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つれないね、恋の分からず屋  作者: 伊藤東京
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横浜とカーセックス 5

 その夜景スポットは、ウッドデッキが水辺に向って伸びていて、そこに大きな建物があった。人工的な公園のようになっていたから、私たちはその建物のスロープを登った。ほとんど貸し切り状態の夜景スポットにみんなが興奮した。私は結愛と一緒にフェンスに手をかけて夜景を見た。

「綺麗だね」結愛が夜景を見ながら言った。

「うん」

「普通の人は多分、ロマンチックなところって思うんだろうね」

「まあ、定番だよね。横浜の夜景だもん」

「ロマンチックだなって今思ってるの?」

「ん? まあ、ふつうに誰と来てもロマンチックな場所じゃない?」

「そういう事じゃなくて、一応私あなたの彼女なんでしょ?」

 結愛は終始静かに、何ともなさそうに話していたけれど、そこから隙間風のような寂しさが滲みだしていた。

「二人でロマンチックなところに来たなとしか思わないけれど」

 感情の共有ができないのが寂しいのだろうか。何かを確かめるように、結愛はただ黙って夜景を見つめていた。

 月も星も見えなかった。見えるのは足元を照らすライトだけだ。

 おそらく一時間程ウッドデッキの上をみんなで歩いていた気がする。一通り満喫した後に、私たちは中華街に向かうことにした。

 先ほどの夜景スポットとは打って変わって、中華街周りはかなり賑わっていた。新宿とは違って暖色系の電飾や照らされた看板が賑やかだ。人もまばらに歩いていて、私たちはその活気の虜になった。

 近くの駐車場に車を止めて、みんなで中華街の門をくぐる。どこで何を食べようかとみんなで周りを見ながら歩く。私はすっかり中華街の景色や店に視線を囚われていた。

 北京ダック一巻を八十円で食べられる出店を見つけて私はそこで二個も買って食べた。そこはいつしか母と一緒に来て買って食べたことのある店だったから美味しいことを知っていた。それを見た美和子たちも同じように一つ買って食べる。

「どう? 美味しいでしょ?」

「美味しい! 何? ここの店知ってたの?」

「前、親と来たのよ」

「なるほどね~」

「俺も腹減った。どっか食べ放題行かない?」

 腰掛けていたわたるがベンチから立ち上がる。他のみんなも食べ放題のためにお腹を空かせているようだったので、私たちは美和子に従って来た道を戻った。


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