転生したって扱い
スナイドの街は、大きな、とても広い、穴しか残っていなかった。空を見上げても夜空しか見えない。ナカマが棒立ちのまま
「ネココさん、大混乱するスナイドの住人に爆笑してるね……これから選ばれし天空人として調教するって言ってる……」
ゴブミツがナカマを唖然と見て
「何で分かるゴブ?」
「僕の本体が居る世界では、ネココさん、配信者で……って言っても分かんないかなあ……とにかくこっちでのネココさんを、僕の世界では十数万人が見てるってこと」
キャピナを置いたゴンゾウが不思議そうに
「そんなことして何の意味があるんや?」
「……身も蓋もない言い方だと、僕たちの世界では見られるほどお金になるので、皆見られるために頑張るんだ。ネココさんが好き勝手やれるのも、向こうの世界で人気とお金があるからだね」
ゴブミツが閃いた顔で
「じゃあ僕らも観られたらいいゴブ!」
私も頷いて
「ナカマさんが向こうの世界のお金を稼いだら、多分……ネココみたいに無茶苦茶できるんじゃない?」
ナカマは難しい顔で
「うーん……簡単じゃないんだよ。でも、考えてみるね」
そう言って黙ってしまった。
一度、ファーゴ市に戻ろうと言うことになり、月夜に照らされながら草原を南東に歩いて行くと、遠くに大きな赤く揺らめくオーラを纏った巨人がゆっくり歩いて行るのが見えた。ゴブミツが舌打ちして
「戦争とかで命が大量に失われた時に出てくる巨人だゴブ……ナカマ、南に迂回するゴブ。確か……レベル1500とかで勝てねえゴブ」
「そうしよう」
私達は巨人が見えなくなるまで真っ直ぐ南下して、それから海岸線に沿うように東へと進みだす。
道中でゴブミツはナカマに向こうでの世界のことを尋ねたがナカマは
「ごめん、あまり言えないんだ。そういう契約でこの世界に来てる」
などと言ってはぐらかしていた。海岸付近の森でうっすら光るツキヨタケを大量に発見したので布袋に入れておく。布に包まれたキャピナは今はナカマが背負っていてよく寝ている。
途中で休憩した時に
「あの巨人が居るってことはな」
ゴンゾウが煙草をくゆらせながら
「……スナイドの街の住人が全員死亡したってことかもしれんな」
「いや、配信では生きてるけど……あ、そうか……別の生き物に転生したって扱いなのか」
乾パンを食べていたナカマは気付いた顔で黙りこんだ。ゴブミツが
「多分、もう人間には戻れねえゴブ。空の上で別の生き物として生きていくゴブ」
私は怒りが湧いてきて
「ネココもう絶対許さないから!」
夜空に叫んだ。
歩き続け、無事なファーゴ市が見えて私達は安心する。朝日が差してきた。




