2話:食事をするのは当たり前
※本作はカクヨムにも掲載しています。
ぐぅ〜…ぐぅ〜〜……。
もう、水では騙せない。
「うるさいなぁ〜…わかってるよ〜……」
そう言いながら、目線を下にする。
あの雪が降った日から
どれくらい経ったんだろ─。
壊れた世界に慣れて、
体もまた『馴染んでいる』。
着ていた服は、正直…覚えてない。
体は──
『成長』していた。
首を左右に振り、我に返る。
「よしっ!」と両手で頬を叩き
カナタはその重い腰をあげた。
同時に、動く影を視界に確認する。
「ん?今あっちでなにか動いたね、
あっちは〜…え〜っと…なんだっけなぁ……」
カナタは一人、頬をポリポリさせ
目を泳がせていた。
「と・に・か・く・!行けばわかる!」
カナタは愛用のハンマーを手に取り
ペン回しのようにくるくると回し、背負う。
カナタの体内の違い、それは
数百メートル先が見える《視力》と
女の子では、ありえない《力》。
──この二つが、今のカナタの『当たり前』。
しかし、見えるのは《形》であり
確かめるには、そこに行かなければならない。
そして、向かったのは先は
かつて《スーパー》と呼ばれていた場所。
毎日、沢山の人が訪れ、賑やかで
食べ物や飲み物などを買った場所。
─あなたも、行ったことあるよね?
そんな場所を全く調べていなかった。
違う、そうじゃない。
スーパーに行けば食料が手に入る。
その当たり前を…覚えてない。
──ヒュー。……カチリ。
風を切る音と共に、優しく着地する。
カナタの下半身は太ももまでは同じ。
違うのは膝から下。
膝から下は、足首にかけて
細く引き締まり、鳥の脚のようになっていて
その先には、鉤爪が形成されている。
誰が見ても華奢な脚だ。
「到着っと。んー?
なんか来たことあるような…ないような…。
ま、いいや!いくぞ〜!」
目の前の建物は、ヒビこそ入っているが
比較的その形を保っていた。
カナタは意気揚々と進んだ、その時。
ドン……!
「……ッた!!え?は?なに?!」
カナタを止めたのは…自動ドアだ。
お店の入口にある無色透明の扉。
──そう、今のカナタの目には、
透明なガラスが認識できない。
「もう!なんで進めないの!?壁!?」
「壁なら壊せばいい!ご飯のため!
壁が悪い!……せーのっ!!」
バリーン…ッ!!
鋭い鉤爪が、ガラスを粉砕した。
「これでOK〜、なんだけど……。お願いッッ!」
目を閉じ、両手を合わせ、祈る。
グォォォォォォッッ!!!!
「……はぁ〜、知ってた。」
空腹は、お互い様だった─。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
この作品は、「勢いとテンポ」を大事に、とにかく楽しく書き進めています。
ゆるい気持ちでお付き合いいただけると嬉しいです!




