ハウス!
ゴンゾウは北に船を漕ぎながら、私のお父さんが居なくなった理由を聞き
「そりゃあひでえなあ……」
ゴブミツも
「憑依者やべえゴブ……お前らの世界は悪魔の住む地獄とかゴブ?」
ナカマをジッと見る。ナカマは苦笑いして
「そんなことないし、ネココさんもまあ……色々あるんだよ」
「でもお父さんは返してもらうよ!」
私が思わず立ち上がると
「うん。会えたら言ってみようね」
ナカマは真顔で頷いた。
北へと海を進んでいくと、小さな木々が溢れる無人島を発見した。そろそろ日が暮れるのでそこで休憩することになった。ナカマは波打ち際で北西を見て
「ミョシャーハン諸島の端かあ……スナイドの街まで二百キロ……」
などとブツブツと言っている。ゴブミツはゴンゾウと共に島の中心部の森を探索し始めた。私は危ないからナカマと居て欲しいと2人に言われたのでナカマの近くで寄せては返す波の音を聞いていた。
ナカマは急に反対側の森側を見て
「木材は十分ある。モンスターも居ない。領土設定しても良いかも……」
「領土設定って何?」
私が座ったまま尋ねると、ナカマは
「領土設定したら、自宅が作れるんだ。今日休むためだけでも家がいるだろう?」
「良くわかんないけど、お家がつくれる魔法を使えるの?」
ナカマは真顔で森を見て
「魔法じゃなくてシステムだけど……あと自宅設定すると、いつでもここまで戻って来られるよ」
「えっ……そうなの?じゃあ私のおうちを自宅設定したら良かったんじゃない?」
つい、そう言うとナカマは腕を組み
「できるけど、それって強盗と同じだからなあ……君の家が僕達の家になっちゃうし……ここなら誰の迷惑にもならないし……何かあれば逃げてこられるかも」
「……日が暮れてきたね」
夕陽が島と砂浜に引き上げられた小舟を照らす。ナカマは砂浜と森への境界線へと歩いていき森側へ両手を翳し
「範囲はこのくらいかな……」
そう言うと
「ハウス!!」
と叫んだ。
瞬く間に、手前の森の広範囲がが四角く切り開かれていき、切られた木は宙に浮いて勝手に木材へと変化していく。そして切開かれた森の跡に、またたく間にログハウスができていく。それを黙って見ているナカマに
「こっ、これ……凄い魔法だねえ……」
ナカマは真顔で
「いや、魔法じゃなくて……システムなんだよ。プレイヤーが世界に二ヶ所だけ作れる自宅の一つ目だね」
そう言った。




