異世界からの憑依者
赤いキャップを被ったゴブリンは土下座したまま顔を上げると
「僕は!ゴブリンだけどゴブリンじゃねえゴブ!」
ナカマは首を傾げ、私は
「どう見てもゴブリンだけど……?」
近づこうとすると、ゴブリンは焦りながら下がっていき
「まっ、待つゴブ!僕らモンスターは一回死んだら終わりだゴブ!僕はもっとやりたいことあるゴブ!」
ナカマはブツブツと
「ユニークモンスター?いや、レアアイテム持ってないぽい……バグ……?うーん……」
悩んだ声をあげると、ゴブリンは
「そっちのお姉さん!声と見た目が合ってねえゴブ!もしかして異世界からの憑依者だゴブ!?」
ナカマは私の背後に下がり
「僕を認識してる……?ルフィナちゃん、このゴブリン面白そうだ。話を聞こう」
私は何だかよくわからないまま頷いた。
切り株に座り直したゴブリンは
「……僕、ゴブミツって名前だゴブ……ここから北に百五十キロ先の魔王軍所属だゴブ……」
「ゴブミツは何でここに?」
私が尋ねると、ゴブミツはやるせない顔で
「……僕ら魔王軍は、三十日前にサージャイト城を制圧したゴブ……人間の王は降伏して、僕らモンスターに人権を認めるって言ったゴブ……」
私とナカマが聞いていると、ゴブミツは涙目で
「でも……制圧の翌日にブレイバー……要するに勇者がパーティー達といきなり城内に現れて……魔王軍は撃破されたゴブ……僕のお友達のホネマンもデビちゃんも皆死んだゴブ……」
私がゴブミツに
「魔王軍は悪いから当然じゃない?」
ゴブミツは怒った顔で
「僕らも君たち人間と同じ様に感情があるゴブ!僕らの見た目で差別しているのは人間だゴブ!」
ナカマが大きくため息を吐いて
「僕はスライムに装備溶かされたんだけど」
ゴブミツは慌てて
「殆どのスライムは獣と一緒だゴブ!僕らとは違うゴブ!」
ナカマはまた大きく息を吐き
「ゴブミツ、僕たちはスナイドの街にいきたいんだけどレベルが低い。君の力を貸してくれるかい?」
ゴブミツは涙目を拭い
「……それ知ってるゴブ。もんすたあぺっとしすてむ……っていうゴブ。魔王軍からは裏切り者呼ばわりされるゴブ……」
「でもちゃんとパーティーに入っていれば、人間側から仲間認定されて、街や城にも安全に入れるよ?」
ゴブミツは私をジッと見てきて
「……君はモンスター殺したことないゴブ?」
「うん。お父さんはあるけど。村を守るためにね」
私が正直に答えるとゴブミツは頷き
「素直で信用できそうだゴブ。お姉さん達、僕、頑張るから捨てたらダメゴブ」
ナカマは頷いて
「承認ありがとう。パーティー設定した。忠誠度35か……良かった、僕たちに攻撃してこないね」
ゴブミツはナカマを見て
「……異世界からの憑依者達は安全なとこから、何度も生き返る身体を操って、好き勝手戦ってるって聞いたゴブ」
ナカマは苦笑いすると
「規約違反になるから、現地民に説明できないんだ……ごめんね」
気弱そうな男の子の声で言った。




