キャピナ
ゴブミツ達に監視を任せ、私はゴブミツに言われた通り、チャモパス村の畑に行き、村人に首を傾げられながら虫除けで植えられているヒガンバナを袋いっぱい貰ってきた。
ヒガンバナは人間が食べると痺れてしまう猛毒を根や茎持っている。花も当然良くない。家で飼っているペットなどが食べても危険だし、花瓶で飾ると災いを呼ぶと云われている。要するに毒草なのだ。しかし畑の周囲に植えると、土を通して入ってくる虫除けになるので良く周辺に植えられている。
高台に戻り、真赤になった袋をゴブミツに見せるとニンマリと彼は笑い
「僕らとそれ持って、樫の木の根元に行くゴブ」
森をかき分け根元へと私たちが行くと、上から石が多数飛んできて、若い女のような声で
「ここは私のだ!私の家だ!立ち去れ!」
上から叫んできた。ゴブミツが上に向け斧と盾を構え
「この木斬るゴブ!!嫌なら降りてくるゴブ」
「待て待て待て待て!!ダメだ切ったら赤いのが見えなくなる!」
上から焦った顔のハーピーが舞い降りてきた。
ハーピーは三メートル上の枝に毛むくじゃらの脚を着地させる。両手は茶色の毛に覆大きな鳥の羽だが、それ以外は殆ど茶色の毛に覆われた人間の女の子と変わらない。所々毛の無い部分からは肌色が見えている。2つ分けされた茶色のウェーブパーマの長い髪が肩まで伸びていて、茶色の両目は大きく、顔は幼い印象だが背丈は160センチくらいあり、私より大きい。
ゴブミツは私に袋の口を開けさせ、ヒガンバナをハーピーに見させる。そして
「その毛の少なさは!どうせ群を追い出されたヤク中だゴブ!!これやるから仲間になれゴブ!」
ハーピーは激怒したようで顔を真っ赤にして
「ばっ、バカにするな!!私は一人でも強く気高く生きていく!」
そう言って後ろを向くと、私達は驚いて固まった。背中側には全く毛が無く、お尻も太ももも丸出しだった。ゴブミツがため息を吐いて
「お前もう後ろの毛が無いゴブ!」
ハーピーは慌てた様子でこちらを向きなおし、羽根と一体化した両手でお尻の辺りを触り、真っ青な顔をした直後、突然、ごっそりと胸の下から腹の毛が抜けていき、オヘソが丸出しになる。もう脚の前側と胸の周囲と股の辺りの茶色い毛しか残っていない。
ゴブミツは真面目に
「ハーピーの体毛は一回抜けたら戻んねーゴブ。でも僕らなら君に服を買えるゴブ。花使いのルフィナちゃんが毒草を食わすこともできるゴブ」
「くっ、くそ!バカにして!高貴なるハーピー族を舐めるな!お前らを倒してヒガンバナを奪うだけだ!!」
ハーピーは襲いかかってきたが、あっさりゴンゾウに羽交い締めにされ、数秒後には
「たしゅけて……たしゅけてくださあい……ごめっ……逆らってしゅいませ……しゅいませ……」
などと情けない声を出していた。ゴンゾウが
「低レベルやな。仲間にする価値あるか?このまま首締められるぞ?」
両脚の毛がごっそり抜けていき
「ひいいい……やらあ……もうやらあああ……こわいのおお……みんな虐めるのお……ママあ……ママたしゅけてえ……」
泣きながら母親を呼び始めた。ゴブミツは腕を組んで
「僕は、モンスターは殺したくねえゴブ。これやってちょっと落ち着くゴブ」
ヒガンバナをハーピーの口に入れると、ハーピーは泣きながら咀嚼して
「……はあん……ふう……」
トロンとした気持ちよさそうな表情になる。ゴブミツは、驚いている私に
「僕らモンスターの一部には、毒草や毒キノコ食って気持ちよくなってるヤク中のアホが居るゴブ。ルフィナちゃん、毒草と毒キノコ見つけたらこのアホに食わせてやって欲しいゴブ」
「もっ、モンスターは体が強いから?毒草たべても大丈夫なの?」
私が尋ねると、ゴブミツはハーピーの毛のない身体を見て
「大丈夫じゃねえゴブ。ハーピーの体毛は魔法防御とか飛行速度上げるとか便利だゴブ。でも身体弱ると抜けていくゴブ。この若さでこんだけ抜けてるのは、相当に毒草食ったアホだからだゴブ」
ナカマが苦笑いして
「レベル12だね。ステータスも貧弱だ。ゴブミツ、本当に仲間にするべき?」
ゴブミツはニヤリと笑って
「ヤク中は躾易いゴブ」
私を見てきた。
ハーピーはヒガンバナを食べさせると何でも答えた。名前はキャピナ、北のハーピーの国の偉大なハーピー女王の娘らしいがそれを聞いたゴブミツは
「ヤク中の妄想だゴブ」
と言っていた。そして
「ルフィナちゃんのペットにすると良いゴブ。道端の毒草とか毒キノコ食わせとけば言うこと聞くゴブ」
キャピナはナカマの
「パーティーに入るね?」
という問いにもトロンとした顔で
「入るよ……沢山気持ちいいお花とか……食べさせて……」
などと言ってあっさり了承してしまった。私は大丈夫かなあと不安になる。




