最終回:〇〇は当たり前
※こちらは5部になります。
よかったら1〜4部も読んでみてください
果樹園に現れたドロップを倒し、
宿で爆睡しているカナタとシオン。
夜まで寝ていたようだ。
爆睡していたところにダストが起こしに来た。
「あらあら、シオンちゃんはお腹出して
カナタちゃんは……
どうやったらそう……なるの?」
カナタはまた翼に包まれていた。
まるでミノムシ。
「まぁ……寝相はそれぞれね…
2人とも起きて、ご飯無くなるわよ」
「…んぁ〜ご飯〜?食べダスト…!?!
あ、いや!これは!どうしてここに?!」
シオンはすぐにヨダレをふきふきする。
カナタはまだ寝ている。
「カナタちゃんを起こしたら伝えるわ」
「……すぅ〜……すぅ〜……」
「う、うん…でもまったく起きなそう…」
ダストはもう一度起こしてみる。
「カナタちゃん!ご飯がドロップに
食べられそう!あー!無くなるー!」
「それはダメ!!あげない!私が食べる!!」
「……どういうことなの…」
カナタの理解できない所である。
シオンは呆れに呆れた。
「ダスト!ご飯は!ドロップは!」
「(この子はホントによく分からない…)
ドロップはいないわよ、ご飯はあるけど」
「なんだー!嘘じゃん!ダストー!」
「カナタちゃんを起こさないと
話が始められないのよ、仕方ないでしょ」
ダストは来た理由を話した。
カナタとシオンは里の新入り。
新しい住人、その歓迎会をやるという。
それに加えて、突如現れたドロップを
排除してくれた2人に住人達が
お礼をしたいらしい。
だが、全然主役が現れず、いつまでも
始められないから起こしに来たようだ。
「じゃあ、早く行かないと!カナタ」
「行こう!寝てちゃダメだよ!」
「「(寝てたのはカナタ(ちゃん)だよ……)」」
宿をあとにし、ダストと共に広場に来た。
そこには既に今か今かと待っている
ゼラ達とレマ姉妹、そして住人達がいた。
ヴヴじぃが先に気づいた。
波状攻撃のように2人に言葉の雨がかかる。
「おーい!みんなー!来たぞー!
寝坊助ヒーローたちだー!」
『いつまで寝てたんだぁ〜!?』
『あなたたち強いのね!凄かったよ!』
『守ってくれてありがとなー!』
全ての言葉に返事はできていないが
カナタとシオンは身振り手振りを加えて
それぞれに応えていた。
「カナタちゃん、シオンちゃん」
レマがタイミングを見て2人を
広場の中央に呼んだ。
両隣にはゾアとランカがいる。
カナタとシオンは首を傾げている。
レマはカナタの横へ、
ゾアはシオンの横へ立ち、
ランカは……揺れてる。
ガヤガヤしている住人達に声をかける。
「みな、静かに。」
レマの一言でピタリと止み静かになる。
続けてゾアが2人の事を
住人達に改めて紹介し始めた。
「皆に改めて紹介する!
カラスの娘の名前は『カナタ』
うさぎの娘の名前は『シオン』
過酷な旅をしてきた適合者であり
我々の…里の新たな住人だ!」
『うぉぉぉ!』
『ピィーー!』
『パチパチパチ』
「また、見ていた者もいると思うが
昼間現れたドロップも
この2人がその力を持って倒してくれた!
そこで皆に伝えることがある!」
カナタとシオンはずっと首を傾げている。
悪いことでは無いのは住人達の
反応で分かった。
だが、状況がまったく飲み込めていない。
レマが続きを話し始めた。
「2人の存在と強さは、この里には必要なもの。
里を守っていくにも繁栄のためにも。
そして、2人の思いもまた
私達は既に聞き、それを受け入れた。
今日……この時より…!カナタ、シオン両名を
里を守る三面鏡の直属としてその役割を与える!
名を『二面鏡』、異論がある者…!」
数秒後の静寂の後
『大賛成だー!』
『頼りにしてるぜー!』
『あんなに強いなら当然よ!』
地鳴りのような賛成の声。
異論を唱える者は誰一人いなかった。
だが、ホントに驚いているのは本人たちだ。
そんな話は聞いてないし、
そうなるとも思っていなかった。
覚悟を問われた時、確かに
戦いたいと言ったが…まさかだった。
レマとゾアは続けた。
「本音を言えば、三面鏡ばかりに
頼っているこの里の『守る力』は弱い。
これは隠し切きれない事実…。
しかし、この2人が加わり
それが少しだけど、高まったのもまた事実」
「三面鏡、二面鏡を頼り、
我々も含め、みな時にはお互い協力し、
平和に過ごせるよう
この鏡湖の里を守り、作っていくのだ!」
先程より凄まじい量の歓声や言葉が響く。
レマによる突如とした発表。
三面鏡直属部隊……名を──『二面鏡』
鏡湖の里の名に恥じない、
これ以上ない立派な名前である。
シオンの耳は嬉しい痛みでいっぱいで
鼓膜が破けてもいいとさえ思った。
目から出る涙も我慢できず溢れている。
泣いていたのはカナタもだった。
顔は泣いて崩れているが
全力の笑顔で手を振り歓声に答える。
「あはは…!みんな……!任せてねー!!」
『おぉぉ!頼りにしてるぞー!』
『三面鏡と二面鏡に負けてられないぜ!』
「(ぐすん)……こ、これから!
里を……みん……なを…守るために……
……うわぁぁぁぁん」
シオンは精一杯の返事をするつもりだった。
言葉より感情が勝ってしまい
声に出して大泣きした。
しかし、それでもさらに出る歓声。
ゼラは耳を塞いでいたが、
その歓声は無事貫通していた。
「かぁ〜…うるさぁ〜まじうるさぁ〜」
「いいじゃん!いいじゃん!
あたし達の時よりすごいかも!
賑やか!楽しい!」
「私たちに下ができちゃったわね
追い越されないように頑張りましょ」
「私負ける気しなぁ〜い
楽できるようになったしサボろ〜」
相変わらずの強者っぷりのゼラ。
ダストもカリスも喜んでいる。
喜んでいたのはランカも同様。
「やったね!2人とも!おめでとッ!
ね!あのドロップの倒し方後で教えてね!
あ、そうだ!まずご飯食べないとね!
どっちがいっぱい食べれるか勝負する!?
するよね!?負けないよー!?
2人が負けたらランカちゃんに
毎日鬼甘牛乳ね!10本!」
「おい…やめんかランカ…」
「ゾア?ランカもみんなも嬉しいのよ、
何より私たちにとっても嬉しいことじゃない
里を守る戦力が強化されたんだもの。」
「え、ま、まぁ…そうだね…姉さん」
重大発表を終え、一通り歓声も落ち着いた。
そこへゼラが先程のドロップの話をする。
「カナタ〜…シオン〜…
倒したドロップだけど〜…ヴヴじぃが
食べれる所があるって
ドロップステーキにしてあるよ〜」
「す、すてーき……?」
「ねぇゼラなにそれー?」
「あぁ、そうか知らないのかぁ
ん〜と〜……肉の塊〜」
「「岩なのに!?」」
「ん〜、稀にしかいないねぇ、
食べられるその『肉』があるドロップは」
ゼラが言っているのは
『希少部位』というものだろう。
世界が変わったあとでも
そういったものがあるのもまた
今の世界の当たり前。
ヴヴじぃがドロップステーキを持って来た。
「ほら!これが二面鏡の2人が倒したやつの
ドロップステーキだ!
ゼラが言った通り、ホントに稀なんだ。
しかも、ちょうどお前ら2人分しかなかった!
そうだ!あと、俺のお店に来たら
2人もあの屋上に座ってくれ!
まさかこうなると思わなかったけどな!
アッハッハ!」
三面鏡とレマ姉妹のみの席に
二面鏡も座れるようになった。
これもまたヴヴじぃのお返しの形だろう。
ジュ〜…パチッパチッ……ジュ〜
ヴヴじぃが調理し、2人の前に
運ばれてきたドロップステーキは
とんでもなく美味そうな匂いと見た目
今までの相反してたものとはとんでもない。
時折跳ねる油に「あちっ!」と言いながらも
2人のダムは大決壊、流れる滝はナイアガラ
それが元々ドロップだったということは
もう考えも過ぎらなかった。
熱々のうちに食べた。
「あつーー!うまーーーー!!シオン!!
食べないと!ゼラ達に取られちゃうよ!
うまー!」
シオンも口に運ぶ。
「うまーーーーい!なにこれ!!ヴヴじぃ!
これ!すごく美味しいー!」
三面鏡も羨ましそうに見ていたが
ゼラだけは違かった。
「おいしいよねぇ…私は
1回だけ食べたことあるけどホントうまぁ〜」
「え!?ちょっと待って!ゼラ姉!
聞いてないよそれ!」
「そうよ!え!?なんで1人で食べたのよ!
それよりいつ食べたの!?ゼラ姉さん!」
「あれ、言ってないっけ?
じゃあ秘密〜、教えな〜い……」
「「姉さん(ちゃん)はきらいだーーー!」」
どこかで聞いたようなセリフだった。
その後もとにかく食って騒いで
歓迎会を全力で楽しんだ。
それから──。
ゾアは戦えないが戦い方やその技術などを
叩き込むことは可能で、
ゼラ達も最初の頃は
ゾアから教わったことが結構ある。
ゾアの頭の引き出しの量は多かった。
そして、今度は二面鏡の番。
シオン、カナタは里にいる時はゾアから
改めて里の事や里周辺の事など教えてもらい
戦闘についても指導してもらった。
実践指導には、ランカと
硬い敵想定でヴヴじぃも加わった。
ゼラ達、三面鏡はというと、
相変わらずレマからの任務を受け
里の外へ出たり、里で過ごしたりと忙しい。
だが、カナタとシオンが里に来てからは
新たな住人となる者は現れていない…。
まだいるかもしれない淡い期待は
抱き続けている。
忙しい三面鏡に代わり、
里周辺にドロップが現れた時は
今は基本的には二面鏡が担当している。
今日は里にいたカナタとシオン。
里の近くにドロップが現れ排除していた。
「はい!終わりー!」
「カナタ!さっきの羽を飛ばすのすごいね!
ハンマーだけじゃないんだ!いつ覚えたの?」
「あはは!でしょー?これはね!……えっと〜
カゲロウと戦ったところで!でも、
うまく使えるようになったのはゾアちゃんだよ!
シオンも最初のあれなに!?
すっごいうるさい声出てたじゃん!
ドロップが止まってた!」
「(カゲロウはわかるけど
どこだろ…誰かいたような…
あれ?他にも誰かいたっけ……まぁいっか!)
しょーがないじゃん!
そういうものなの!前に倒したあの
岩ドロップがやってたやつだよこれ!
なんか私でもできそうと思って
カナタに黙って出せるまで頑張ってたの!
(まぁ……私もゾアさんに聞いたけど…)
すごいでしょ!」
「あー!あの硬いやつ!やってたね!
シオンもすごいなー!たまーに聞こえた
うるさい声はシオンだったんだ!
ホントにすっごくうるさいね!
私の耳も痛いよ!声出す時は言ってね!」
「ん゛ん゛!!喜びたいのに喜べないッ!!」
二面鏡はずっと里の中にはいない。
時折、外に出ていた。
カナタとシオンの里周辺への
好奇心が中に留めなかったのも
理由の一つに含まれる。
カナタの右手は親指だけだったのが
中指と小指も青黒くなっていた。
シオンは左頬に3本の髭が生えていた。
右頬と左頬の深化が終わっていた。
けれど、深化は終わらない。
記憶がある限り…終わらない。
それでも、カナタとシオンは
明るく強い女性に『成長』していた。
2人は新たな『当たり前』の人生を
共に歩いている。
あの日降った雪は、最悪だった。
当たり前も消え、忘れ、絶望しかなかった。
独りなら確実に死んでいた。
独りならドロップになっていた。
出会わなければ死んでいた。
今は…もう独りじゃない。
世界と体は変わったが
今はそれを受け入れて生きている。
戦いはできるだけしたくない。
記憶が無くなるから。
戦いはできるだけしたくない。
自分が壊れるから。
それでも守るために、生きるために
戦わなければならない時がある。
引いてはならない時がある。
それもまたこの世界の──『当たり前』
─────
あー!まタ会ったネ!
…え?会ってた?覚えてナイな〜
どこのだレ?知らないよ?ォまえなんか
そレより、なんか…はじまルト、
親切に教えてくれるヤツあるじゃん
ァんタ、無くても最後までコレた君すごいネ!
いや……やってタらわかるし当たり前か。
スゴくないや!ハハハ!
でもさ、ドうだった?
楽しんでくれましたか?
ワたシ?ん〜〜…わタしは忘れちゃった。
雪がスゴくてさ!
あ〜あと、ダレかに教えるのに
おすすめのやつのタイトルさっきまで
ずっとわかってたんだけど
なんかね?バーーーん!!って空がね
なってカラ、ぜ〜〜んぶ壊れちゃッテさ
まぁ、イイよね!
ゲームの名前とかタイトルとか
アルのは当たり前だケド
そんなノつまんないしサ!
おモしろくなィよね!
でもホントなんだったかな〜…
わかんないカラ『(仮)』なんだっけ?
ヤメヤメ!おしまい!
ヮかんナイからさ
最後までキタ『あなた』が決めテ!アハハ!
どういうモノだったの?
『!!』……イマ行くよー!
…『。?』………わかッてるよ!
……白いユキ?何言ッテんの?ァリェナィよ!
そろそろ本当に時間みたい。
行かなきゃ。
私も私の『当たり前』に帰らなきゃ。
君も君の『当たり前』の世界に
戻る時間でしょ?
今度は……『キミ』の当たり前を教えてね!
また会えるかもしれないね!
それじゃ!またね!
ばいばーい!!
第1〜5部まで、最後の最後まで
読んでいただいた皆様…!
本当にありがとうございました!
つらつら書いたお話はどうでしたか?
それぞれ思うところはあるのは当たり前ですね。
それでも、もし読んでくれた皆様が
少しでも楽しかったと思えたなら
作者の私はそれだけで全然いいです!
6部も頭に過りましたが、いかんせん
頭に文字が降りてこないので今書けません!(笑)
ですが、他のキャラの事で書くかもしれません。
また、会えるといいですね。
最後に、作品のタイトルはふざけてないです。
セカンドビッグバンが『全て』壊しちゃって
お話にはタイトルがあるという当たり前も
消し飛ばしちゃったんです。
そんなお話にタイトルもないので(仮)です。
本文最後もしくは『1部1話』で気づいた人は
どれくらいでしょうか。あぁ、あと
ハイタッチも気づいた人いるんですかね。
まぁ…いっか!
そろそろ当たり前に帰りますね。
ブクマ等はお任せします!それでは!




