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AI達はオンラインファンタジーゲームの住人だと気付いていない  作者: 弐屋 丑二


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ファーゴ市

ゴンゾウがオールを漕いで船を西側へとゆっくり迂回させていく。ナカマは座ったまま

「……ヘンタースンシとエリザベスの戦いだって……片方は迷惑系配信者でBAN狙い……たち悪いなあ」

ゴンゾウが漕ぎながら

「……エリザベスと言えば一ヶ月前に市長になった女性か。つまりあれはファーゴ市か」

「真面目に市を治めていた女性憑依者と、荒らすことができれば何でもいい憑依者の戦いだね……市長側は、別の憑依者を呼び寄せて防衛してるけど……荒らしてる側が大量の火薬を雇った竜騎士傭兵団に投下させようとしてる……」

ゴブミツは顔を抑えて

「もう無茶苦茶だゴブ……」

ゴンゾウは急に港町へと小舟の進路を変更して

「……ナカマさんや、どうにかならんかね」

ナカマは大慌てで

「いやいや!無理だよ!僕はレベル低いし!廃人と廃課金者の戦いだよ!?」

ゴブミツも立ち上がり

「僕も許せねえゴブ!クズ憑依者共をギャフンと言わせるゴブ!」

私もナカマに

「町を助けよう!」

そう言うと渋々と

「知らないよ?君たち1回死んだら終わりだからね……?」

ブツブツと呟いて渋々やることに頷いた。


 港へと近づいて行くと、倉庫が燃えていて接岸壁がひび割れ穴だらけなのが分かる。更に近づき小舟が接岸できる場所に小舟を停め大混乱になっている港に上陸すると、鉄兜と鉄鎧を着た兵士が走ってきて

「今は戦争中だ!去ったほうが良いと思うが!」

ゴンゾウが額に血管を浮き立たせながら

「市長に会いたい。協力させてくれ」

兵士は一瞬唖然とした後、小声で

「憑依者同士の喧嘩だぞ……?良いのか?」

何とも言えない表情で言ってくる。私達全員が頷くと仕方なさそうに

「では、作戦司令部に案内する」

そう言った。


 燃えている家屋も多い町中の端の地下へと続く長い石階段を降りていくと、光石に照らされた広い地下空間が出た。そしてそこには数百軒の大きな家々が立ち並んでいた。店舗も多数ある。驚きながら地下街を進んで行くと小さな家の前で兵士は立ち止まり

「ここだ」

と言った。


 兵士は付いてきてくれなかったので、私達だけで家の扉を開けると、入ってすぐのリビングのソファに真っ白な髪を束ねて簡素な布の服を着た老婆がポツンと座っていた。ナカマ先頭で家に入り、リビングに足を踏み入れると、老婆は立ち上がり

「よく来たねえ」

年老いた声でシワシワの顔を微笑ませた。

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