グランピング 12
次の日、美和子が朝日が昇るのを温泉で見るかもと言っていたのに、結局みんなでチェックアウトぎりぎりまで寝ていた。
起きた時、真っ先に思ったのは結愛のことで、私は彼女が何を思っているのか知りたくて一挙手一投足を観察したけれど何も読み取れなかった。
時間がない中で布団を片付けたり荷物をまとめたりしなきゃいけないということもあって、その後は兎に角目の前のやらなきゃいけないことを片付けるのに手一杯だった。
落し物がないか確認しながら荷物をまとめて、重い布団を協力しながら皆で畳み、使った布団を押し入れの中に戻した後、未使用の物と混ざってはダメなのではないかと話して、押し入れの隣の床に重ねて置き直した。
急いで靴を履いて外に出ると間に合ったようで、最寄り駅まで送迎してくれるミニバスがまだ受付の建物の前に止まっていた。どうやら私たち以外に人はいなかったようで、受付に鍵を返して荷物をトランクに入れてもらってからすぐに出発した。
最寄り駅に到着すると、東京に向かう高速バスが来るまでの間、暫く時間があったので、その駅の土産店の中を回ってみた。
大きな荷物があるので、わたるとまさが外で荷物を見てくれている間に、私たち三人は自由に土産物を見て回った。
結愛は美和子と一緒に歩いて回ったので、私は一人で気楽に物を見ていた。
結局何も買わずに外に出て、全員がトイレ休憩を交代に済ませる。仕方がないので、各々スマホを触って時間を潰していた。
旅が終わった後であるという雰囲気が醸し出されていて皆無口だった。
疲弊からきている無口なのかどうかは分からなかったが、少なくとも剣呑な雰囲気は感じなかった。
高速バスが来た時、行きと同じ席順で座席を予約していたので、私は結愛と一緒に座り、美和子とまさが私の前に座った。わたるは一人で座った。
高速バスに乗る前の沈黙が残っているようで、美和子もまさも、わたるも話さなかった。寝ているのか無口になっているだけなのかは分からなかった。
その雰囲気の中、無口の結愛になんて話かければいいのか分からなかった。
昨日のことについてどう思っているのか、美和子とまさが目の前に座っている中ではデリカシーに欠けるし、かといって話題も思いつかない。
横目で結愛のことを確認しても、窓の外をじっと見ているばかりで良く分からなかった。
私が降りる駅が一番最初に来た。
「じゃあね」と結愛に別れの挨拶をするが、返事が返ってこなかった。
バスの中、迷惑になるといけないと比較的小さな声で言ったので、そのせいで聞こえなかったのかと思い、もう一度「またね」と言う。
結愛は「はいはい」と大人が子供を面倒くさがってあしらう時のような声で言った。
降りる時、美和子もまさも、わたるも「またね」と言ってくれたのが、せめてもの救いだった。




