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物語(仮)  作者: りくど
第5部
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27/30

7話:覚悟を問うのは当たり前

※こちらは5部になります。

よかったら1〜4部も読んでみてください

─翌日。


スーパーで寝て起きた時は

周りにいたドロップ達の音が聞こえた。


ビルで寝て起きた時は

特に音はなく、静かだった。


今はどうだろう。


「おはよう〜」

「おはよ〜、朝早いね」


「朝なのに、あついなぁ…」

「うん、ほんと…」


小鳥のさえずりは全くないが

早起きの住人たちの会話が

静かな朝を迎えた里に響いている。


なんだかんだ、爆睡したシオン。

ダイブして寝たはずなのに起きたら

ちゃんと布団をかけて寝ていた。


「……ふぁ〜〜…あさぁ〜……ん゛ん゛〜…っと」


隣を見れば、何故かコートが翼に変わっており

その翼が掛け布団のように

カナタを包み込んでいた。謎すぎる寝方。


「どう寝たらそうなるの…?

そうだ!レマさんに呼ばれてるんだ…!

カナタ、起きて!レマさんの所に行かないと!」


「…………ふがっ……んぇ?」


起こされたカナタの

ベッドには数枚羽が落ちていて

寝相はいいのに何故か……汚く見えた。


2人は準備して宿をあとにした。


リュックは何も入っておらず

その形を保てず、ぺちゃんこになって

ベッドの下に入っていた。


レマに呼ばれたことの方が重要だ。

カナタとシオンの頭に……リュックはなかった。



既にゼラ達は待っていた。

ゼラは制約が終わり、もう歩いてない。


「あぁ……来た〜」


「おはよー!」


「2人ともよく寝れた?」


「「すごい寝た!」」


「んじゃいこ〜」


桟橋を歩いていく。


昨日と変わらず僅かな波が発生していた。

よく見れば、波の起点がたしかに

『ログハウス』からなのがわかる。


ログハウスの室内からは

桟橋を歩いてくる様子が見え

玄関を開けて、ダッシュしてくる。


ランカちゃんだ。


「おはよー!ねぇ!よく寝れた?

夢は何見たの?!あ、そうだ!

昨日ご飯は!?何食べたの!?」


「ランカぁ〜…朝からうるさ〜……」


「お、おはよう、ランカちゃん

よく寝れたよ…!」


「すごく寝たよ!ランカ!おはよー!」


「その様子だと、あの後も

問題なかったみたいだねっ」


「ゼラ達もすまないな、また呼んで」


「平気〜……とりあえず今は暇だしぃ…」


ゾアの口調は昨日の威厳のあるものに戻っていた。

ダストとカリスは少し残念そうだった。


レマは中へ入るよう言い、家の中へ入っていく。

椅子に腰掛け、左右にゾアとランカが並ぶ。


姉妹の姿を改めてよく見る。


昨日は、ゾアの人のままの姿や他に

インパクトがありすぎた為

気にする間もなく終わってしまった。


姉妹は、この里の誰とも違う、

圧倒的な存在感を漂わせていた。


椅子に腰掛けている長女のレマ。

頭にはベニクラゲの成体のような綺麗な装飾で

そこから広がる猫っ毛のような細く繊細な髪。

発光しているかのような透明感のある紅色をしている。


瞳は蒼と紅のオッドアイ。

彼女の『静動因子』を表してるようにも思える。


身に纏う衣装も…いや、衣装というよりは

ベニクラゲの肉体を思わせるもので

紅色のグラデーションとなっている。



その隣に立つ、次女のゾア。

昨日の話にもあったように、因子のおかげで

姉や他の全員とは違く、深化の片鱗さえ感じない

旧文明の『人間の姿』をしている。


服装は、その姿故に旧文明のものを

再現し作った服を着ている。

白を基調としたインナーにカーゴパンツ

上には大きめの白いアウターを羽織っている。


白を基調としているのは元研究者としての

白衣をイメージしている。


住人の中にもゾアに似たような服装もいるが

その人に合った機能性を重視しているため異なる。

ゾアの服は本当に『普通の人用の服装』で

引き締まったお腹も見えている。


しかし、服装よりも一番特徴的なのは、

どうやったのか聞きたいぐらいの

見事にまとめられた金髪のサイドだ。


その髪はまるで芸術品。

オウムガイの殻を模したかのように

綺麗に編み込まれ『殻の形』を再現している。

クリーム色の中に茶色のメッシュが

バランスよく配置されている。


旧人類の姿をしたゾアはクールな佇まいだが、

視力が悪く、メガネを自作しそれをかけている。

メガネをしても視力はほぼ変わらないため

目を凝らすようにして見たりする。


また、ゾアも蒼と紅のオッドアイ

レマとは逆の配置で瞳に色がついている。



「さて…昨日、私の力の事を

話そうと思ったけど

それどころじゃなかったからね」


レマはゾアをチラ見する。


「私は悪くない……!」


「もう遅いのに…。まぁ、ゾアに任せるよ。

それでね、力の話の前に

シオンちゃんとカナタちゃんに

聞かなきゃならないことがあるの

今日また呼んだのはそっちが聞きたいから」


レマの顔が少しキリッと

怖いまではいかないが、空気が変わったのが分かる。


ゼラ達は黙って聞いている。


「なにー?」


「なん…だろ?」


少しの静寂の後に口を開く……。


「この里は2人を確かに受け入れたよ。

でも、ただここで暮らす事は許されないの。


ここは適合者が暮らす、鏡湖の里。

里で暮らす為に、2人はその因子の力を

どう使ってくれるの?」


質問自体は里の長からすれば当然の質問。


ただ、2人は答えによっては

すぐにでも『追い出される』可能性がある。


追い出されるかもしれないのは

前にダストが言っていた

『悪いことを考えてる』ということに繋がる。


レマはそれを含めて、確かめている。


カナタとシオンは里に来てから過ごした

短い時間のなかで、思うことがあった。


ちょうどそれは、この質問にうってつけの事で

レマの質問に答えるのに時間はいらなかった。


カナタから答えた。


「力をどう使うー?ん〜…私はね

よく分からないけど、ここに来てまだ少しだけど

これしかないなっていうのがあるよ!

それはね〜、私もゼラ達みたいに

『戦う人』になりたいの!私は戦えるから!」


次にシオンが答えるが、答えが

カナタと全く同じで驚いていた。


それを、レマに伝える。


「私も、カナタと同じ…戦いたい…!

ゼラ達は強いし、必要ないかもしれないけど

里を守って生きるためにこの力を使いたい。


それに…そう思ったのは、

ヴヴじぃさんは違うけど…里に暮らす人を見てると

『戦える人がほとんどいない?』って思ったから」


「あー!だから、ゾアちゃん

ゼラに『お前たちにしか』って言ってたんだー!」


「そう!カナタよくわかったね!」


カナタはたまにこういう時がある。


実際、シオンの言う通りだった。


この里の住人たちは、

外の世界で戦うための必須技術であり

この里に入るための『免許証』として

『完全循環』を必死に覚えて、ここに来てる。


しかし、ゼラ達のように無意識に

もしくは意識的にでも

使えるものが少なくなっている。


なぜなら…


里という『ぬるま湯』に長く浸かるうちに

住人達の脳が『楽していいぞ』と

サボり始め、ペーパードライバーのように

錆びついてしまっているからだ。


戦わぬ住人たちが平穏と引き換えに

牙を失っていく中で

恩返しのために、食事を提供するヴヴじぃ。


そして、この里では

食材の確保のために里の外へ出る

ヴヴじぃとチームの数名だけが、感覚を

忘れないよう維持している。


完全循環が使えて、強くても

『絶対に勝てる格下のドロップ』としか

戦わないことで、記憶の消滅幅を抑え

維持しているのが現状。



シオンの答えを聞き

即座にゾアが突き放すように言葉を返してきた。


「シオン、お前は静因子で

戦闘能力はあまり高く無いはずだ。

それでも戦いたいのか?」


「……戦いたい!私はカナタや

ゼラ達のようには戦えない…けど

ダストは同じ静因子でも強いし、戦えてる。

それなら…私も、私の戦い方で戦えるはず……!」


三面鏡は唖然とし、後ろから2人を見つめていた。

そんな答えが出るなんて全く思ってなかった。


「ゾア…もういいんじゃないかな?

十分な答えだと思うよ?」


「ふぅ…そうだね、姉さん。

シオンの言う通りだ。この里には戦えるのが

ヴヴじぃ達を除いて、ゼラ達だけと言ってもいい。

まぁ…たまにランカが加わる事があるが」


「2人とも…ごめんね。こんな質問しなくても

私達の中ではゼラ達のように

戦って欲しいってことは言うつもりだったの。


でも、あえてどうしたいかを聞いた。

なぜだかわかる?


その人その人の

意思や考えを優先させてあげたいからなんだよ。


同じことを全員に聞いてきた。

結果…ヴヴじぃたち以外は戦わないことを選んだの。」


「私も姉さんも、お前たちが里に来るまでの

長い道で、戦ってきたこと、実力があることは

昨日見た時にわかってたんだ。」


「うんうん!ランカちゃんも気づいてた!」


さすがの姉妹といったところだ。

全て見抜いていた。


レマは次にゼラ達へ話をする。


「と…いうことみたいだけど、どうかな?

里を守る三面鏡?」


「びっくりしてるわよ…でも……ねぇ?」


「いいよ!いいよ!一緒に戦うぞー!」


「はぁ〜…ちょっと楽できるよぉ〜……

慣れたからいいけど〜、大変なのはホントだしぃ」


「ごめんね…ゼラ

『私とゾアはまったく戦えない』から

お願いするしかなくて……」


「もういいよ〜……この2人が

戦ってくれるし〜…私サボれるからぁ」


「もう…ゼラ姉さんったら……」


「今更だよ!ダスト姉!あはは!」


カナタとシオンはレマの言葉に驚いていた。


「レマちゃんとゾアちゃんは戦えないの!?

なんで!?強いんじゃないの!?

強いよね?!絶対!」


「私も絶対強いと思ってた……

戦えないのはどうして……?」


「そういうものだと思ってた〜

ちょうどいいから教えてよ〜……」


「うん、あたしもそういうものだと思ってた!

でも知りたい!」


「そうね、知りたいわね」


「ゾア、いい機会だし話しておこうか」


「わかった」


レマとゾアは自分達が

『まったく戦えない理由』を初めて明かす。


ゾアから話し始めた。


「私が戦えない理由だが、まず

勘違いしないでほしい事がある。

私がこの姿だからとか

因子が弱いからじゃないんだ。


昨日も言ったが、私は『保持と保存』の役割

オウムガイの因子の力で

旧文明の知識や技術等々を頭の各部屋にしまい

それを覚えていて、必要な時に取り出して教える。


この『保持と保存』に、私の力がすべて割かれ

『戦うために力を割くことが出来ない』んだ」


次にレマが

自分の戦えない理由を話し始める。


「私もゾアとほとんど同じよ。

私の役割はこの里の『理』


でもこれは、ゾアみたいに形にしたり

残したり出来なくて見えないもの。


私はそれが嫌で、

この役割をみんなに見えるように考えたのが

この家を起点に、湖に広がる波紋…

小さな波のことね。


あれが私の力が発動していることの証明。

毎日ずっと、力を発動しっぱなしなの。

だから力を止めない限りあの波は消えない。


そして、私の力が発動している

『里の中だけ』はどれだけ力を使っても

『深化しない』の。


深化しないというのは、正確には

私の因子『ベニクラゲ』のおかげ。


深化が始まろうとした時、体のどこかが

痛くなるでしょ?それを

『再生として、始まる前に巻き戻していて

今の姿をそのまま維持しているように見せている』


力をそこにすべて割いてるから

『戦うために力を割けない』の。

私がこれを止めたら…戦う為に力を割いたら

里は確実に消える。その日と持たない」


レマは少し目を伏せ、

寂しそうに言葉を続ける。


「それにね……里の外の世界は、

私たちが思うよりずっと…残酷なの。


たとえ『完全循環』を無意識に

できるほど鍛えていても

外で因子を使えば、1つずつ

場合によっては…2つ、3つと

日常の記憶は確実に削られていく。


昨日食べた物や朝見たもの

どんなに小さくても、どんなものでも。

そして、本人はその場面や状況になって

はじめて『わからない』が『わかる』


でもその時には遅い。

思い出したくても絶対に思い出せない。

『まぁいっか』って片付けちゃう。


それと……もし自分の限界を超える必要がある

その瞬間が来た時は、完全循環という

その防壁だってただの…紙同然。


息を吹けば、吹き飛んじゃう……。


一瞬で吹き飛んで、

もっと大切な記憶を消されちゃう…。


最初の方に来た住人は

深化の仕組みを知らなかったから私とゾアが

ちゃんと教えて、ゼラ達が来てからは

ゼラ達に任せるようにした。


そして、その恐怖を知ったからこそ、

私の『どうする?』の質問に

『ぬるま湯に浸かること』を選んだの。


ヴヴじぃみたいに、あそこまで徹底して

自分の力量の範囲でしか戦わない、そんな

綱渡りをしなきゃ、自分の記憶すら守れない……。


だから私は、戦えなくなっても

この里を維持し続けなきゃいけないの」



聞いていた5人は少しの静寂の後に

ようやく反応した。


「…………へぇ……」


「カリス…ある意味で

わたし達のオーバーファクターの制約と

同じ感じ…いや…こっちのがキツすぎるわね」


「うん……言ってることがちょっと

理解しきれてないけどさ…」


「戦えないって…いや…レマさんとゾアさんも

里を守るために戦ってるよ…」


「む、むずかしい…!けど!

この里が安全なのは分かった!」


一気に重い空気になってしまった。

内容が内容なだけに仕方ない。


「まぁ…こうなるよね…あはは……」


「仕方ないよ、姉さん」


「ランカ、ちょっと来て」


「なにー!?」


レマはランカを呼び耳元で

小声で喋り、お願いをした。


「ヴヴじぃのとこに行って、

みんなの分の串焼きとウシドロップの鬼甘牛乳

もらってきてくれない?」


「わかった!すぐもらってくるね!」


ランカも小声で返し、すぐに家を出て

1分程で戻ってきた。


「レマ姉ちゃん、もらってきたー!」


「ありがとう、ランカ……ってなんかいっぱいあるね?

ヴヴじぃのサービスかな。

みんな、ご飯食べよっか!」


レマの提案は今、非常に受け入れにくい雰囲気だ。

しかし、匂いに真っ先に反応したのはゼラだ。


「…!この匂い…!まだあったの!串焼き!!」


「串焼き!それは食べないと!」


「あら!ヘビドロップの一匹漬けもあるじゃない!」


「「へ、ヘビドロップのい…一匹漬け……!?!??」」


「ランカちゃんは〜

虫ドロップのカリカリ焼きと〜!

ヘビドロップのとぐろ包み焼き〜!」


「ドロップご飯は…昨日も食べたし

美味しいのは分かってるけど…」


「全然まだちょっと…ねぇ?シオン?」


「「(特にランカ(ちゃん)のが無理…!)」」


レマがランカに頼み持ってきてもらった

ヴヴじぃのドロップご飯。

サービスで色々増えているが…。


その匂いは家の中に充満し、

重い空気を一瞬で、消し飛ばした。


朝ごはんも食べていなかった皆の

食いつき具合が半端ない。


ランカは個人的に好きなものを

ちゃっかりもらっていて、シオンとカナタは

それが一番怖く感じていて

一番何言ってるか分からなかった。


だがしかし……


本当に苦手な顔をしているのは……ゾアだ。


ゾアはドロップご飯を食べれない訳じゃない

生きるために普通にご飯として食べる。

ただ、全然慣れないのだ。


慣れない理由はもう1つ。


目が悪すぎて、そもそものドロップご飯の

『形』と『見た目』がわかっていないのだ。

メガネ越しでもその目に映るのは

『強いモザイクがかかった、色のついた何か』


見た目を気にしなくていいといえば

悪くないかもしれないが

本人はそれを口に入れるためそうはいかない。


口調が変わるのも仕方ない。


「お、お姉ちゃん…わ、私……

鬼甘牛乳だけでいいよ、

お、お腹全然減ってないから…」


「えぇ?ダメだよ、ちゃんと食べないと

ほら、串焼きと一匹漬けっ」


「…ひぃ……ヴヴじぃが作ったから

美味しいのは分かってるけど

どっちが串焼きでどっちが一匹漬けなの…?

ほ、ホントにそれなの?」


「ゼラ、お願い」


レマはゼラにお願いし

無理やりぶち込むことにした。

好き嫌いをしようとする妹を姉は許さない。


ぶち込むのはゼラの専売特許。


「怖いお姉ちゃんだねぇ〜……

はい、ゾアちゃ〜ん……食べてねぇ」


「体力もつけないといけないし

お腹減っちゃうから食べないとね!」


「そうね、やってる事が大変なことだもの」


「ゾアちゃん!美味しいから!大丈夫だよ!」


「そうだよ!ゾア姉ちゃん!美味しいよ!」


「2人だけなんか違うよ……」


「た、食べるから!自分のタイミングで

食べるから!や、やめ──」


ゼラはゾアに触手を伸ばした。


『人の筋力』では抵抗できるわけもない。

ここにいる誰よりもゾアは、本来の人で

形のみならず筋力もそのままなのだ。


力は最弱もいいとこ。


無理やり静止させ

無理やり口を開かせ、ぶち込んだ。

触手は口から離れない。


「んぐんーーーー??!?」


「ゾア?好き嫌いはダメだよ」


ゾアは、激しく首を縦に振る。

ゾアは、ここにいるみんなが敵と思った。

ゾアは、ご飯は1人で食べようと思った。


その横でカナタとシオンの手は

鬼甘牛乳に伸びていた。


かなり気に入った様子。


「「おいしーー!あまーーーい!」」


みんなでご飯を食べ、重い空気はもうない。

ゾアはそのまま倒れ少しピクピクしている。


しかし、場が和んだのも一瞬だった。


シオンの耳は、体の成長と比例し

音を捉える範囲が少し広がっていた為

距離があっても捉えられた。


─ゴゴゴゴ…ッ


「……!レマさん……!

何か…地面が揺れてる音が……!」


「え…?」


「それと……誰か来てる…」


数秒後。


「レマさん!た、大変だ!

果樹園にド、ドロップが!

地面から出てきたんだ……!」


「……そう。報告ありがとう、すぐ避難して。

ランカ、一緒に避難を手伝って

カリス、避難を手伝いつつ

他のドロップが出たら排除して。」


「わかった!よし、いこ!」


「任せて!」


「すまない……!頼むよ!」


報告をしに来た住人と一緒に

ランカとカリスは家をあとにする。


レマの判断は見事だった。


ランカもカリスもどちらも速い。

逃げ遅れた住人がいた場合、

2人のその速さで問題なく救出ができる。


戦闘になった場合、カリスの得意分野なため

問題がまったくない。


避難と戦闘を両方こなせる人選を

報告を受けてから数秒で決めた。


「少し頭がいいかもしれないね。

門番たちにはドロップを見つけてたら

鐘を鳴らすよう言ってある…けどなかった。

穴でも掘って下からっ入ってきたんだね。

それにしてもシオンちゃんすごいね!」


「え、あ、いや…ただ聞こえただけ……」


「あっちは何も問題ない…問題は

頭のいいドロップだね」


ゾアは報告時に何とか起きていた。


「ね…姉さん……せっかくだし

カナタとシオンにさっきの覚悟を…

証明してもらうのはどう?…ぅっ」


「それもそうだね、よし、決まり!

カナタちゃんとシオンちゃんで

出てきたドロップを倒してみせて」


「シオンと2人だけ!?」


「い、いきなり……」


「なんだ?お前たち…さっきの覚悟は嘘か?

里から出たいのか?里も助けて

ゼラ達のことも…助けるんだろ?」


「助けるよ!やるよ!」


「私の戦い方で……やる!」


「「絶対にぶっ飛ばす……!!」」


シオンはカナタの口調が移ったようだった。


2人の覚悟をレマ達は早速確かめるため

ドロップの排除を頼んだ。

そして、ゼラとダストを同行させる。


「ゼラ、ダスト。2人も行って。

ただし『手助けはしない』で見てるだけ

一緒に戦う者の力を改めて見るには

いい機会でしょ?」


「だるいし…見てるだけならいいよぉ〜」


「ええ、わかったわ」


「よし…ならすぐに迎え、頼んだぞ」


「「任せて!」」


カナタとシオンの覚悟が問われる。


守るための戦い…その──『初陣』だ。


最後まで読んでいただきありがとうございました!


ブクマ等はお任せします。

ゆるく楽しんでいただけたら、それで!


楽な方選びますよね。

だって、楽ですから。

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