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物語(仮)  作者: りくど
第5部
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25/30

5話:秘密があるのは当たり前

※こちらは5部になります

よかったら1〜4部も読んでみてください。

相変わらず、言葉の暴力が続いていた。


「ねぇ!うさぎちゃんは、どれくらい耳いいの!?

めちゃめちゃいい!?

どれくらい遠くても聞こえるの?!


カラスちゃんは…足ほっそいねぇ!折れそう!

だけど頑丈そう!あはは!矛盾だね!

爪は?やっぱ痛いの!?」


「ずっとうるさぁ〜」


「なんで聞きたいことがなくならないんだ…」


「さすがのカナタちゃんも圧倒されてるわね……」


答えは返ってきてないが、

一通り聞きたいことを聞き、満足した様子。


ようやくゼラ達に気づいた。


「あぁー!ゼラ達じゃん!いたのー?」


「ずっといたじゃんかぁ…気づかないのやばぁ…」


「新入りちゃんの方が

気になるのは当たり前だよ!」


「えぇ〜っと〜……このうるさい人が

ゾアちゃん姉妹の『三女』…ランカぁ〜」


「そうだった!自己紹介してないじゃん!

ランカだよ!よろしくね!

因子はね『オコジョ』なんだって!見て!

尻尾ふわふわでしょー!?」


※※※


怒涛の会話を繰り広げた女の子


──『ランカ』


愛らしい顔立ちに、喋りとは違う

ちゃんとした圧倒的な気配がある。


目を引くのは、

地面に届くほどの超ロングヘア。

フサフサとした焦茶色の髪は

オコジョの毛皮そのものと

言っても遜色ないほど。


綺麗に澄んだ青い瞳に、耳は

人のではなくオコジョのもの。


服装は、茶色の革に

白いファーをあしらった狩猟に適した服。


ショート丈のトップスからは

引き締まったお腹が見えている。

左右非対称の野生的なスカートを履き

下には、激しい動きに備えた

インナーパンツが見える。


そして、やや太いベルトと細いベルト

こちらも非対称で腰に巻かれてる。


ゼラ同様に、常に素足。

靴を履いたことはあるが気持ち悪いと言い

それ以降、一度も履いていない。


また、見えている肌の所々はモフモフの

毛皮のようになっている。


腰の後ろからは、自身の身長ほどもある

太く立派な尻尾が揺れていた。

本人が自慢したくなるも頷けるふわふわ感。


※※※


「うさぎちゃんとカラスちゃんの名前は?!」


「私はシオン…」


「カ、カナタだよー!」


「「(……やっと喋れたぁ…)」」


「いい名前だね!あ、そうだ!

ランカと話す時は、ゼラ達と同じでいいよ!

ここのみーんなに言ってるの!

『変な話し方』は大嫌いだから!」


「え…あ、うん。」


「わかったよ!ランカ!」


「(カナタすごすぎるよ……)」


ログハウスの前で

盛り上がっているところに


少しだけ低い声が、玄関ドアの

向こうから聞こえドアも同時に開いていく。


「ランカ…お前は少し静かにできないのか…」


「いーじゃーん!べつにぃー!

ゾア姉ちゃんは、かたすぎー!」


「仕方ないだろこれは…はぁ……まぁいい。

ゼラ達が連れてきた新入りはお前達だな

カラスにうさぎか、いいものを持ってるな」


頬をぷくっと膨らませるランカ。


そして、ドアから出てきた人物は

2人を見て因子を真っ先に褒めた。


ゼラが口を開く。


「ただいまぁ〜、ゾアちゃ〜ん」


「戻ったよ!ゾアさん!」


「雪山凄かったわよ」


ゾアはゼラ達を労い、謝罪する。


「雪山は疲れたろう、お疲れ様。

すまないな、毎度

お前たちに『しか』頼まなくて」


「別にいいわよね?

それがわたし達のやることだもん」


「うんうん!気にしない気にしない!」


「そうそう〜……だるいけど〜」


「相変わらずだな。頼りになるよ、三面鏡。

それじゃ、中へ行こう。

お姉ちゃ……姉さんが待ってる。」


全員は、ログハウスの中へ入る。


中はとても暖かい空間だった。

また別世界に来たかと思うぐらいだ。

木の暖かさ、部屋に合わせられたライト。


どう見ても普通。でもその普通が

逆に『異常』としか感じられなかった。


「姉さん、ゼラ達が新入りを

連れて帰ってきた」


「レマちゃ〜ん、ただいまぁ」


「おかえり〜、ゼラ

ダストとカリスもご苦労さまっ…あれ?

カリスは使ったんだね?」


「え、あぁ…こっちの2人に見せたかったのと

戦ったドロップがちょっと厄介だったから…はは…」


「水持っててホントよかったわよ」


「『生きるために戦う』としても

無理だけはしないでね」


「大丈夫!大丈夫!」


木の椅子に腰掛けたまま、会話する

この女性がレマ。姉妹の長女である。


「それで…ゼラ、後ろの2人が新しい子達ね?」


「そう〜、雪山で倒れてるとこ助けた〜

そしたらココに向かってたけど

完全循環は知らなかったから教えて、

覚えたから連れてきた〜」


「そうなのね、また増えて嬉しいね。

2人とも私の前に来て、よく姿を見せて」


レマの言葉はどれもとにかく優しい。

カナタとシオンは前に立つ。


「ん?服がゼラとダストみたい?」


レマはすぐにわかった。

その経緯をカリスが説明した。


「あははっ、なるほどね。でもよかったね

2人ともかっこいいよ!」


「えへへへ…」


「でしょー!」


シオンは顔を少し赤らめ、体をくねくねさせ

照れているのが丸わかりである。


カナタは物怖じしない返事が相変わらず

服全部を見せるようにくるっとその場で回る。


レマは話を続けた。


「さて…じゃあ自己紹介しよっか。

私はレマ、この里を作って

今は里の長…ここの1番偉い人。

あとゾアとランカの姉よ。2人の名前は?」


「私はシオン…う、うさぎ…!」


「私カナター!鳥なんだー!」


「ち、違う……!カナタ、カラスだよ…!」


「え…?あ、そう!それ!」


「あははっ、動らしくていいし

2人の凸凹具合もとてもいい

補い合ってるのがわかるね」


レマは動因子なのも

補い合っていることも見抜き、話を続ける。


「私の因子は『ベニクラゲ』

と言っても…多分、分からないと思うけど…。

で、私の隣にいるのが─」


「ゾアだ、よろしくな。

私の因子は『オウムガイ』だ。まぁ、

姉さんの言うようにわからんと思うが。

それ───」


「さっきも言ったけどランカだよ!

よろしくねー!因子は『オコジョ』ー!」


「最後まで喋ってから話せ、ランカ…」


「やだよ〜!まてなーい!」


ゾアが言い終わる前に被せて

勝手に喋ってくる。頭に手を当て、呆れてしまう。


「それで…シオンちゃんとカナタちゃんは

どうしてここを知ったの?」


シオンはセンターでのことと

クローバのことを少し話した。


「そう…名前…忘れちゃったんだ。

あの後も研究を止めなかったみたいだね。

苦労したからクローバ…あの人らしい…

私もゾアもあの人のホントの名前は

もう覚えてないのが悔しいけど…」


「そうだね…姉さん……」


「レマさん…ゾアさん…」


シオンも悲しい顔になってしまった。

レマとゾアからすればクローバは

共に研究をし、成果を出してきた人。


『戦友』とも言える存在。


そんな人の大切な『名前』を忘れた。

名前を呼んで感謝したくても…叶わない。

これほど悲しく悔しいことはない。


イツキの事は…忘れてしまっている。

この世界でイツキを覚えてるのはシオンだけ。


「(イツキの事は忘れちゃってる……

じゃあ、私しか分からない…イツキも

覚えておいてって言ってた、私だけは

忘れたくない…!お願い、選ばないで…)」


少し、しんみりした雰囲気を

カナタとランカという双剣がぶった斬る。


「ねー!なんでそんな顔してるのー!?

なんかあったのー?!」


「ホントだよー!ゾア姉ちゃんのそんな顔

見たことなーい!ねぇ!違う顔できるー?」


「はぁ〜…動は本当に困るな…」


「…あはは…仕方ないよゾア…」


「んもう!カナタ!」


「うわぁっ!私何もしてないよ〜?」


後ろのゼラ達は全くわからないため

「何の話?」とぽかんとしている。


だが、レマとゾアは『クローバ』という名前を

心の中で呼び、数秒の間…目を閉じた。


話の流れで、レマはちょうどいいと思い

因子について話そうとしたが

シオンが先に口を開き、聞いてくる。


「あの、姉妹なのはわかってた…けど

センターでは『三姉妹』とは聞いてなくて

でもここに来たらランカ…ちゃん…がいて…

ゼラも『三女』って…」


シオンはぎこちないながらも

ダストとレマが自分たちを呼ぶ時のように

『ちゃん』をつけて呼んでみた。


呼んでみようと思ったわけではなかった。

ランカは5秒ほど止まってしまったが

直後、テンションがMAXを振り切った。


「ねぇ!レマ姉ちゃん!聞いた!?

ランカ『ちゃん』だって!

ゾア姉ちゃんも聞いた!?うはー!

私それすごく好きー!そう呼んで!ね!ね!」


「落ち着け…わかったから……!」


「ランカちゃんっ、ランカちゃんっ

ん〜!!ランカちゃんっ」


咄嗟に呼ばれたちゃん付けは

ランカの心を鷲掴みにした。


ランカは、自分の名前を

ちゃん付けでひたすら呼び

家の中をちょこちょこ歩き回り始めた。


「とても……気に入っちゃったみたい…

みんなランカランカって呼ぶから

ちょっと羨ましかったのかな…?」


「えっと…じゃあ、ちゃんで呼ぼうかな」


「ランカちゃん!…んー?なんか私は

ちゃんじゃない方が呼びやすい!」


「そっちのがカナタらしいよ…はは……」


話が脱線してしまった。

双剣は、時と場合を考えず、関係なくぶった斬る。

話を戻すのにも一苦労……。


なんとか…話を戻す。


「え〜っと…たしか三姉妹なのは何故かだね?」


「最初は私と姉さんの2人でここに

里を作り始めた、そして、ある程度形になり

新たな適合者を探して

里の人を増やそうとなったんだ」


「そこで、最初に見つけた適合者がランカ」


ランカについてはゼラ達も知らなかった

最初から三姉妹と思っていたからだ。


「えぇ〜?じゃあ、ランカは

レマちゃん達と関係ないんだ〜?」


「そうだったのね…」


「ホントの姉妹じゃなかったのか

全然そんな感じしないのにね!」


「そういえば、ゼラ達にも話したことないね」


「黙っていた訳じゃない

必要ないと思ったから話さなかったんだ…すまないな」


「いいよ〜別に〜…だって〜

必要ないのはホントじゃ〜ん」


「「(さすが新人…!いい質問をした…!)」」


ダストとカリスは心の中で褒めた。


「だが、連れて帰ったランカが

意識を取り戻した時、名前から何から

覚えてなくて、すべて忘れていたんだ。」


「そう。でも、だからといって

受け入れないと思わなかった、むしろ

三女として育てようと思ったの

直感…?のような感じ?かな」


「…はぁ、しかし、見ての通り

自分が気になるものにはどんどんいくし

話もちゃんと聞かないしで…」


「まるで嵐だったよね、あははっ

今もだけどねっ!」


「ちょっとー!お姉ちゃん達ー!

ランカちゃんはずっとここにいたよー!

何言ってんのー!」


聞いてないと思っていたランカは

気になった部分だけ聞き、返事をした。

そしてまた「ランカちゃんっ」と言いながら

テンション爆上げで歩き回る。


「ランカもカテゴリは動因子。

けれど、今話した『ランカの過去』は

ランカの『脳が』受け入れないみたいなの。


つまり、ゼラ達とカナタちゃん達が違うように

動因子でも静因子でも、その人によって違う。

全てにおいて……一緒な事はない。」


「そうだ、だから

『動だからコレ』『静だからコレ』はない。

あとは、ランカの見た目の話だが…

誰が見てもあの見た目は深化してるだろ?

でも実は、見つけた時はもうあれなんだ。」


「ただ、ランカのおかげでわかったことがあるの。

『深化と無関係に体が変化した人もいる』ってこと。


ランカは何も覚えてなかったから

普通に深化のせいと最初は思ったけど違かった。


ランカはあの日…

ただ単に『七色の雪』を取り込んだ時に

体が変化し、記憶がすべて消滅した。」


「もう1つ、ランカはもう『深化しない』

理由は単純だった。

深化時に代償となる『元々の記憶がない』からだ。」


「私とゾアから学んだことは

ランカにとっては『元々の記憶』じゃないから

『消滅対象』じゃないみたい。

でも、これは私達が会った人では『ランカだけ』


それと、ランカは

オーバーファクターは使えない。

きっとこれも脳が…ランカが拒否してる。

オーバーファクターについてはただの憶測だから

そこまで気にしないで、私も謎なの。」


「『元々ある記憶』がまだ沢山ある者は

普通に深化するから気をつけろ。

そのための完全循環だ。

消滅幅を抑えることが大切になってくる。」


情報量が多い。頭が痛くなりそうだった。


「はぁ〜?なにそれ〜?ずるいなぁ〜」


「え、ええ…ちょっと整理したいわ…」


「ずるいぞー!ランカー!くそー!」


「ランカちゃんは、なりたくて

なった訳じゃないけど

記憶が無くならないのは羨ましい……」


「ちょっと全然わかんないや!

ランカは記憶がないから深化しないってことだけ!」


ランカについて話を聞いていた

ゼラを含めその場の全員


『全然分かってんじゃん……』と心でツッこんだ。


ここで、カナタが切り出した。

しれっと『ちゃん』呼びする。


「ねぇ!レマちゃんとゾアちゃんは

なんでそんな覚えてるの?

見た目もレマちゃんは深化…だよね?

ゾアちゃんは?それ深化してるの?」


「そうだよ…ね?なんか他のことも

全部覚えてるみたいな感じ…

里を作れたのだって分からない…

カナタも言ったけど、見た目だって

レマさんはわかるけど

ゾアさんは…?深化してない?の?」


難しい言葉や記憶、里をどう作ったのか

最初から何も忘れてないみたいな口ぶり。


不思議に思わないわけがない。

そしてそれは、ゼラ達も気になっていた。


「あぁ〜…カナタいいこと聞く〜

私もさすがに知らないやぁ〜」


「「(気になってた〜!新人の力すごいぞ!!)」」


カリスとダストは言葉を発しなかったが

心でサムズアップする。


「当然の疑問だね、でもそれはとても簡単。

シオンちゃんとダストは静因子

ゼラ、カリス、カナタちゃんは

動因子なのはわかるよね?」


「普通はそのどちらかに属するんだ。

けど、私と姉さんは違うことがわかった。

私達は両方を持つ『静動因子』なんだ。」


「そして、私は『理』を

ゾアが『保持と保存』の役割を見つけたの。


でもね?教えてもらったわけじゃないの。

これは、私達なりの勝手な考えだけど

きっと『あの日』が関係してると思ってる。

たぶん『選ばれた』からかなって」


「私と姉さんは、多少の苦労や

学びを必要とはしたが、この頭には

考えや知識、技術がほとんど『あった』感覚なんだ。

すまない、曖昧で答えになってないかもしれない。」


「そこはずっと謎なの。だけどね?


『自分が何者かなんてことより、

今この里で暮らすために私達がどう生きるか』


そっちのが大切だった。

だから、考えるのをやめて割り切ったわ。

そういうものだと。

それからは、色々早かったよ?

この力を使って里を作ることに専念したし」


「じゃあ…その姿はさっき言っていた

ランカちゃんのと同じ?

深化したとこもあるけど、ほぼ

深化ではないとも言える……よね?」


「そうだね、それに近いかな。でも、

カナタちゃんが最初に言ったように

ゾアだけは違うの、でも深化は

してないわけじゃないよ?」


「私すごく気になってた〜

ゾアちゃんの見た目なにそれ〜?」


「わたし達や住人のみんなと全く違う

ゾアさんだけ浮いて見えるわよね?」


「浮いてるね!めちゃめちゃ浮いてる!

変だもん!見たことないよその姿!」


三面鏡も知らないゾアの見た目の意味。


明らかに里では浮きまくっているその姿は


──『人のまま』。


ありえない。異常も異常。見たことない。

体が変わっているのが、普通で当たり前の世界。


なのに、ゾアは深化はしてるとこがあるのに

体が何も変わっていない。


『七色の雪』を取り込む前の『人本来の姿』


ここにいる全ての人の『原型』


ゾアだけはその姿だった。

理由は、ゾアの適合した因子『オウムガイ』にある。


※※※


『オウムガイ』


約5億年その姿を維持し、変化しない

まさに『生きた化石』といえばの代表生物。


オウムガイの殻の中にはたくさんの部屋がある。

そしてこの部屋は、成長時に消えず

既存の部屋の後ろにさらに部屋を作る。


悪い所もある。

それは、目がとんでもなく悪い。

ほとんど見えていないに等しい。



ゾアはこれのおかげで姿は『人のまま』


深化してない訳じゃないため

最初の頃には消された記憶も確かに多少あるが、

基本的に旧文明の記憶を含め大体の事を

頭にある『各部屋に保持・保存』をしている。


物の作り方や使い方等々をする時は

その引き出しを開け、出力し

連れてきた人達に教え、里を作り上げてきた。


言うまでもなく、目はとんでもなく悪い。

だからメガネをかけている。

『メガネ』という知識と形も覚えていたから作れた。


※※※


全員驚いた。当たり前の反応。


「そういうことだったのかぁ…

でも、変だねぇ〜…その姿〜

ゾアちゃんに触手あげようかぁ〜?」


「あの姿があたし達の元々の姿〜?

鰭あるほうがいいよ絶対!水も作れないじゃん!

それはいやだよ!」


「わたしも羽あるほうがいいわね

歩きたくない時は飛びたいもの、鱗粉も便利だし」


「うん、この耳のおかげで

危ないところ行かないし、

色々わかるし、これがいいな…」


「私もー!ゾアちゃんの姿はありえない!」


「そうだよねー!カナター!

ゾア姉ちゃんはへーん!」


全員、今の『当たり前の姿』を誇り

そっちがいいと言う。


ゾアの姿こそ、みなの──『当たり前』なのに。


「私自身もおかしいと思っていたが

姿について考えるのはもうやめたんだ。

これが私の『当たり前』だと

新しい『当たり前』だと思うようにした。」


「みんな聞いて?ゾアはね?

ホントに目がすごーく悪くて目にアレを付けてても、

ぶつかったり見えてなかったりするんだよ?

あの付けてるやつも、見えてなくて

もう10個以上踏み潰したの!あははっ

壊す度に『わぁー!また壊したー!』って

1人で大騒ぎするんだからっ!」


「ちょっと!お姉ちゃん!それ言わないでよ!

今みんなに言うことじゃないよ!

み、見えないんだから仕方ないじゃん!

壊したくて壊したんじゃないもん!!んもう!」


咄嗟に出た……『お姉ちゃん』

咄嗟に出た……『お姉ちゃん用の口調』


「………………あっ」


威厳ある人物の思いもよらぬ一面。

時間にして10秒ほど、場が静まった。


そもそも姉妹だ。

お姉ちゃんと呼ぶのは何もおかしくない。


だが、ゾアは上に立つ者として頑張って抑えていた。

しかし、姉の暴露で出てしまった…。


全員の沈黙が終わったのは同時だった。

『お姉ちゃん……!?』と反応する。


みんなの前では、出そうになっても

『姉さん』としか基本的に言わなかった。


すべて……姉のせいだ。


「かわいい!!かわいすぎるわ!ゾアさん!

本当は呼びたいのね!そうよね!

お姉ちゃんだもんね!呼びたいわよ!」


「会う度にちょっと怖い感じだったのに……

あはは!ゾアさんが!お姉ちゃんって!

聞いちゃったー!」


「たま〜に言いそうになってたけど

我慢してたんだあれは〜……ゾアちゃん…

これでもう呼べるねぇ?『お姉ちゃん』って」


「私関係ないのに、なんか…見れない…ッ!!」


「なんでシオン顔抑えてるの?

え?なんで?みんななにがおもしろいの?

ねー!なんでー?

お姉ちゃんって呼んだだけだよー?!


ゾアちゃん、なんでみんな笑ってるのー?

お姉ちゃんって呼んだだけだよね?

お姉ちゃんって言っちゃダメなのー?」


「ぐぬぬぬッ……!カナタ!

あなたが一番タチ悪い!!!やめてってば!

恥ずかしい!全部お姉ちゃんのせいだからね!!」


「お姉ちゃんのこと好きだもんねぇ〜???」


「やめてーーーー!!!!

だいっきらいだよーーーーー!!!」



「なにか楽しいことあったのかな?

いっか!ランカちゃんっ、ランカちゃんっ」


ランカは気になったが

『ランカちゃん』から全く離れない。



今の当たり前の世界で

当たり前の姿でなくても

姉の前では、妹なのは変わらない。


そして、人である以上

知られたくない秘密があるのもまた


当たり前である。




─あたいは、人の姿がいいかな。

姉は殺したよ。え?話し方?秘密だよ。

そのうちわかるんじゃない?


最後まで読んでいただきありがとうございました!

改めて、投稿順はご迷惑をおかけしました…。


ブクマ等はお任せします!

ゆるく楽しんでいただければ、それで!


裏話:5部自体とっくに書き終わってますが

この回と次回は、なんか違うなぁ〜の思いつきで

全て書き直しました。文字数が増えました…すいません

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