写真 8
ドレスガウンを羽織ってお風呂から出たとき、結愛はベットの端に座って、スマホをいじっていた。
「どうしたの? 疲れてるっていうから、もう寝てるかと思った」
「ううん。何か眠れなくて」
「ふーん」
私もベッドの上に座って、スマホをいじる。
「あ、お酒そこに置いといたよ」と結愛が私の横を指さした。ベッドサイドテーブルの上にビニール袋が置いてある。私はそこから先ほど買った缶を手に取りタブを開けて飲んでみた。
「どう?」
「んー、普通。アルコール臭くないね。ジュースみたい」
ふっと結愛が鼻で笑った。
「そりゃそうでしょうね」
私は子供っぽいと嘲笑されたのかなと思った。
その後沈黙が訪れたけれど、気まずくはなかった。恋人以前に友人だったから。いや、結愛にとっては友人と変わりないから。
ただ、苦しい。
「ん? これ結愛の?」
私はビニール袋に入ってるもう一つの缶を見つけた。
「あ、忘れてたね。今渡しに行ってきた方がいいかな?」結愛がビニール袋を手に取る。どうやら美和子たちの分を渡し忘れたらしい。
「え、でもお邪魔じゃない? 明日とかでもいいと思うけれど」
「大丈夫大丈夫。扉の前に置いとけば」
「そっか」
結愛が何だか楽しそうに出入口扉を開けるので、私もベッドから立ち上がっておずおず結愛の後ろについて行く。
「ん? 何でついてくるの?」
「いや、別に。結愛が行くから何となく」
「いいからいいから、ここにいなよ」
「いや、でも」
「いいから。ねぇ、何でそんなついてこようとするの?」
なんでそんなについてきてほしくないの?
結愛が廊下を歩いて少し遠い美和子とまさがいる扉の前で袋を置くところを、私は部屋の扉を開けたところから眺めていた。結愛が早歩きで帰ってくると、嬉しそうに「声が聞こえるよ」と言ってきた。
「まじ?」
「うん。美和子の声。メスって感じだったよ」
「へぇー」
「普段あんなでも、やっぱりセックスするときは違うんだね」
嬉しそうに結愛が言うのが、やっぱり純粋というか、こういう類の話は彼女にとって知的好奇心や知的探求心にしかならないんだなと思った。
缶に残っているお酒を全て飲み切った後、私は「もう寝る」とベットに横になった。
恋人同士でホテルに泊まるということは、本当は盛り上がることなのだろうが、私にとっては、私たちとは一体何なのかということを再確認させられるところだった。
結愛と一緒に寝るベットなのにお互いくっついて寝ることはなかった。




