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物語(仮)  作者: りくど
第5部
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29/30

9話:手を取り合うのは当たり前

※こちらは5部になります

よかったら1〜4部も読んでみてください

ドロップはその大きな手で必死に

土煙を払い除けていた。


土煙を起こし終わり、そのまま

シオンの元へ降りてくる。


シオンはカナタへ伝えた。


「それで?わかったことって?」


「アイツの攻撃のやり方だよ。

攻撃する時に手、足、口を使うけど

それには『順番』があるの。」


「へぇ〜?でもシオン、その順番って分からないよ」


「カナタは歩く時、こっちの足を

出したら、次こっち出すでしょ?」


「そうだよ?歩けないじゃん」


「それが順番だよ」


「……すごくわかりやすい!

そういうことか!!ん?…それがなんなの?」


「アイツは、その『順番』を守って

攻撃してぶっ壊さないときっと倒せないんだと思う。


で、その順番は

右手、左手、右足、左足、最後に口

頭でも大丈夫だと思う。

心臓は攻撃とは違う『別の振動』なの。

それがずっと振動してるから攻撃は届かない。


あと、『攻撃する時の振動』と『心臓の振動』を

私達には分からないぐらいにくっつけて

体全部を振動させてるように『見せてるだけ』」


「だからどこ殴ってもダメだったんだ…。

シオン、順番はわかったけど…私だけじゃ

ぶっ壊せないよ?ハンマーを当てていい時が

全然分からないし…」


「私がちゃんと言うよ。カナタに

声をかけたら、さっきの私が教えた

肩を叩いたことだよってなるでしょ?


それが、カナタが当てていい時。

その時のために準備しておいてほしいの」


「わかった!シオンはどうするの?」


「私はカナタみたいには無理…

蹴った所で、ぶっ壊せない。


けど、カナタに攻撃がいかないように

私にだけアイツの目を向けることはできる

『囮』ってことだね」


「おとり…?って言うの?

え?!……シオンやっぱり『鳥』なの!?

飛び方教えるよ!!」


「話聞いてた!?」


「ガァァァァァ!!!!」


ドロップはようやく

土煙を完全に払い除け、敵を視認した。


「カナタはここで待ってて、

アイツが私のことを見て動いたら

『あっち』に行ってまた待ってて……!」


「わかった!」


「……ふぅ…よし!

(攻撃が当たれば…私はカナタより

体が弱いから完全循環で守っても危険だけど

倒すにはこれしかない…やるぞ…っ!)」


カナタはその場から動かず、

シオンはドロップに向かい走り出した。


ドロップは右手をシオンに向け

攻撃しようとするが、

シオンのが早く移動を開始していたため

岩を飛ばす為の準備が間に合わなかった。


懐に入ってきそうな敵を確認し、

攻撃の内容を変えた。


右手を握り拳にし、

タイミングを合わせて振り下ろす。

振動は拳のまわりについている。


シオンは当たるほぼ直前のタイミングで

後ろに大きく飛び、その拳を避けた。


拳は地面に当たり、振動が消えた。


そして、地面から拳が離れたようとした時

シオンはカナタに声をかける。


カナタはシオンの指示通りに、ドロップが

シオンを見て動いた直後に

ドロップの『右側』に移動し待っていた。


「カナター!!」


「待ってたー!」


声と同時に、爆速で近づき

そのまま『居合い』で振り抜き右手を粉砕。


「ウガァ…!?」


ドロップは何かが通り過ぎたと思えば

右手が破壊され、驚いていた。

何をされたか理解できなかった。


「やった!次…!

カナタ!今度は『そこ』で待ってて!」


カナタは攻撃した後、通り過ぎて

『左側』に既にいた。次はそこで待つ。


シオンは少し離れたまま正面に立っている。


ドロップはその視界にいる

めんどくさいやつが立っているのを確認。

壊されたのは仕方ないと割り切った。


確認後、左手を地面に置き、振動させ

シオンの足元を液状化させる。


「左手はそれだけしかダメなのかな?

もう無理だよ!それ!」


キィィン……


音が低くなった。

シオンはカナタに合図をし

今度は左からの居合い。


「あはは!私のこと見ないじゃーん!せーのっ!!」


左手を破壊する。


カナタはさっきまでと全然違い

攻撃が通り、楽しくてしょうがなかった。


※※※


「ねぇ?平気でしょ?」


「心配いらなかったわね…

ホント耳がいいの羨ましいわ」


「私達の耳は普通だからねぇ

だから時間かかるんだよ〜倒せても」


「納得だわ」


※※※


「カナタ!今度は『上』で飛んで待ってて!」


「よーし!」


ドロップの両手は粉砕。

左手を壊し通過した後、上へ飛び

ドロップの背中側で滞空し準備する。


ドロップはこの敵にイライラしていた。

飛ばないけど、ちょこまか動く

2匹目のハエのような存在。


完全に頭に来ていた。


そんな敵が目の前でくねくねしている。


「おーい!手が無くなっちゃったねー!

ほら!こっちだよー!」


シオンは煽り、走り出す。

煽られているとわかったかは知らないが

ドロップは右足を引いて、溜めて、走り出し

シオンを追いかけた。


目の前のハエは走りをやめ、その場に停止。

ドロップは攻撃チャンスと思った。


ドンッドンッドンッドンッ


「ォォガァァ!」


シオンは止まっている。後ろには木。

ここには壁という壁はない。

木を壁代わりにするシオンは

少し悲しい顔をした。


「……終わったら…言わなきゃ」


ドロップはすぐそこだった。

カナタ顔を追撃した時と同じ、右の蹴り。

シオンは避け、ドロップの後ろへ回り込んだ。


バキバキッ……ドサーッ


壁にした木は無惨にへし折れていく。

シオンは上を見てカナタと目が合い、ただ頷いた。


振り向こうとする瞬間に

ハンマーは右足の踵から入り粉砕する。

ドロップはバランスを崩し倒れそうになる。


しかし、バランスを崩してるのに倒れない。


それどころか、ドロップは左足に

振動を纏わせて、同時に地面も振動させていた。


体が重くそのままでは上に飛べないため

振動に振動をぶつけ、反発させて飛んだ。


これは、磁石の同極を合わせた時の反発…

斥力(せきりょく)』に似たものだ。


綺麗な弧を描き、

そのままシオンの上に落下してくる。


「え!?倒れないでそのまま!?」


「あ!待て……!」


ドロップはプロレスにみる

背中から落ちる技

『セントーン』で潰すことを狙っていた。


人間だった頃のコイツは──

プロレスラーだったのかもしれない。


「びっくりしたけど、それも当たらないよ!」


驚きはしたものの、これも

避けてくださいと言ってるのと同じ。


問題なく避け

ドロップは背中から地面へ落ちる。


木をへし折った位置にいた

カナタに声がかかる。


「今だよ!カナタ!」


「これでお前は立てないぞー!」


ガーンッ!……ピキ…ピキピキピキ


ハンマーが当たり、ヒビが入った。

直後、勢いよく破裂。粉砕。


ドロップの四肢は完全粉砕された。

残るは口…いや『頭』だ。


すぐに、足元にいるカナタへ顔を向け

口を開き咆哮する。


四肢のないドロップは頭しか動かせない。

最後の抵抗、最後の攻撃手段。


「うわ!揺れるやつだな!」


カナタは上へ飛び、余裕の回避。


「カナター!叫び終わったら!

叩いておしまいだよー!」


「よくも私の顔を2回も攻撃してくれたなー!

今度はお前の番だ!」


ドロップの咆哮は止んだ。

上のカナタと目が合う。


カナタも目が合った気がした。

ドロップの顔を『見てた』から。


「これで今度こそ……ッ!」


『爆速急降下』 + 『居合い』


ビュンッ──!…………バーンッ!


……ヒュー…………ガーンッ!


しかし、ドロップの頭は他部位より

元々が一段と硬かった。

振動防御がなくても砕かれまいと耐えている。


「ホントにかったいなーー!

こんのぉぉぉーッ!!」


カナタはさらに力を込めた。

ハンマーはその力に呼応し、鎚の片側から

フサフサと羽を生やし、意思があるかのように

その羽を羽ばたかせ、勢いを上げた。


そして──


ピキピキ……ピキ……


「ガァァウオオァ……!」


ドンッ!……バーン!…ババババ……


頭を粉砕、花火のように散る。


ゆっくりと心臓の振動が弱まり、停止した。

ドロップは地面に最初から置かれてたような

『ただの岩』となった。


殴られたから殴り返す。

カリスもそうだった。

蹴られたから蹴り返す。


動因子は…そういうとこがあるのかもしれない。


「や、やったー!倒したー!」


「はぁ……強かった…!

でも……シオンと倒せたー!あ、そうだ!」


ハンマーは元に戻っている。

カナタはハンマーの変化には

気づいていなかった。


そしてカナタは、コイツから受けたダメージを

回復するために心臓を取り出した。


そこへ、見守っていたダストとゼラが来て

カナタの手にしてるものを見る。


「さすが〜…カナタめちゃめちゃはや〜い……

あの速さでハンマーは痛すぎぃ……

それドロップの心臓、どうすんの?」


「よくやったわね!2人とも!

凄かったわよ!……って、そうよね?

カナタちゃん?それどうするの?」


「え!ゼラとダストは知らないのー!?

これを食べるとね、コイツから傷つけられた

場所だけなんだけど回復するんだよー!

すっっっっっっっごい不味いけど!」


「「えっ」」


「そうなるよね……ははは…」


「んぁ〜ん……かっ(もぐもぐ)……た!!(もぐもぐ)……まーーーっず!!……おぇ…」


すると、カナタの顔や体の傷が

みるみる回復し元に戻る。完治だ。


ゼラとダストは初めて目にした。


そもそも『心臓』を食べる発想がない。

ドロップご飯は食べるが、心臓は食べない。


「カナタちゃん!?ちょっとそれ

どういうことなの!?」


「なにが……ど〜なってんのぉ〜?

え、なんでぇ〜?回復するなら

私も食べるようにしようかなぁ……」


「ゼラ姉さん?!受け入れるの早いわよ!?」


「ゼラ達は知ってるかと思った。

まぁ、私もカナタが食べてる所を見て

初めて知ったんだけど……。

なんでかはわからないんだよね…」


「うん、なんでって言われても知らない!

回復するってことだけ分かればいいじゃん!

ふっかーつ!」


そこへ、レマとゾアもやってきた。

ゼラ達より少し遠くから全て見ていた。


「倒してくれてありがとう。

2人に任せて正解だったね。連携は凄かったよ!


カナタちゃんの『速さと攻撃』

シオンちゃんの『観察と分析』

ホントにいいコンビだねっ


そして、カナタちゃんの『心臓を食べる』

行動については私たちも興味が出たよ」


「カナタ、シオン、お前たちの

覚悟は嘘じゃなかったな、よく倒した。

それと…ドロップはまだ

研究しがいがあるね!お姉ちゃん!」


「そうだね、ゾア。

『お姉ちゃん』も楽しみができたかもっ」


「……あっ」


その後、またいじられるゾア。


レマとゾアは2人の覚悟を確認し

里を守ってくれた2人に感謝を伝え

褒めたたえた。


「あ、あの……!レマさん!

仕方なかった…けど、木を折っちゃって…」


「ん?あぁ、そのことね。

私達も住人達も何も言わない、何より

守ってくれたことの方が大きいもの。

木はね?時間はかかるけど、

植えたらまた育つから大丈夫」


「……そう…だけど」


「大丈夫って言ってるから大丈夫だよ!」


「はぁ〜…もうカナタは……」


「ホントにありがとう」


「これからもその力を里のために使ってくれ」


「「……任せて!」」


覚えていたわけではない。

当然、削除されている。なぜなら

それは間違いなく『不必要』だから。


でも何故か、カナタとシオンは


──ハイタッチした。


パンッ!


「……ん?なに?いまの?」


「え?私も分からない、なんだったの?」


「まぁいっか!帰ろ〜!」


「お風呂?だっけ、綺麗になりに行こうよ」


「いいよー!」


その後、2人はお風呂へ向かう。

土煙などを少なからず浴びた

ダストとゼラもついて行った。


レマとゾアは、カリスとランカと

合流し果樹園を担当する住人も呼び

経緯を話した後、果樹園の

修復作業へ取り掛かる。


カナタとシオンは綺麗になり

昨日泊まった宿へ戻った。


部屋に入り、吸い込まれるように

ベッドへダイブし、気絶の域で眠りにつく。


ベッドの下へいってしまったリュックは

この時にはもうなかった。



レマに覚悟を問われ、直後に

それを確かめるためドロップと戦い

頭から足までフルに使って倒して証明した。


戦っていた時の2人は

因子の力を、完全循環を無意識に強く使っていた。


しかし──ここは『里の中』


レマの力のおかげで巻き戻され

痛みはまったく起きない、深化しない。


その事が頭にあったまま

戦っていたのかは分からない。


物事、夢中になれば忘れることがある。


今、2人に聞いてもきっとこう言うだろう。


『わかんない!』


『倒すのが先!』



ゼラ達のようには戦えない。

ならば、2人で戦う。


カナタとシオン、2人で1人……『矛と盾』


生きるために戦うこの世界では


1人で戦えなくても

2人で戦えるならそれで──いいのだ。


最後まで読んでいただきありがとうございました!

ブクマ等はお任せします。

ゆるく楽しんでいただければ、それで!


勢いに任せて書いたこのお話は

次回が最終回になります。

書いてたら自然と終わる流れに

文字が並んでたんですよね…。


カナタとシオンの最後を

一緒に見届けてください……!

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