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物語(仮)  作者: りくど
第5部
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23/30

3話:新人の歓迎は当たり前

※こちらは5部になります

よかったら1〜4部も読んでみてください

投稿順直しました。

カナタとシオンは膝を崩していた。


「ある…ホントにあるよ……カナタ!」


「うん…!あるね……!

ほらー!だから言ったじゃん!

行かなきゃ分からないって!」


ゼラ達に出会った運のおかげかもしれない

出会わなくてもこうなったかもしれない


どちらにしても、今、ここまで来た。

目の前に…『里』がある。

あとは、あそこへ向かうだけ。


「もうあとはあそこまで

ここをまっすぐ行くだけ〜…」


ゼラの言葉で、2人は立ち上がり

5人は下山し始める。


行く手を阻むドロップはいなかった。

いや……いたかもしれない。


ただ、ドロップ達から見て映る5人の

先頭にいる者が化け物だったのだろう…。


気づけば、下山し終えていた。


そして、そのまままっすぐ里へ向かう。


周りの景色や見たことないものに

目を光らせているカナタとシオン。

陣形から飛び出て、ワクワクしている。


「うわぁー!なにこれ!見てよ!

あ!こっちは!?これもなにー?!」


「コレは…食べられるのかな?!

こっちはなんだろう?楽しいー!」


その様子を不思議がる住人達。


「そんなに珍しいのか〜?

ここらじゃ当たり前だよね?ダスト姉」


「違うわ、カリス…。

私たちとあの子達では、最初から

『歩いた道、生きた場所』が違う。

だから…『当たり前』も違うのよ。」


「ふーん。でもそうか、あたし達

あの…かん……づめ?だっけ?

知らなかったしね、それと同じか」


「そうだねぇ…でもさ〜…?連れてきた人で

あそこまで反応するの初めてだよ〜」


里まではまだあと少しある。

しかし、シオンの耳はしっかり捉えた。


「……!!カナタ!

沢山声が聞こえる!賑やか!

笑ってる声も聞こえるよ!」


「え?私何も聞こえないよー!ずるい!」


「さすがシオンちゃんね。

里は見えてるけど、まだ少しあるのに。

私たちには、さすがに聞こえないわよ」


「ホント耳いいんだね!」


「うらやまぁ〜」


「「(まったく思ってないじゃん……)」」


ダストとカリスは苦笑いをする。


その時だ。シオンが捉えた声とは

また違うやや大きい声が

周りに反響して聞こえてきた。


「……ん?あれ…は?ドロップか……!?」


「いや違う!あれは……!」


「おい!ゼラ様、ダスト様、カリス様が

戻ったぞー!門を開けるんだー!」


声は、3人の里の門番達の声だった。

門番達は慌ただしく準備をする。


ゼラは嫌そうな顔をしていた。


「……はぁ〜…帰ってきただけじゃんかぁ…

毎回言うけどさぁ〜…うるさぁ〜……」


「まぁまぁ、ゼラ姉さん。仕方ないわよ

わたし達は里の外では

『ただの住人』でも里の中では

『住人だけど違う』んだから」


「そうそう!あたしは好きだよ!あれ!」


カナタとシオンは

ダストの言葉が気になった。


「あれ?ダスト達って、里の人なんだよね?」


「あそこに行くと違うって?」


「え?あぁ、そういえば

それは話してなかったわね」


「あぁ〜…そうだぁ……言ってない〜」


「里の住人なのはホントだよ!」


「「???」」


2人は余計に分からなくなったが

その答えはすぐだった。


「カナタちゃん、シオンちゃん。

住人だけど違うって言ったのはね?

わたし達は里の外で2人みたいな適合者を

連れてくることはそうだけど…」


「『里の中を守る』ことが1番!

2番にダスト姉が言ったこと!」


「里の中を……守る?」


「みんな楽しそうだし、何もないんじゃ…?」


「もう〜…2人とも普通にいいなよ〜…

私とダスト、カリスは〜

里を守る『三面鏡』っていうのぉ〜…」


「なにそれ!さんめきょ!かっこいい!」


「カナタ……違うよ…。でも、その

さんめん…きょう?って?」


「えーっとね?里を作った姉妹から

『里を守ってね、お願い』って

言われてる人がわたし達ってこと」


「「……え……えぇぇぇ?!」」


「ホントにすごいじゃん!!!」


「う、うん……そんな人達に

助けてもらって話もしてるの……」


「まぁ、驚くわよね、そうとも知らず

ただの適合者としてここまで

一緒に過ごしたんだから…」


「あたし達は三面鏡だけど、別に

適合者としては何も変わらないからさ!」


驚いていた矢先、音が鳴る。


──ギギギギィ〜…ゴゴゴゴ……。


重く、頑丈な門が

ゆっくりと奥へ開いていく。


通ろうとした時、門番達が言葉をかけてきた。


「遠征!お疲れ様でした!

ご無事で何よりです!新入り達もようこそ!」


「「お疲れ様でした!そして、ようこそ!」」


「はぁ〜い……疲れた〜…

アンタたちも〜…いない間の守りおつかれ〜」


「「「……!ありがとうございます!!」」」


「(今日寝れないかもしれない…)」


「(無視するか、は〜いだけなのに…

ゼラ様があんなこと言うなんて)」


「(俺……死んでもいいや…)」


「「((それはやめろ…!))」」


門番を軽くあしらいつつも

自分達がいない間の里を

しっかり守っていた門番に

ちゃんと労いの言葉をかけるゼラ。


カナタとシオンは自分達に向けて

言葉をかけられると思っておらず

無視した訳では無いがびっくりして

声が出なかった。


そして、中へ入っていくと

英雄の帰還かのような盛大な出迎え。


それはもう、凱旋。


指笛が高く鳴り響き、拍手も鳴り

『おかえりー!』という言葉が飛び交う。


ゼラ達もそれに応えるように

身振り手振りをしたり言葉を返す。


さらに、ゼラ達が連れてきた『新入り』


住人達からすれば新しい『仲間』『家族』。

カナタとシオンを見てさらに声をあげる。


「新入りだ!」「また増えるのね!」

「見て!あの子はカラスよ!飛べるのいいなぁ」

「こっちはうさぎだぞ!

いい因子を2人とも持ってるな!」


2人にかかる言葉はどれも

歓迎や因子を羨む声、そして

『よろしくね!』と受け入れてくれる

暖かい言葉が飛び交う。


シオンの耳はこんなものは聞いたことがない。

既にシオンはボロボロ泣いていた。


2人の姿を見ても何も言わない。

変な顔をする人が1人もいない。

羨む者も少なくなかった。


『全肯定』されていた。


カナタは相変わらず。言葉を聞くより

笑顔でみんなに手を振り、まるで自分も

英雄のような振る舞いをしていた。



里の中央まで来た面々。

周りは住人がまだいる。


2人の前に出るゼラ、ダスト、カリス。


改めて……言葉をかけた。


「じゃ、里に『新たな住人』が来たってことで!

改めて……!」


「ここにいるみんなはあなた達を歓迎し、

共に暮らし、生きていくわ。

ここは…適合者の暮らす場所…」


「ようこそぉ〜……『鏡湖(きょうこ)の里』へ〜」


シオンは泣きっぱなしだったが

さらに泣いた。そのまま泣けば

脱水症状になるぐらいの勢いだった。

鼻からもドバドバ垂らしている。


シオンの隣でも、

ニコニコはしているが顔は崩れに崩れていた。


分からないこと…知らないこと

忘れたこと…たくさんあった…

だが、ここまで歩いてきた。



『行かなきゃ分からない!』



…糸が……切れていた。


──カナタは泣いていた。



─嬉しィよなぁ、でも歓迎さレるのが

当たり前じゃなイ時もあるじゃン?

ォれは、反対するネ。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


ブクマ等はお任せします!

ゆるく楽しんでいただければ、それで!


ご飯はゆっくり食べたい派

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