席から立って、テーブルから離れた。

「誰から?」と美和子が私に聞く。

「多分母親だと思う。結構勉強とかに厳しそうな人だったから」

「そっか、仕方ないよね」


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