24.回復アイテムがなくなるとか、何が起きてるんでしょう?
店でNPCから購入する以外にもアイテムを入手する手段は存在する。
私は仮想ウインドウを開き、オークションを確認する。
……げ。
HPポーションの値段が、軒並み跳ね上がっている。
店売りの価格で700だった物が……十倍近い価格に。
何が起きてるんだ?
この状況。
あ、銃も売ってる。
でも支払いは全部Gか。
ポイントは潤沢にあるけど、Gには変換できないしな。残念。
ひとまず私は道具屋さんで三万ポイントのピッケルを購入する。
職人用強力ピッケル。
「どうしよっか?」
「回復出来ないんじゃ、厳しいよね」
回復魔法のスキルを取るか。
現状、武器を持ってなくて役立たずな私にはもってこいかな。
「私が回復魔法を買うか」
「いや、回復はなんとかなるかも」
「ん?」
どうなんとかなるの?
「次はスキルを見に行こう」
「うん」
でも、回復魔法はあった方がいいよね。
そうすれば、シロももっと一緒に戦えるだろうし。
と言うことでスキルショップへ。
「……回復魔法、売ってない」
「本当だ」
え。
何で?
「あの、回復魔法って売り切れですか?」
思わず私は店員さんに尋ねる。
「ん? 回復魔法? ウチじゃ取り扱ってないぞ」
「え、何でですか?」
「ありゃ、神に仕える職業じゃなきゃ使えん。
どうしても欲しけりゃ教会で転職すんだな」
「えぇ?」
そう言う仕組みなの?
どうしよう。
「結局さ、ダメージを受けなければ回復する必要はないんだよ」
と、カエデ。
「そりゃそうだけど」
「というわけで、【攻撃力向上】【素早さ向上】【耐久力向上】【自然治癒】【回避】【カウンター】【食いしばり】。
これ、ください。あ、あと【短剣】も」
おおう。豪快に使うね。
「私は……どうしようかな」
「次の街行ってからでも良いんじゃない?」
「……そうしよう」
次は、武器か。
「私の刀、一本貸そうか?」
「え? 何で?」
「だって、勿体ないじゃん。すぐ使わなくなるのに」
「そうだけど、それでも手ぶらじゃ流石に」
「私とシロがその分戦うよ。
あ、それともこれ、使う?」
そう言いながら、カエデが取り出したのは弓と矢。
「どうしたの? これ」
「昨日、骸骨が落とした」
「ふーん」
【粗末な弓】
簡素な弓。
攻撃力は非常に低い。
【簡素な矢】
木を削っただけの矢。
攻撃力は低く、射程も短い。
「とりあえず、使ってみたら?」
「うーん」
アイテムを借りた場合はカエデがログアウトする時に勝手に戻るんだっけ。
受け取った弓を構え、弦を引いてみる。
上手く扱える気がしなかった。
「それじゃ、噴水の前で作戦会議と行こう」
いつの間にか、カエデが屋台で串焼きを買っていた。
右手に三本。
左手に一本。
その左手の一本にシロが飛び上がってかぶりつく。
行儀、悪いぞ。
◆
私達は、街の中心地、噴水のある広場に置かれたベンチに腰を下ろす。
「何で四本買った?」
カエデ一人で二本食べるの? いや、可笑しくはないか。
「実はもう一人合流する」
「え?」
なにそれ。
聞いてない。
「いや、そんな顔しなさんな」
「せめて一言欲しかった」
だけど、私にもカエデに言ってない事があるしなぁ。
「あ、来たかな?」
カエデが立ち上がり、串焼きを持った手を振り回す。
それに小さく手を振り応えながら微笑む女の子。
「あ!」
西七辻葵さん。
プレイヤーネーム、市松。
私もフレンドだ。
今度、三人でと約束したっきりになっていた。
「お久しぶりです」
「えっと、事前に一言くれても良いと思うんだ」
「サプライズ!」
いや、そのサプライズ要らんのだよ。
割とガチで狼狽してるんだ。こっちは。
こうさ、目の前に白を基調とした神官清楚系ルックで登場されるとですな、こっちは捨て去ったつもりの羞恥心と言う奴が……いや、あいつは置いて来た。この戦いにはついて来れないだろうから。
開き直り、胸を張る。
張ったところで大した胸ではないけれど。
「お久しぶり」
「お久しぶりです」
丁寧に頭を下げる市松。
「ごめんなさい。連絡しなくて」
「いいえ、それはこちらもですわ」




