3話:開けたら閉めるは当たり前
※こちらは2部になります。
コンビニへ静かに入店。
入店音は……ない。
お客さんの二人を商品棚にズラリと
並んだ品物達が出迎えた。
「見てよ!シオン!いっぱいあるよ!」
「しぃー!声が大きいよ!カナタ!」
「あ、ごめん、そうだった、ははは……」
「あと、歩きずらいけど、しゃがんで歩こう。
外から見えにくくしとこう」
注意と同時に、しゃがんで歩くことを提案した。
カナタは納得する。
物色していると、カナタの目にキラキラが映り
それを手にし、カナタは戦う。
「わぁ、これキラキラしてる!
なにか入ってるっぽい!……んん?
あれ〜?これどうしたらいいの…?」
カナタの対戦相手は、ガム。
ガムは、商品によるが
一番外のパッケージ外装が
反射でキラキラしてるように
見えるものがある。
カナタは食べ物だと思ったのだ。
「それはガムっていうの。
食べ物の一つだけど、少し違うの。」
「カナタ、昨日食べたポリポリしたやつ
噛んだ後どうした?」
「え?どうしたって飲み込んだよ?
シオンもそうだったよ?」
「そうだね、でもね?
これは、飲み込むと危険な食べ物で
飲み込まない代わりに、
ずっと噛み続ける食べ物なの。」
「…危険なの?いや、待って?それより!
ずっと噛むことができるの!?
無くならないってことじゃん!すごい!
そんな食べ物があるの!?食べたい!どうするの!」
「確か……ここを破って…ほら。(可愛い…)」
パッケージを開け、中から1枚取り出す。
ずっと見ているカナタ。
口というダムは決壊し、溢れるヨダレ。
シオンが中から取り出した銀紙を見て
さらに興奮が高まる。
「すごい!中もキラキラ!
シオン、これは危険かもしれないけど、
すごい食べ物を見つけたかもしれない……(じゅる)」
ぐぅ〜…。
カナタのお腹も「そうだね!」と言っているようだ。
「これでよし。はい、どうぞ。
もし、飲み込んだら胃袋にくっついて
ずっと取れなくて危険なの。
そして、体の中からぁ〜(不敵な笑み)」
「……ひぃ…!き、気をつける!(ゾクゾク)
危険…飲み込まない……んぁ〜ん(もぐもぐ)」
ガムを噛んだカナタ。
だが、ガムをすぐ出した。
今まで食べていた味のない食べ物や
まっずい食べ物と似ていたからだ。
それもそう、美味しく
食べれる期間などとうに過ぎている。
「…うぇ〜、シオンこれ不味いぃ〜」
「あはは、残念だったね。さ、他探してみよ」
「う〜ん、そうするぅ〜」
二人は引き続き探すが
特にこれといったものはなかった。
シオン達はずっと会話は小声で話し
しゃがんで移動し、できるだけ外からは
見えないようコソコソしている。
しかし。
──カチリ、カチリ、カチリ。
静かなコンビニに、硬い爪が
タイルに当たる音を不気味に響かせている。
シオンは、その音がどうしても気になり
商品棚に目を配った。そして
とある物を手に、カナタに振り返る。
「カナタ、ちょっと足いい?」
「え?うん、はいっ」
出会った時、音はしても暗くて見えなかったから
気にならなかった。
スーパーを出る時、自分自身が必死で
気にしてる余裕はなかった。
走ってる時、楽しくて気にすることも忘れてた。
そして今、音が気になって
その足を見るこの時まで、何も、思わなかった。
──カナタの脚は人じゃなかった。
「………」
「カナタ、この白い布を
爪のところに履かせるね。」
「???うん、いいよ?」
シオンが、手に持っていたのは軍手。
それを全ての爪に『履かせた』。
…………。
足音がほぼ消えた。
「ねぇ!シオン!
これ何したの?足音がほとんどないよ!
変な感じすっごいけど…!」
「ごめんね、でも今はこれで我慢して。
ドロップに気づかれないためと思って。」
「あー!OK、わかった!」
歩きずらいはずだ。
コンビニの床は
基本的にツルツルのタイルが多い。
そんなタイルと軍手では、相性は悪い。
シオンは振り返り、少し止まってしまった。
「どうしたの?」
自分の足も違うが、それ以上に違う
カナタの足にシオンの胸は痛みを感じていた。
「え、ううん、なんでもないよ!
ほらあそこ、まだ飲めるやつあるかも」
ガラスケースに沢山並んでいる。
同じものが各列ごとに綺麗に。
かつては、ここから
好きなのを取って買うのが当たり前だった。
今、彼等は自分を選んでくれる日を
ずっと……待ち続けている。
─開けっ放しの人、たまに見ない?
開けてから選ぶ人も。ありえないよねぇ。
「うわぁ、いっぱいあるね!
…っととと、危ない危ない。滑るなぁ。」
「カナタ……どれもダメそう」
一緒に見ていたシオンが残念そうに言う。
「え!?こんなにあるのに!?」
「うん、液体の色がすごくもう変だし
緑のコレ、沢山生え──」
その時、シオンの耳が動いた。
「カナタ!しゃがんで!静かに!」
「え…?わわわわ、びっくり〜」
反射的にカナタの事も無理やりしゃがませる。
──ゥゥゥゥ。ズシ、ズシ。
──スンスンスン……
シオンの耳が捉えたのは
この近くにいたドロップの近づく足音と
匂いを嗅いでいる時の鼻の音。
「こっち…!あそこに入ろう…!」
シオンがカナタを誘導したのは
コンビニに必ずある、スタッフ専用部屋。
あの扉は、基本的に色がある。
外から覗かれても中までは見えない。
二人は隠れた。
──ズシ、ズシ。…スン……スン…。ォォァァ。
耳が反応した時も近かったが
今のはやたら近くに聞こえる。
青ざめるシオン。
──『閉めてない』。
静かに入る事を優先しすぎて開けた扉を
閉めることを完全に忘れていた。
「シオン、入ってきたみたいだよ?
壁あるはずなのに…なんで?」
「…う、うん、そうだね……。
どうしようか…ずっと鼻をすする音も聞こ…
…!まずいよ、カナタ!」
「そんなびっくりして、どうしたの?」
「あのドロップ《匂い》で私たちを探してる。
私たちが歩いた場所を歩いてるの。」
「え、じゃあまずくない?
ここに来るよ?あいつだけしかいないの?」
「…………。そうだね、近くにいない。」
「よし、ならぶっ飛ばそう。
コイツだけならそっちのが早いよ!」
「どうせこの部屋に来るなら、そうだね。」
カナタ達は倒すことにした。
戦闘はカナタの出番だ。
背中からハンマーを取り、構える。
スタッフ専用扉の前に立ち
出ようとして、足に力をいれ
踏ん張った瞬間だ。
───ツルッ
「えっ……」
「あ……」
ドーンッ!!
カナタは滑ってしまい、その弾みで
手からハンマーが飛び出し、
スタッフ専用扉をぶっ壊して
入口の方へ飛んでいってしまう。
グォォォォォォォォ!
「いててて、えぇ?なんで……」
カナタは転んでうつ伏せのまま
下半身に目をやる。
自分の足が白い布で覆われている。
シオンが足音を響かせないようにと
履かせてくれた軍手が裏目に出た。
ズシ!ズシ!ズシ!ズシ!
ドロップは走ってやってくる。
「……くそ……んぐっ……!」
咄嗟に両腕を顔の前に出し防いだ。
「あ……カナタ……!ごめ…」
──ドーン!バゴーン…ッ!
ドロップはその勢いのまま
カナタを蹴り飛ばした。
カナタはそのまま壁を壊し、外へ放り出された。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
この作品は「勢いとテンポ」を大事に、とにかく楽しく書き進めています。
ゆるい気持ちでお付き合いいただけると嬉しいです!




