プロローグ:2
今から約数十年前、世界に画期的な技術が開発された。
――VR技術。専用の機械を通して五感を操作し、まるで仮想空間の中に入ったかのように感じる事の出来るその技術は、瞬く間に全世界で様々な利用法が検討された。そして、様々な政治利用などを経て、現在その技術はゲームなどの娯楽用途にも用いられるようになった。
VRMMORPG〈アンリミテッド・クロニクル・オンライン(Unlimited Chronicle Online)〉、通称〈UCO)、あるいは〈アンクロ〉。
初の日本産VRMMOとして八年間リリースされているこのゲームは、日本中のゲーマーを虜にした。
〈アンクロ〉の人気の理由として、ある一つの独自の要素が存在する。
それは、『大規模アップデート毎に、抽選で当たったプレイヤーは、テスターとしてテストサーバーで先行プレイ出来る』というものだ。ただ先行プレイ出来るだけではなく、そこでバグ等を見つけたら、報酬として一定のランクまでの素材の代わりになる限定素材アイテムが貰えたり、そもそも当選するだけでテストプレイ参加限定アイテムが貰えたりするのだ。新しいアップデート内容を自分だけ先に確認でき、さらに効果はともかく、見た目などが良い売買不可の限定アイテムまで貰えるとあって、毎回抽選倍率は高い。
今回の大規模アップデート〈新たな芽吹き〉は、久々にレベル上限が解放されるとして、何時もよりテストプレイの抽選倍率は上がっていた。なぜなら、レベルが上がるということは、そこで新たなスキルや術技も解放されるということと同義であるためだ。先行プレイによってより早くスキルの詳細を知ることができれば、その分多くのスキル構成や術技の連携を考えることができるし、集めなければならない素材アイテムや狩場の位置が事前に判明する。それらの理由から、レベル上限解放のアップデートのテストプレイの抽選倍率は常よりも高いのであった。




