2話:いつでも買える当たり前
2部もゆるく楽しんでください。
北側にある街。
この街の入口に
マスコットキャラの置物がある。
この街といえば!を表すには十分だった。
つまり目印だ。
─〇〇の前に何時集合ね!とか
決めてたなぁ〜。
守らないやつ、絶対いたでしょ?ははっ
だが今は、片腕は地面に落ち
全体的に亀裂も目立つ。
顔は埃や風化で拝めない。
そんなマスコットの前に明るく元気な声。
「着いたー、ゴール!……あれ?」
「…はぁ…はぁ……ゴ、ゴ〜…ル…」
ふわりと着地するカナタ。その後ろから
少し遅れて、歩いてゴールするシオン。
逃げまくった生活で体力は
それなりにはある……はずだった。
「大丈夫?途中から歩いてたけど」
「…はぁ…大丈夫…体力あると思ってたけど
意外となかったみたい…げほ…」
「あはは!あ、ねぇほら!シオン後ろ。
さっきいたとこは小さく見えるし
だーれもいない!」
言われるがまま振り返る。
誰もいない。嫌な音もない。
カナタとの障害物競走が
楽しくて仕方なかったことが分かる。
しかし、建物はよく見えない。目は普通だから。
「朝いたとこ…よく見えないよ、私には…」
「え?あ、そうだった!
わざとじゃないよ?あはは!」
「もう、意地悪だなぁ〜」
「ごめんってば!ていうかさ、
そんなに速いなら、あんなとこから
すぐどっか行けたんじゃない?」
「ううん、きっと無理。
息を殺して、隠れるので精一杯だった。
それに、自分がこんな速いんだってことも、
カナタと走るまで気づかなかったし。」
「ふーん。でも、もう平気だね!
速いこともわかったし!」
「羨ましいよ…そのポジティブさ……」
カナタはニカッと笑い
シオンは苦笑いをする。
そして、改めて街を見た。
目の前に広がるのは、崩れている建物や
何とか形を保つ建物。
大きくないがビルもある。
地面からは雑草が生え、木は枯れている。
この街も賑やかだったはず。
今となってはその面影もない。
灰色の街と呼ぶのがお似合いだろう。
カナタは入口のマスコットに近づき
じーっと見つめていた。
自然と首は傾げている。
「カナタ?それが、どうかしたの?」
不思議そうなカナタに声をかける。
「………………」
「カナタ?」
「え、あ、これ、顔が見えないけど
どういう顔してたのかなぁって思って」
「ん?あぁ、ホントだ、顔見えないね。
私もハッキリ覚えてないけど、たしか…
ん〜…と、キモカワだったような?」
「…きも……かわ……?」
「そう、気持ち悪いけど可愛い。」
「気持ち悪いのに…可愛いの?」
「うん、どっちかでいいよね、あははっ」
「(きもかわ……?)」
カナタは理解しようとした。
しかし、すぐに考えるのをやめさせられた。
「…タ!」
「ねぇ!……ナタッ!……カナタ!!」
カナタの意識は戻ってきた。
「……っ!!!」
「ホントにどうしたの?大丈夫?」
「え、うん、大丈夫!平気!」
「それならいいけど…。
それより、ドロップの音がするんだ。
1つは聞こえたと思ったら消えて
また聞こえてって感じ。
あとは2体、歩いてるかな。」
「わかった、じゃあ、
ドロップに見つからないように
まずは、喉乾いたから
飲み物ありそうなところ行こ!」
「切り替えの早さも羨ましいよ…。
でも…そうだね、私も喉乾いた!
歩いて探してみよっか!」
─────
街の中を、警戒しつつ歩いて数十分。
シオンが何かを発見する。
「あ!カナタ!あそこ見て!」
「ん?わぁー!中にいっぱいあるね!
あそこならあるかもしれないよ!」
「うん、いこいこ!」
シオンが発見したのは《コンビニ》。
24時間、いつでも利用可能で
いつでも食べ物や飲み物が手に入り
ちょっとした雑貨や日用品も買える。
誰にとっても、便利で
大体の人が当たり前に行く場所だ。
─小腹空いたら行かなかった?
ついで買いしたりさ。僕はあるよ。
コンビニの前に来ると
カナタはまた不思議な顔をした。
「ねぇ、シオン?あれなんて書いてあるの?」
コンビニの電気が点灯する部分
その中央を指差していた。
「ん?あぁ、あれは24っていう
えっと〜、確か…記号?だったかな…」
「に…じゅう……よ…ん?」
「うん、覚えてない?」
「全然わかんない!」
「そっか。カナタ、ここはね?
いつでも飲み物と食べ物が手に入る場所。
すごいでしょ?」
「……」
「あ〜……カナタ?おーい。」
顔の前に手を振るシオン。
「……い」
「え?」
「すごい!すごいすごいすごい!
すごいよー!何それ!
いつでも!?そんな場所あるの!?
朝でも夜でもいいの!?!!?」
「う、うん、そうだよ、朝でも夜でも」
シオンはカナタの反応を見て
「(出会った時もそうだったけど、カナタは
食べ物以外も色々覚えていない?のかな?
まぁ、私も曖昧なとこあるけど…)」
「行こう!早く行こう!早く!
えっと〜…入口は、ここからか!」
カナタの興奮はMAX。いや、振り切っている。
突っ立ってる場合じゃない。
待っていられない。
鼻息を荒くし、
「フンッフンッ」と丁寧に発音までしている。
興奮の勢いそのままに入ろうとした時だ。
───ドンッ。
「……ッた!!え?!は!?
なんで入れないの!?」
「壁で進めないのか…なら!壊すまで!」
カナタはその鉤爪で
蹴破ろうと足を上げる。
「あぁ!まっ、待って!待って!
近くにドロップがいるからダメ!
ここは任せて、あと今からは
小声で話そう…一応ね…(小声)」
「え、あぶなぁ〜…わかった……!(小声)」
シオンはカナタを止めると
自動ドアをあまり音を立てないように
ゆっくりとスライドさせて開けた。
自動ではないため、やや重いが
シオンでも動かすのは問題なかった。
─あるある、手動で開けたこと。
何気に重たいわよねぇ〜。
「ほら、早く入って、カナタ」
「よーしっ!フンッフンッ」
スン…スンスンスン……ォォアァ…
いつでも食料が手に入る場所。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
この作品は「勢いとテンポ」を大事に、とにかく楽しく書き進めています。
ゆるい気持ちでお付き合いいただけると嬉しいです!




