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つれないね、恋の分からず屋  作者: 伊藤東京
69/103

写真 5

 冷たい態度をとられていると思っていた私は、私と話したくないのかなと勝手に解釈していたので内心驚いたけれど、それを表情には出さなかったと思う。「いいよ」と言って二人で階段を下りて行く。

 大量のお菓子が二メートルほどある高い棚にぎっしり詰まっていて、右手の壁にはコンビニにもあるウォークイン冷蔵庫で埋まっていた。冷凍食品やアイスクリームが並んでいる中、圧倒的に缶チューハイがストックされている。色とりどりの缶のデザインに目を取られている間、結愛は銀色の缶を手に取った。

「私もお酒試そうかな」

「え? 本当に? 本気?」結愛が疑い深そうな顔で私の顔を伺う。私は「ちょっだけ。やっぱりやめた方がいいかな?」と既に気が揺らいでいた。

「いや、いいよいいよ。ただ、いつも真面目だから、そんなことするんだーって意外に思っただけ」

「どれがいいか分かんない。なんか、ジュースみたいなやつが良いな」

「んー、ここらへんは全然いけると思うよ」

 そう言って結愛が冷蔵庫の右側を指す。そこに並んでいるほとんどの缶チューハイのデザインは可愛くパステルカラーの物ばかりで、気を付けないとジュースと勘違いしそうだ。私はそこから選ぼうと様々なフレーバーを見ていった。その中からカルピス味を選んで手に取る。

「結愛は飲まないの?」

「ううん。飲まない」

「そっか」

 すると美和子とまさが階段口から現れた。

「お酒試してみたいって」と結愛が開口一番に報告する。

「え? 本当? あんなに真面目ちゃんだったのに? どうした? なんかあった?」と何故か嬉しそうに美和子が言う。その横でまさも笑顔で「マジ?」と反応する。

「なんか試してみたくて」

「そっかそっか。じゃあ、かごに入れな。まとめて結愛に会計してもらうから。いい? 結愛」

「いいよ。成人してるの私だけだからね」

「悪いね」

 結愛がすんなり承諾するので戸惑ったけれど、私は何も言わずに缶チューハイを美和子が抱える黒い買い物かごに入れた。

 そのかごの中には一箱のコンドームも入っていたけれど、結愛にとっては全くもって関係ない。

 その後棚の間を歩き回って、美和子とまさは缶チューハイとおつまみのビーフジャーキーを籠に入れた。

「ほかに何かいる?」と美和子が皆に向ってきく。

「いや、欲しいお菓子見つからなかった」

「そっか。じゃあもうお会計で良い?」

「いいよ」

「じゃあ、結愛さん。よろしくお願いします」

「はーい」

 そういって結愛は笑顔で籠を受け取った。皆でぞろぞろ階段を登って一階にたどり着くと結愛以外の私たちは店の外に出て待った。

 出入口で待っている間私は、結愛がコンドームをレジで会計してもらっている姿を思い浮かべていた。


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