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つれないね、恋の分からず屋  作者: 伊藤東京
81/103

横浜とカーセックス 9

「ごめん、コート掛けてもらうの手伝ってもらっていい?」

「んー」

 覆いかぶさるまさの腰の上にコートをかけ、二人の下半身が見えないように隠した。二人が器用に下半身の服を脱ぎ始める。するといつの間に入れたのか、まさが動き始めた。途端に車が大きく揺れて、徐々に窓が結露で真っ白に曇っていく。二人とも声は出さずに、車のギコギコ揺れる音だけがする。

「すごーい。今入ってるの?」と結愛が聞く。

「入ってるよ」と美和子は普通に返答する。

「動画とかで見るけど、まさか生で見るとは思わなかった」と私が言う。

 けれど、特にそれ以外起こることはなく、私はだんだんつまらなくなって、白く曇った窓に指で絵を描き始める。

「これ見て、セックスしたいなとか思う?」と結愛に聞かれた。

「ん? ムラムラするなとは思うけど、別にそこまでかな」

「じゃあ、これ終わったら私が指でしてあげようか?」と美和子が指を動かしてみせる。

「いや、いい、いい」

「何で? してもらいなよ。せっかくだし」と結愛が不思議がって聞いてくる。

「いや、せっかくだしと言われても。結愛がいるから」

「でも私気にしないよ」

「いや、知ってるけど、気持ち的に忠実でいたいの」

「え~、もったいない」

 すると、いつの間にか終わったらしく、二人は服を着始めた。美和子がまさのコンドームを結んで、ティッシュに包んだ。

「ありがとう二人とも。夢のうちの一個叶ったわ」

「こっちもなんか珍しいもの見させてもらったわ。じゃあお休み~」

「お休み」

 もう夜中の二時にはなっていたと思う。皆疲れていて私もいつの間にか眠っていた。

 気づいた時には既にわたるが高速道路を走っていた。驚いて見渡すと、みんな既に起きていて、私だけ眠り込んでいたらしい。

 旅行の行きは話が弾んだものなのに、帰りは静かで、みんなスマホを使っていた。

 レンタカーを戻した後のことはよく覚えていない。


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