ならば、一つ作戦がある
街の門の前にはシャドウが立って待っていて
「大変やったなあ。宿を取ってある。休んでくれ」
そう言うと、私達を町中の宿へと連れて行った。シャドウは数日はネココの動きを見るため休んで欲しいと言ってきて、私達には別々の部屋が与えられ、食事も用意されていたので一人で食べ、私は久しぶりによく眠った。
子供の頃、お父さんとお母さんと森の泉にピクニックに行った夢を見て、幸せな気分で目覚めた。あの頃、楽しかったなあ……。外はもう夕暮れで、夕日が照らした窓際のテーブルには白のコスモスの花が一輪コップにさされ飾られてあった。確か、花言葉は綺麗って意味だったはず。誰が飾ったんだろう……と思いながら立ち上がって手に取ると、部屋の扉が叩かれる。
入ってください、と言うと、古びたローブを着たエリザベスがゆっくり入ってきて
「白のコスモスか……優美という意味じゃな」
「誰かが置いてくれたみたいで」
エリザベスは微笑んで、窓際のテーブル付近の椅子を見て
「座るが良いかね?」
私が頷くとエリザベスは座り
「更にネココを追うことにナカマさんと他のお仲間は同意した。ルフィナさんはどうするね?」
「私も行きます!お父さんを取り返さないと!」
「うんうん。ならば、一つ作戦がある。元々スナイドの街でネココにやろうとしていた策を改修したものじゃ。こちらにもリスクがある作戦じゃが、私とシャドウも覚悟を決めた。うまくいけばネココにダメージを与えることができる。やるかね?」
「やります!」
エリザベスは微笑むと
「……私にもあっちの世界で娘や孫がおるんじゃが、中々帰ってこんでな。孫はルフィナちゃんと同じ位の歳じゃ」
「そうなんですか。可愛いですか?」
「可愛いよ。とてもな。あんたとよう似とる」
私は少し気恥ずかしくなって床を見る。エリザベスは
「この街の冒険者ギルドで依頼書の報告と新たなる依頼を受けたらええ。ちょっと作戦を始めるまで、向こうの世界で機材を買ったり送ったりとで時間がかかる」
「分かりました」
言ってることは分からないが、ナカマやこの人達を信用するしかない。
「……じゃあ、またねえ」
エリザベスはそう言うと去って行った。不思議な温かさが私の気持ちに残る。




