4話:味がするのは当たり前
4話は、勢いと流れに従ってゆるい回になりました。
建物内は、電気なんてものはない。
当然暗い。
普通の人は、暗くて全然分からないが
カナタは問題なく見える。
カチリ、カチリと足音が響いている。
自慢の視力で、壊れた商品棚も含め
くまなく探していた。
「お!これなんか食べられそうじゃない?!
うわぁ…キラキラしてる!綺麗!
でも、綺麗なのって食べたことあるような…」
「いや!こんなに綺麗なやつ
見たことも食べたこともない!
ぐふふ、では早速…んあ〜〜……」
キャップ部分は少し力を入れたら取れた。
そして、口に入れようとしたその時。
「…あ、あの!そ、そ、それは
食べ物じゃない……よ…。」
「ぁえ……?」
ナイアガラの滝のように出ているヨダレ。
そのまま、声の方を向く。
「それは…臭いのを消してくれるボール…。
綺麗だけど、それは食べれない……
食べたらすごくお腹を壊しちゃう…よ……。」
カナタのヨダレはどこかへ消えた。
いや、最初から出てなかったかもしれない。
「え、うそ!?まじ?!こんな綺麗なのに?!」
「う、うん……
(この人は、食べ物の認識が私とは違う?の?)」
「えぇ〜、あんな頑張ったのにぃ〜…
嘘でしょ〜……いや待って?
ていうか、君誰!?」
「え、あ、やっとそこなんだ…あはは……。
わ、私はシオン。君は?君があのドロップを?」
「私はカナタ!よろしくね!そうだよ!」
「あの、あ、ありがとう。
私、あいつにひたすら追われて
慌ててここに逃げ込んで、ずっと隠れてたの。
出ていく様子もなくて
逃げたくても、こ、怖くて……」
「ふーん。そうだったんだ。
でももう居ないし、私は
襲わないから安心してね!」
「う、うん。あ、カナタは
食べ物探してるんでしょ?コレあげるよ。
お願いしたわけじゃないけど、倒してくれたから」
差し出されたのは、乾パンとしなびた人参。
シオンがここに来る前に
どこかで見つけてたものだ。
カナタは眉間にシワを寄せ、
差し出されたものを怪しく見つめる。
正面から左右から、360度とにかく見た。
カナタの目は視力の他にもう一つ。
色で判断することも多い。
故に、食べ物として映っていない。
シオンは食べ物の認識が違うのだと、
すぐに思い出し、もう一本人参を出し
それを食べながらカナタに伝えた。
「ほら、大丈夫だよ。
(もぐもぐ)…ポリポリして……(もぐもぐ)…
おいしいよ…(もぐもぐ)?」
それを見てカナタはようやく理解した。
目の前に出されたのは食べ物なのだと。
理解したらあとは本能に従った。
奪うように取り、食べる。
「なにこれ!!美味い!!!(もぐもぐ)
ホントだー!ポリポリしてる!
こっちは…(もぐもぐ)…かっった!!!
けど美味い!……(もぐもぐ)…んっ!?
げほ!げほ!」
「あぁ、あぁ…!慌てないで!
ほ、ほら、これ!水、飲んで…!はいっ」
「(ゴク…ゴク……ゴク)かぁーー!うまーーい!」
その後、シオンに頼り問題なさそうな
食べ物や飲み物が他にないか
スーパーを探索する。
シオンは、最初こそぎこちなかったが
カナタの明るさのおかげなのか
いつの間にか打ち解け、普通に喋れていた。
しかし食料探索は、成果はなかった。
当然と言えば、当然だ。
「はぁ〜…いっぱい置いてあるのにぃ」
「仕方ないよ、私のやつ
まだ少しあるから食べようよ」
「え、でもシオンのが無くなっちゃうよ!?」
「気にしないで、死んじゃう方がダメだよ」
シオンは朝ごはん用を残して、
残りの手持ちをカナタと分けた。
「ご飯ありがとう!ホントに助かった!
今日はここで寝ていい?明日出るから!」
「どういたしまして。
それと、ここは私の家じゃないから
自由にしてっ。」
「わかった!」
遠慮してるのかしてないのか。
「そういえば、暗いとこでも
平気そうだけど、カナタは目がいいの?」
「うん!遠くも見えるよ!
シオンは?遠くまで見えないの?
その頭から伸びてるのは?耳?」
「あはは、無理だよ、目は普通だもん。
それと、そうだよ。これは耳だよ」
「目は普通でも、代わりに耳がいいの。
カナタの耳が普通なら、私はその何倍も
小さな音や周辺の音が聞こえるの。」
「へぇ〜、じゃあ、
最初から危険がわかるってこと?」
「うん、私はドロップが見えなくても
音で判断してそこを避けて、移動するの。
だから、うまく逃げて生きれたのかも。」
「すごー!便利!いいなぁ!」
「ところで、カナタはなんでここに来たの?」
「え?え〜っと…私、向こうにある瓦礫から
ここで何か、影が動いたのを見て
それを確かめるために来たんだけど、
その影は、シオンだったのかな?」
説明しながら、その場所をカナタは指差す。
「……え?よく見えないけど
あんな遠くから私を見たの!?」
「あぁ〜…ちょっと違うんだ〜。
私は、形は見えるけど、実際何かは
そこに行かなきゃ結局分からないんだぁ。」
「そうなんだ、でも、すごいね!カナタの目。
目もそうだけど、さっきも!
そこの壁にぶつかった時は
やられちゃう……!って思ったけど」
「あれは、確かに油断した…ははは……
でも、あんな奴には負けないよー!」
二人の会話は、友達同士が
自慢しあってるようにも思えた。
そして、だんだんと睡魔がやってきた。
「ふぁ〜〜……眠くなってきた〜」
「うん、そうだね。
一応、あっちで寝ようよ」
二人は安全を考慮し、スーパーの奥にある
扉がある部屋の中で眠りについた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
1部はこれでおしまいです。
2部も勢いとテンポよく
とにかく楽しく書き進めています。
ゆるい気持ちでお付き合いいただけると嬉しいです!




