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つれないね、恋の分からず屋  作者: 伊藤東京
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横浜とカーセックス 4

 一緒にメニューを見ているというよりは、自由に店を見て回る結愛に私が勝手について行っているようだった。手も繋がないし、大した会話もない。ただただ寂しい。というよりはもう、彼女のことを放っておいて、私も一人で店を見ようかなとすら思った。けれど、彼女に完全に無視されている訳でもなくて、彼女は終始笑顔でメニュー表を見終わった後に私と目線を合わせる。まるで国語の教科書を忘れた時、隣の人と現代文を読んでいて、相手に自分が読み終わったのかどうかを確認されているように。

 これが、二人の間にある沈黙に対して、彼女にとっては居心地がいいからなのか、それとも何も考えていないのか、よく分からなかった。

 結局私は明太子チーズソースのかかった半熟のオムライスに決めた。

 混雑の中何とか人々の間をすり抜けて席に戻ると、美和子とまさが隣合わせに座っていた。

「ただいまー」

「おかえりー。結愛もおかえりー」

「ただいまー」

「結愛たち何にしたの?」

「んー? オムライスにしたよ」

「え、うちらも一緒!」

「あ、やっぱり?」

 私は美和子の向かいに座る。結愛はなんの躊躇もなく美和子の隣に座った。また美和子とまさが「え? いいの?」という目線を私に送ったけど、私は微笑み返して気にしてない風に見せた。やっぱりと内心毒づくことすらもうない。それが呆れなのか、諦めなのか、彼女を尊重しているからなのかよく分からない。きっとすべての感情がごちゃ混ぜになっているんだろう。

 わたるも帰ってきて、彼は私の隣に座った。料理が完成して、食事をし終えた後、外は既に暗くなり始めていた。曇った灰色の空の下、歩いて駐車場に戻った後は、わたるが行こうと提案してくれた夜景スポットに皆で行った。

 すっかり暗くなった中、東京湾周りは閑散としていて、ぴんと張った冷たい空気が胸を冷たくする。澄んだ空気の向こうに観覧車の夜景が見えた。


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