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Devil’s patchwork ~其の妖狐が神を討ち滅ぼすまで~  作者: 國色匹
第二章 成長と願いと
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其の一 親身

<>(^・.・^)<こっちのターンはこの回で終了です


<>(^・.・^)<暫くは向こうのターンです

 ある日のこと。

 俺は寺の中にいた。

 そして意識は境内の砂利の上に向けていた。

 この寺は、以前シンミに連れられて、妖術の判定やらをした場所だ。

 今日は、訓練の一環でここに来ている。


「………………」

「おー、なかなか悪くないじゃないかねー。師匠として鼻が高いよー」


 延々と喋りながら、シンミは俺の周りをぐるぐると周回する。

 俺自身は座禅を組みながら、砂利の上に妖術で舞わせている木の葉に意識を向けて浮かせ続けつつ、その様子をチラリと伺う。

 これが結構難しいのだが………………シンミは、それを目的に此処に俺を呼んだらしい。




 今朝のことだった。

 朝、目が覚めて奏の手料理を食べて舌鼓を打っていると、シンミから連絡が来た。


 《やー、トロ君。生きてるかい?》

 《死んでる前提で聞くのは止めた方が?》

 《むー、質問に質問で返さないでよー。昨日たっぷりトイちゃんに絞られたって、風の噂で聞いたからわざわざ心配してやったのにさー》

 《それはそれは。ご丁寧にどうも》


 『してやってる』発言にムッとするところはあるものの、こいつに逆らおうという気は起きない。

 師匠としての彼女の能力は高いものがあると思うし、人間的にも嫌いではないし、何より逆らったあとが怖い。

 それこそ、《超風》の妖術を持つシンミだったら、『風の噂』とやらの情報源があっても、まぁ不思議ではない。

 とまあ自分を正当化する理由を探りつつ、シンミとの念話を続けた。


 《そーいやさー、あれから一週間くらい経つけど、奏ちゃんはどう?》

 《どう、と言われても、いつも通りだとしか》


 実際、いつも通りだ。

 帰ってきた直後は、学校への言い訳やら父親への謝罪やらなんやらでゴタゴタしたが、一週間も経てば、もういつも通りに戻っている。

 因みに俺に関してだが、妖怪というものの自然治癒速度は素晴らしいらしく、一週間もすれば、骨の損傷やなんやらは大抵治っていた。

 だからこそ、それを聞きつけたトイに『………………休ん、だ、分も』と言われて半日近くしごかれたのだが。

 そんなに急に動いて大丈夫なのか、と思うが、何故か医師免許持っていた井川さんに診断してもらったので、問題はない。

 妖怪ってすげぇな、そして井川さん何者なんだ、と思う今日この頃。

 とまあ色々と日常に戻りつつあるが、どうしてそんなことを、シンミが聞くのかは分からない。


 《そ。変に気負ってたり落ち込んでたりしないなら、まぁそれでいっかー》

 《………………》


 軽く絶句した。

 そうだ、俺はしばしば忘れがちだが、トイや一之助さんから聞く話によると、彼女の長所の一つは優しさにあるらしい。

 シンミから見た奏は、『依頼人(仲間)の同居人』位に位置している筈だ。

 確かに依頼に関する人物だから覚えていても不思議じゃないが、なんなら、二人は顔を合わせたこともない。

 その相手に対して、こうも気にかけられるものか。

 正直、俺なら自分に関係ない人のことは気にしないだろう。


 《あぁ、そうだな。ありがとう》

 《んむー? どういたしまして?》


 なんにも考えていないようでいて、実は色々と気を回している、そんな女の子。

 シンミの魅力は確かにそこにある。


 《あ、そうだ、それで本題なんだけどー》

 《何だ?》

 《今日の修行はちょっと趣向を………………》




 とまあ、そんな風に優しくされたらコロッと堕ちてしまうのが、悲しきかな、男子中学生の性。

 今やこうして、見た目の五倍は難しい訓練をしている。

 簡単に言えば(シンミがそう言ったのだが)、『シンミの妖術で邪魔されながら木の葉を浮かせ続けられるかなゲーム』らしい。

 読んで字のごとくだが、まず俺の出力が段違いにシンミより低いせいで、ちょっとでも軸を外すと木の葉は落ちる。

 氷で補強するのはルール違反、炎でシンミを妨害するのもダメ、目を開けるのも違反、座禅に耐えかねてもゲームオーバーという、なんとも理不尽なゲーム。

 俺が五分保っているだけでも、褒めてもらいたい。


「意外と出力上がってきたねー。この調子で上手く行けば、一年後にはアタシの妖力量越えるよ?」

「そ、れは………………上手く、行かせてみせるさ………………!」

「………………! 良いねぇ、そーゆーのおねーさん好きだなぁ?」


 修行らしい修行にテンションが上がり、両名とも謎の勢いに乗っている。

 その格好はいつもの巫女服で、手には細長くてしなやかな木の板を持っている。

 対して俺は、縁側のような場所に座布団を敷き、その上で目を閉じ胡座をかいている。

 一見すれば、それは何やら座禅でもしているのかと思うだろう。

 実際に、ある意味でそれは間違ってはいない。


「んー、流石にちょっとこれは簡単すぎたかなー? ちょっち難易度上げてみよっかー」

「………………!」


 シンミの一言のあと、俺の眉間に皺が寄る。

 宣言通り、一瞬で難易度が上昇した。

 何処が変わったかと言うと、目には捉えられないが、砂利の上に舞う木の葉に加わる風の方向性が変わった。

 今の俺には変わった事しか分からないくらい、変化し続けている。

 目を閉じているから今木の葉がどのあたりなのか分からないし、そもそもちゃんと力を加えられているかも怪しい。

 一方向に力を加えていたさっきまでと違い、シンミの風に抗っている感覚がなくなってしまった。

 当然と言うか、一瞬で木の葉の制御を失い、ソレは砂利の上に落ちる。


「あー、ダメだったかー。まー、そーラノベみたいに上手くは行かないかー」

「………………あんなんどうやってやれってんだ」

「何? 不満? それともいちゃもん?」

「不満もいちゃもんも無い。コレが技術の上達に繋がるなら、何度だって繰り返してやるさ」

「聴き直す前のセリフ無かったら、決まってたのにねー」

「うるせい」


 あんな鬼難易度、昨今の音ゲーでも見たこと無いぞ。




 とは言え、二十回ほど繰り返した結果、なんとなくのコツは掴めてきた。

 気を付けるべきポイントは、次の三つ。

 一つ、変化は激しいものの、吹く方向は一つだけ。

 同時に別の方向に押されることが無いので、自分自身の肌で現在の風向きを感じ取れば良い。

 二つ目、木の葉の動き方を常に意識する。

 木の葉の動き方が分かれば、最初の位置から次の位置、またその次の位置………………と、常に現在の木の葉を察知できる。

 そして、最後が一番重要だ。

 最後、シンミの言葉に耳を貸さない。


「あー、ちょっとばかりズレたかなー? もしかしてトロ君って平衡感覚無い?」

「………………」

「トロ君ってさ、『仮免ライダー』知ってる? 最近のはCG凄いんだよー?」

「………………」

「あれー、トロ君、眉間に皺寄ってるよー、ストレス? カルシウム足りないんじゃない?」

「………………」

「あ、そー言えば、あの刀の名前分かったかも。神主様にいちおー聞いといたんだよねー」

「………………」


 とまあ、こんな様に人をおちょくる為に話しているとしか思えない。

 最後の方は、思わせぶりに『………………』とか言ったものの、殆ど聞いてはなかった。

 そんな風に外界からの騒音をシャットアウトすること、およそ三十分。


「………………ッ!」

「おおー、一分くらいなら保つよーになってきたねー」

「オォッ………………!」

「んー………………」


 気合を入れて更に意識を高める。

 シンミの言葉はもはや完全に聞こえておらず、ただひたすら風を操る。

 そこから何秒たったろうか。


「はーい、じゃーやめー!」

「うおっ!?………………ぶはっ」


 急にシンミが風を消し、均衡して木の葉を支えていた風の一方が無くなる。

 ちょうど俺はこちら側に風を向けていたらしく、結構な勢いで飛んできた木の葉が顔面に直撃した。

 右手でそれを摘んで取って、目を開けてシンミを見た。

 何処か満足げな顔をした彼女は、こちらを向いて腕を組み、目を閉じて頷いている。


「うんうん、まーこんくらい出来れば、初日じゃ十分でしょー」

「十分、って言うが、俺はまだ二分も………………」

「いいの。トロ君があそこまで集中出来るよーになれば、今日の訓練は成功」

「あれでか………………?」


 シンミはそう言うが、俺は到底あれでは成果とは呼べないと思う。

 そもそも最初から、シンミが何を意図してこの訓練をしたのか分からないので、俺個人の感想に意味などないかもだが。

 俺の、疑問の声に、シンミはそのままの姿勢で答える。


「うん。いー? 今日の訓練は、トロ君の妖術全般を伸ばすためにやったことだよ?」

「全般………………?」

「そー。トロ君も感じない? 戦ってる時とか、やたら時間が長く感じるやつ」

「………………ある」


 トイとの模擬戦、シンミもたまにやるソレで、そういうふうに感じることはままある。

 一手一手の経緯と結果が瞬時に推測でき、次に何をすべきかなんとなくの想像がつく。

 想像が付いても、どのみち体が追い付かないのであまり意味は無いのだけれど。

 ………………それを最も顕著に感じたのは、あのナサニエルとの戦いだったわけだが。


「あの感覚ってさー、すっごく不思議な感じしない? こー、普段生きてるときとは世界が違うってゆーかさー」

「………………そう言われてみれば、確かにそんな感じがする」

「そー。その感覚って実は、脳にたくさん妖力を流し込んで起こってるのさー。妖力ってのは要は、妖怪にとって一番大事なエネルギー、だからねー」

「そうだったのか………………だから、普段戦闘が終わった後には、必ず脳に気だるさが残るのか」

「そーゆーことー。で、そーゆー妖力の流れがあるんだけどー、流れってのはとーぜん回路を活性化させれば効率よくなるでしょー?」

「ああ、そういうことか」


 今の説明で完全に合点がいった。

 要するに、緊張感のある状態で一度に考える量を増やして、その妖力を巡らす回路を解していた、ってところだろう。

 そう言われてみれば、確かに今はこの訓練をする前よりも、格段に頭がスッキリしている。

 未だ妖力が流れている証拠だろう。

 そして、考えることは、必ず強さに繫がる。

 時には直感で動いたほうが良いこともあるかも知れないが、相手の次の動き、自分がすべき動きを一瞬で判断できれば、ソレは大きな強みになる。

 だからこそ、今日はその訓練をしたのだろう。

 こうも強さに直結することを鍛えてくれていた、となると………………


「もしかして、トイから何か聞いたか?」

「んー、まー、トイちゃんから言ってきたんだぜー」

「………………ありがとな」

「………………いいってことよー。これも師匠の務め、だからねー」


 照れだろうか、はにかみながら頬を掻いて返事をするシンミ。

 やはり、シンミの魅力は優しさと気遣いにあるようだ。


「………………あ、少年心溢れるトロ君にワンポイント。因みに、これマスターすると、()()()()()()()()()()

「本当か!」

「食い気味だねぇ!」

<>(^・.・^)<………………名前の由来、そこじゃないですよ?


<>(^・.・^)<一応言っときますけども。




<>(^・.・^)<リア友がめっちゃゼロワン推してくるけど


<>(^・.・^)<録画容量と時間の兼ね合いで見れない………………




<>(^・.・^)<ご感想その他お待ちしております

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